日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

電気自動車用のバッテリーの性能は今一

2023年04月29日 09時55分51秒 | 日々雑感
 日本では電気自動車と称してもいろいろある。日本で一番普及しているのがHEVと称するハイブリッド自動車であり、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモータの2つの動力を備えている自動車だ。電気モータはエンジンが発電した電力を利用するため、ある距離を移動するのに必要なエネルギーはすべてガソリンであり、基本的にはガソリン車と同じである。

 PHEVはプラグインHEVで、エンジンによる発電だけでなく、バッテリー充電に外部電源も使用可能で、一般的に大容量とし電気だけで走れる距離を大幅に長くした特徴を有す。

 これに対し、BEVとはバッテリーEVの略で、ガソリンを使わず電気のみを使って走る車で、エンジンがないのが特徴だ。この車は走行時に炭酸ガスを一切出さない為、究極のエコカーであり、中国を始めとして欧米での開発はこのタイプに集中している。日本では2022年の新車販売台数でBEVが占める割合は約1%前後に留まっており開発方向に違いがある。

 この他FCEV は燃料電池EVの略称だ。他のEVとは違い、水素を燃料とするEVでは、水素と酸素で電気を発生させる燃料電池が搭載されている。ガソリンを一切使用せずモータで走行するため、二酸化炭素を出さない環境性能が一番の特徴だが、水素タンクが必要等で価格の高いのが欠点である。

 さて現在主流のバッテリーはリチウムイオン電池だが、電気の蓄積量が少ないデメリットもあり、自動車メーカー各社は次世代のバッテリーの開発を積極的に取り組んでいる。多くの企業は最有力候補を全固体電池とみているようだ。現在のリチウムイオン電池の電解液を固体の電解質に置き換えたものが全固体電池で、発火の危険性がなくなり、作動温度範囲も広く温度管理も必要なくなる。

 日産は2021年11月に、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したBEVの市場投入を目指すと表明した。自社開発の全固体電池は、従来のリチウムイオン電池と比べて充電時間を3分の1に短縮でき、エネルギー密度も2倍になるとしている。

 トヨタやホンダも次世代バッテリーとして、固体型のリチウムイオンを取り上げているが、液体型に比べてエネルギー密度は2倍程度に過ぎないようだ。これは同じ重量のバッテリーで航続距離が2倍程度にしかならないことを意味する。携帯電話にも同種の電池が使われているが、2、3日に1度充電する必要があることが煩わしく、もっと高性能のバッテリーが欲しい所である。

 BEVは、エンジンが無い分構造が簡単で、低価格になる筈であるがバッテリーが足を引っ張り実現されていない。バッテリーの性能向上は、価格を含めての話であるが、自動車ばかりでなく、風力や太陽光等の自然エネルギーの利用に大活躍する筈であるが、残念ながら今のところその芽は見えない。
2023.04.29(犬賀 大好ー910)

食料自給率向上のためにも地域活性化は必要

2023年04月26日 10時48分50秒 | 日々雑感
 4月22日と23日の2日間宮崎市で行われていた主要7か国の農相会合では主要テーマとなる食料安全保障の課題が、ウクライナ危機で一気に噴出した。途上国の食料不足が顕在化した上、近年頻発する気象災害が各国農業に与える影響も深刻化し、自国を優先するため、主要な食料や肥料など生産資材の輸出規制に乗り出す国が相次いだ。日本は輸入先の多様化だけでは対応が難しくなっており、食料の輸入依存度が高いため自国生産の拡大に向け抜本改革が求められる。

 日本の食料自給率は38%で、カナダ266%、オーストラリア200%、アメリカ132%、フランス125%、ドイツ86%、イギリス65%、イタリア60%、スイス51% 、と先進国の中でもずば抜けて低く、山国のスイスより低いのだ。

 日本の食料自給率は、1965年は73%であり、現在と比較すると半減している。この自給率の低下は、日本の食生活の欧米化と関係しており、国民一人当たりが1年間に食べているお米は、1962年の118.3kgをピークに年々減少しており、2020年では 50.7kgと約半分になってしまった。

 米食に代わってパン食が主となりそれと共に肉食が多くなり、小麦や牛肉の輸入が大幅に増加した。日本でも小麦や肉牛の生産は可能であるが、土地が狭いため生産効率が悪く、また肥料や餌代の多くを輸入しなければならず高価なものとなり、輸入食料に頼ることになるのだ。

 これを反映して、日本の農業従事者も激減し、1960年に210万人との統計もあり僅か2%弱にもなってしまった。この状態では食料自給率の早期解決は困難だ。

 食料自給率が低いことは、昨今の歴史的な円安で輸入価格が上昇していることも差し迫った問題であるが、食料安全保障から将来の日本にとって深刻な問題となっている。食料自給率を上げるためには日本人の食生活を一昔前に戻すこと、すなわちパン食から米食に戻すことが手っ取り早いが、個人の嗜好が絡み、独裁国家でない日本では難しい。

