日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

”新しい資本主義”に新しい発想を期待するが

2021年12月29日 10時23分07秒 | 日々雑感
 岸田首相のキャッチコピーの一つは”新しい資本主義”だ。資本主義と言うとマルクスの資本論を思い浮かべる。マルクスは当時の経済システムを批判し資本論を唱えたが、岸田首相の新しい資本主義も現在の資本主義では解決しない問題には抜本的改革が必要だとして、新たな社会像を打ち立てる哲学的思考と期待した。

 しかし、首相の資本主義においては、分配の原資を稼ぎ出す「成長」と次の成長につながる「分配」を同時に進めることがそれを実現するためのカギだと言う。これを聞くと新しい資本主義は哲学的な意味で無く現実的な取り組みの話しのようだ。

 しかしそこにこれまでに無い新しい発想があれば将来が期待できるが、どうも単なる言い換えのようだ。すなわち、内閣官房の成長戦略会議の資料によれば、現在の日本の諸課題は、• 我が国産業の稼ぐ⼒、国際競争⼒の低迷、 サービス産業の低い⽣産性 • 基礎研究⼒など科学技術⼒の低下 • 企業の⼈材投資が減少 • シェアホルダー(株主)重視、短期の視点に偏り • 企業経営でコストカット重視の傾向 • 過当競争がみられる市場環境が挙げられており、新しい視点は無い。

 確かに、これらの項目は現代日本社会の抱える問題点、課題ではあるが、もっと大きな視点が欠けている。・少子高齢化問題、・1.2千兆円を超える国の借金問題、・経済格差や貧困問題等への課題はない。

 原資を生み出す成長に関しては、歴代の政権が成長戦略を唱えてきたが、いずれも軌道に乗らなかった。我が国産業の稼ぐ⼒、国際競争⼒の低迷等の言葉が並ぶが、成長戦略には必要な要因であることは間違いないが、具体的なイメージは浮かばない。

 分配に関しても、要は税金を如何に徴収するかの問題であろうが、法人税に関しては国際競争力との関係、所得税に関しては累進課税の見直し等が必要になるが、首相は思い切った決断が出来るであろうか。

 新しい資本主義の中身はこれから充実されるのであろうが、現実的にはコロナ後の経済回復が優先されるのであろう。コロナの影響で国の借金は随分増えたが、いずれ借金を税金等で返さなくてはならない。分配する分まで含めるとかなりの増税が必要となろう。

 岸田首相の良い所は人の話をよく聞くことだそうだが、人により様々な意見があるのは当然だ。すべての人の望みを叶えるのは、神様であったも不可能だ。意見の選択には筋の通った思想が必要だが、首相にはまだ見えない。

 ”新しい資本主義”に随分ケチをつけたが、それでも首相の新しい発想を期待する。2021.12.29 (犬賀 大好ー776)


コロナ後の経済GDP3%以上は望みがあるか

2021年12月25日 14時31分25秒 | 日々雑感
 政府は12月23日、2022年度の国内総生産(GDP)成長率について、物価変動の影響を除いた実質で前年度比3.2%増とする経済見通しを閣議了解した。この値は7月時点の2.2%増から1.0ポイント引き上げた数値であるが、最近聞かれなくなった財政健全化の議論においても、経済成長率を3%以上と現実離れした数値を掲げていたが、岸田政権でも超楽観的な姿勢は同様であると心配になる。

 しかし、この楽観的な目標は、少なくとも新型コロナウイルスの再度の感染拡大が回避され、更に政府の掲げる成長路線が旨く軌道に乗ることを前提としているのだろう。最近大阪や京都でオミクロン株の市中感染者が見つかったとのことで、その感染力の強さから急激に拡大する懸念が出てきており、早くも雲行きが怪しくなってきた。

 オミクロン株については、重症化の程度やワクチンの有効性など、まだ分かっていない点が多いが、仮に今後感染が拡大し再度の行動制限強化に追い込まれる場合には、予測値を大きく下振れる懸念がある。また、歴代政府の掲げる成長路線は旨く行った試しがなく、コロナと関係なく根本的な問題を抱えている。

 逆にオミクロン株が大したことなく終焉し、新型コロナウイルス感染が収まったとしても、感染収束後の課題の一つは人手不足と思われる。この人手不足の問題は、コロナ禍に関係した短期的な問題と日本が抱える根本的、長期的な問題がある。

 前者の問題として例えば、自粛要請期間が長く対面型サービス業は人手を減らさざるを得なかったが、感染が収まりお客さんが戻ってきたとしても急に人手を増やすことが出来ない問題があるそうだ。飲食店等のサービスで職場を失った学生アルバイト等が流通業等へ流れ、人手を呼び戻す賃上げをしたいが余力に乏しいことなどから、今後厳しい環境が待ち受けているようだ。

 そもそも今の日本は少子高齢化社会の真っただ中にあり、生産労働人口がどんどん減っている。この人口減を省力化や外国人労働者で補おうとしているが、後者に関してはコロナ禍で大幅に制限されている。

 一方日本企業の労働生産性が低いと言う根本的な問題も背景にある。日本企業がもっとも得意としてきたのは、安価な製品を大量生産するというビジネスモデルであったが、今の時代は中国企業や東南アジア企業の独壇場となってしまった。

