4月末、ウクライから全人口の1割を超える人々が国外へ避難したと伝えられる。避難民の受け入れは隣国ポーランドが圧倒的に多いが、全世界におよび日本にも同様である。政府は戦禍を逃れてきたウクライナの人々を「難民」ではなく「避難民」として受け入れに動いている。
通常、海外から日本へ避難して来る人々は「難民」として待遇される。難民とは、迫害、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序が著しく混乱することによって、出身国を逃れた人々と定義される。
ウクライナから国外へ避難している人々は文言上難民に当てはまるが、日本では政治上の都合で国内に留まれば迫害を受ける人々にしか適用されないようで、日本は難民認定のハードルが非常に高く、これでは反ロシアの仲間として認められないと判断し、今回「避難民」という特例的な扱いで受け入れているのだ。
日本で「難民」を希望する者は、法務省出入国在留管理庁に申請し、認められれば、原則として国民健康保険への加入資格や、条件を満たす場合は国民年金、児童扶養手当などの受給資格が得られ、日本国民と同程度の待遇を受けることができ、定住者として5年間の在留資格が認められ永住への道も開かれるそうだ。
しかし、2019年の難民申請者は10,375人に対して認定は44人、2020年の難民申請者は3,936人に対して認定されたのは47人であり、極めて認定されるのは難しい。
先述の特例的な扱いとは、90日間の「短期滞在」資格で入国させ、その後1年ごとの「特定活動」資格に切り替え可能とした。4月3日までに避難を目的としてウクライナから我が国に入国した方は404人だそうで、全国に安住の地を求めて散らばっている。
その様子を複雑な思いで眺めているのがミャンマーからの人々だ。同国では昨年2月、国軍によるクーデターが発生した。国連難民高等弁務官事務所によれば、50万人以上が実権を握った国軍に追われ国内避難民となり、日本に難民申請するミャンマー人は昨年3月までに約3000人であるが認められたのはたった16人だそうだ。
ミャンマー人とウクライナ人に対する対応の仕方がこのように異なり、これは白人と黄色人に対する偏見の差が顕著に表れていると非難される。
政府はこれまで、大規模な移民受け入れ、特に単純労働者の受け入れには否定的な姿勢を取ってきた。一方、少子高齢化、労働力不足が深刻化する中、すでに様々な制度の下で多くの外国人が来日し、働いている。その数は、厳密な統計は存在しないものの、150万から250万人ほどと推計され、今後さらに増えていくと予測されている。
現在の日本経済の低迷は、日本の人口の減少にあると主張する識者もおり、日本の移民政策も、難民の認定問題も含め見直さなくてはならない時期に来ている。2022.04.30(犬賀 大好ー810)