 さて、自給率の向上とは直接関係が無いが、地域活性化の必要性が叫ばれている。都市圏への人口の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくための活動である。

 この活動の中で農業に意欲を示す若者もおり、かすかな可能性を感ずる。農業はきつい、汚いのイメージであるが、農業の機械化も進んでいる。先日の農相会合の際、日本の農業機械メーカーが製造した電動トラクターの展示があり、参加したカナダやフランス、ドイツ、イタリアの閣僚らは興味深そうに見学し乗り心地を確認していたそうだ。

 また、窒素肥料を6割減らしても収量を維持できる小麦の品種開発に最近成功したとの話もあり、政府や自治体は大いに支援し、農業従事者が増えるように努力すべきだ。農業従事者が増えれば、自然と食料自給率も向上するであろう。2023.04.26(犬賀 大好ー909)

国債卓越研究大学制度で日本の科学技術レベルは上がるか

2023年04月23日 09時53分59秒 | 日々雑感
 財務省は、昨年度、原油などエネルギー価格の上昇や記録的な円安の影響で貿易赤字は20兆円を超えて過去最大となると発表した。ロシアのウクライナ侵攻が主な原因とのことであり、一過性のものであれば良いが、技術立国の名のもとに高度な工業製品の輸出で外貨を稼いできた日本の将来が心配になる。

 と言うのは、近年日本の技術レベルの低下が指摘されているからである。科学技術・学術政策研究所の2021年の報告によると、日本発の世界的に注目度の高い論文数は昨年の9位から10位に順位を落とし、これが日本の研究活動の国際的地位低下を示しているとしている。一方、中国は1年当たり論文数、注目度が高い論文数ともに世界1位だったそうで中国の躍進が注目されている。

 技術レベルは論文数のみで決まる訳ではないが、かって世界を制した半導体や太陽電池の生産量は今や台湾や中国に抜かれて逆に輸入する程にもなっており、論文数の順位の低下は将来を示唆していると心配になる訳である。

 政府も同様な心配があるのだろう。文科省は大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学の実現を目指す ”国際卓越研究大学制度”を検討し始めている。この制度は、大学が国際的に研究力を向上させるため、世界トップクラスの研究者の獲得や、次代を担う若手研究者を育成するための制度であり、認定大学を数校に絞り、1校当たり年間数100億円の分配を見込むそうだ。助成開始は2024年度以降を予定している。

 今年4月4日、文科省は公募した大学は10校と結果を公表した。昨年秋には相当数の大学が申請を検討していたが、補正予算で ”地域中核・特色ある研究大学強化促進事業”が決定し、応募をどちらか一方に絞る必要があり、こちらに方向転換した大学が多かったようだ。国際卓越研究大学への申請は、理系学部を持つ指定国立大学が中心となった。

 審査のため、文部科学省内には有識者会議を設置した。選定にあたっては、これまでの実績や蓄積のみではなく、世界最高水準の研究大学の実現に向けた変革へのビジョンと将来構想に基づき判断するとのことだ。

 国が補助金を出す支援事業は数多あるが、そこで採用される大学はこれまで圧倒的に東大が多い。東大は実績や蓄積があるため当然のような気がする反面、文科省は東大に決めておけば結果がどうであれ、言い訳が出来るとの安易な気持ちから東大を優先させている気がする。有識者会議のメンバーの詳細を知らないが、世界最高水準とするための方策は容易でない。研究者には自由な発想で自由に研究してもらわなくてはならないが、独りよがりでは困る。しかし、独自な発想も当初は他人に見向きもされないこともあり、そこの判断が難しくそれが出来る人はめったにいない。

 そもそも国立大学の独立法人化移行後に大学の衰退が目立つ。国が必要な財政措置を行いながら、法人化した各大学に実際の運営を任せることで、大学の活性化を図るのが本来の目的であるが、実状は大学の衰退だ。国際卓越研究大学制度も財源を国が握っており使い方を細かくチェックするに違いない。結果も独立行政法人制度と同じになることを危惧する。2023.04.23(犬賀 大好ー908)

技能実習制度の目的変更がありそう

2023年04月20日 16時59分40秒 | 日々雑感
 今月10日、政府の有識者会議は、外国人が働きながら技術を修得する技能実習制度を廃止した上で、人材確保などを目的に中長期的な滞在を可能にし、働き先の企業の変更も一定程度認めるよう緩和する新たな制度への移行を求めるたたき台を示した。

 そもそも技能実習制度とは外国人が日本で働きながら技術を学び、帰国後の自国の人材育成を通じた国際貢献を目的とするものであった。しかし、受け入れ側の日本では労働環境が厳しい業種を中心に人手を確保する手段になっており、一方来日する外国人は技術の習得より出稼ぎの目的が強く、より高い賃金を求めて不法に勤め先を代える等のトラブルが相次ぐなど、目的と実態がかけ離れていると言った指摘もある。

 新たな制度では働く人材の確保を主な目的に掲げ、これまで原則できなかった転籍と呼ばれる働く企業の変更も、従来に比べて緩和し実態に合わせている内容だ。

 さて、外国人労働者数は2022年末で182万2,725人と過去最高を更新し、全在留外国人の中では、約60%が就労していることになるそうで、10年前の約65万人と比べて約3倍となっている。年毎の増加率は前年の 0.2 %から 5.3 ポイント増となり、年々外国人労働者は急増している。

 一方我国では少子高齢化の進行により、生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8726万人をピークに減少しており、2050年には5,275万人に減少すると見込まれている。2022年の生産年齢人口を7500万人とすると外国人労働者の割合は約2.4%で早くも我が国は外国人労働者は必須の人材となっており、その依存度は年々大きくなっている。

 生産年齢人口の減少は、労働力の不足、国内需要の減少による経済規模の縮小など様々な社会的・経済的課題の深刻化が懸念され、この点海外から人材を集めることは手っ取り早い解決策の一つであり、技能実習制度の改定もその一つであろう。

 国籍別技能実習生の割合は、2019年時点でベトナムが最も多く、次いで中国、フィリピン、インドネシア、タイと続くそうだが、途上国からの来日は稼ぐことを目的としている人も多いようだが、制度が改定されると稼ぎ目的の来日労働者は更に多くなるだろう。しかし、一方では昨今の円安状況で日本で働く魅力がなくなり、希望者が減少しているとの話もあり、来日希望者は多くなっても優秀な人材は少なくなっていくだろう。

 これまでも政府は優秀な人材確保のために2019年4月に新たに在留資格「特定技能」制度を導入している。日本の技術は世界的に低下しているとの見方もあるが、発展途上国から見ればまだまだ学ぶべき点は多くあるだろう。稼ぎ目的の労働者は別にしても、本来の技能実習制度、あるいは特定技能実習制度はしっかり存続させ日本の技術を世界に広げたいものだ。2023.04.20(犬賀 大好ー907)

最近のコロナウイルスはどうなっているのか

2023年04月15日 10時00分38秒 | 日々雑感
 4月12日、国内では新たに1万68人の新型コロナウイルス感染が確認されたそうだ。しかし、一日の感染者数が25万人を越えたことがあったことから比べると、はるかに少なくなっている。しかし、4月7日の厚労省の発表によると、新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では前の週の1.03倍となり、2週連続で増加傾向となっているそうで、決して終焉しているようではない。

 世界保健機関(WHO)は今年1月25日、新型コロナウイルスの新しい変種「XBB.1.5」のリスク評価を公表している。それによると、このウイルスの広がり易さについては、アメリカやイギリス、ヨーロッパ各国のデータでは他のオミクロン株の変異ウイルスより広がり易く、また、過去の感染やワクチン接種で得た免疫から逃れる性質は、これまでの変異ウイルスで最も強く、WHOはXBB.1.5によって「世界的な感染者数の増加につながる可能性がある」としていた。

 アメリカではXBB.1.5が、去年12月ごろからニューヨークなど東部を中心に急増しており、WHOの1月25日の週報によればこの変異株はこれまでに54か国で報告され、国別では、アメリカが75.0%とほとんどを占め、イギリスが9.9%、カナダが3.0%、デンマークが2.0%等となっていた。

 従って、特に日米間では入出国の制限が無いため米国のXBB.1.5 が日本に急激に広がり第9波のような形で感染の波につながると予想されていたが、現時点ではその予想は幸運にも外れたようだ。

 厚生労働省の専門家は4月5日、コロナウイルス感染者数は比較的少ないレベルで推移しているが、新系統XBB1.5が検出される割合が、他の亜系統と比べて最多となると公表した。XBB1.5は9日までに全体の37%に達すると推定され、一方第8波の主役のBA.5は16%となるそうだ。これまで主流のBA.5等から置き換わりが進んでいるとみられ、これに伴って感染拡大の可能性があるが、何故感染拡大が広がらないか、よく分からないようだ。

 しかし、新型コロナウイルス感染症は、5月8日からの5類感染症移行が正式に決定し、ただの風邪扱いとなる。これに伴い、厚労省は感染後の治療期間を7日間から5日間に推奨すると発表した。推奨するとかマスク着用は自主判断に任せるとか中途半端な表現が多いが、これもコロナウイルスの正体の不明さを象徴している。

 このウイルスは変異し易く、何時かぶり返すか分からないが、マスコミでも最近取り上げられることがめっきり少なくなり、人々の頭から忘れ去れようとしている。
2023.04.16(犬賀 大好ー906)