 このような職場環境を改善する必要があると10年以上前から叫ばれていたが、一向に改善されず労働者の給与が上がるどころか、下がっているのが現状だ。岸田首相は、”新しい資本主義”、”分配と成長”のキャッチフレーズを掲げるが、中身はどうもはっきりしない。こんな状況ではGDPが3%以上はお先真っ暗だ。2021.12.25(犬賀 大好ー775)

新型コロナウイルスオミクロン株は大流行するか

2021年12月22日 09時52分03秒 | 日々雑感
 国内では新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いているが、世界ではコロナウイルスの新種であるオミクロン株が広がっている。国内では12月19日現在、新規感染者数は全国で177名、東京では33名と低く、そのほとんどがデルタ株と思われる。

 米国では、ここ3週間で1日あたりの新規感染者数の平均が54,200件以上増加したそうで、ニューヨーク州やニュージャージー州では感染者に占めるオミクロン株の割合は、13%に上ると推定され、その割合は急激に上昇しているようだ。

 イギリスではオミクロン株による感染が首都ロンドンを中心に急速に拡大しており、1日で1万人を超える感染が確認され、特にロンドンでは新型コロナに感染した人の83%がオミクロン株によるとみられているそうだ。

 世界の先進国でオミクロン株を含むコロナ感染が大流行しているのに日本でこんなに低いのは、日本人の衛生観念の高さ等いろいろ説明されるが、本当のところ感染症の専門家でもよく分からないそうだ。

 日本ではワクチン接種は国民の78%が2回の接種が終わり、これまでの常識に従えば集団免疫状態となり、新型コロナウイルスの流行は終息する筈であるが、オミクロン株はブレークスルー感染と呼ばれる2回の接種をすり抜ける感染力があるとのことで、このまま終息すると見るのは甘いそうだ。もし終息すれば、感染学の絶好の研究対象だ。

 これまでのワクチンがオミクロン株にどの程度効果があるか、明確でないが思考実験は行われている。ワクチンの感染予防率が10%の低下にとどまり、人出が現状並みで推移すれば、感染が再拡大するものの東京都における1日あたり新規感染者数は最大400人程度で推移するが、感染予防率が20%以上低下すると感染爆発が発生し、30%低下する場合は2022年中に3回の行動制限の強化を余儀なくされるとのことだ。

 東京都の新規感染者数は20日11名と発表された。ここ2ヶ月位、50名以下と極めて安定しており、集団免疫状態が維持されているのか、まだオミクロン株が市中感染していないと思われる。

 ただし、現在の日本ではPCR検査は症状がはっきり出ているか、濃厚接触者と認定された人にのみに実施されており、オミクロン株は無症状者が多いため、市中感染が始まったとしてもその発見は遅れそうだ。一旦感染が広がり始まれば、爆発的に広がると予想される。

 日本ではオミクロン株が来年早々に感染爆発が発生する予想もあり、当面は3回目の追加接種をできる限り早く進めるとともに、マスクの着用や3密の回避といった感染症対策を改めて徹底する必要があるとのことだが、いったん緩まった気持ちを再度引き締めるには時間がかかりそうだ。2021.12.22(犬賀 大好ー774)

1年前を振り返って(国債の無制限発行の先にある災いの責任を誰が負う 2020年12月)

2021年12月20日 14時27分53秒 | 日々雑感

政府は
政府は、コロナ禍の経済対策と称して、国民や企業に多大な金を提供している。この金は、借金すなわち国債を発行して得た金であり、いづれは返さなくてはならない。しかし、財政健全化の話は最近ではさっぱり聞かれなくなった。返済に一番有効な手はハイパーインフレと思うが、政権はこの手を使うのではないかと心配する。2021.12.20(犬賀 大好)
先の衆議院の総選挙ではばらまき合戦と現財務次官から批判されていたが、自民党の圧倒的勝利となり、岸田新首相は公約通り55兆円規模のばらまき政策を実施しようとしている。コロナ禍で生活苦に苦しむ人や経済回復のためと称しているが、国の借金はGDPの2倍を超える異常状態であるに拘わらず。


日銀の負の遺産を黒田総裁はどうするか

2021年12月18日 11時10分51秒 | 日々雑感
 日本銀行は、昨年12月末現在で、東証1部の約7%、時価にして46兆8000億円の株資産を保有しているそうだ。これまで最大株主だった、年金の管理運用をしている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有株を抜いて、世界最大の株主となったのだ。

 GPIFは積み立てた年金資産を増やすことが任務であり、このため購入した株式を売却して利益を出差なくてはならないが、一方の日銀は金融資本市場を安定化させるという目的で株式を保有しており儲けは二の次のようだが、市場を混乱させてはならない。

 日本銀行が上場投資信託(ETF)開始を決定した2010年10月当時、日本株は買い手不在といえる状況にあり、一般家庭においても家計はリーマン・ショックの後遺症もあって投資への意欲はなかった。このため、日銀が株式市場に介入して活発化させようと始めたのであろう。

 その甲斐もあってか、コロナ禍に拘わらず日経平均株価は今年9月14日に3万円を越えて約31年ぶりの高値をつけ、その後は3万円を挟んで一進一退を繰り返している。

 日銀が今年11月26日発表した4~9月期決算で、保有額(簿価)は36兆2751億円となり、含み益は16兆6200億円と過去最多を更新した。含み益はあくまでも名目上の益であり売却となると話は別であろう。また、膨大な株式を購入していた日銀がETF買い入れを減らすと、株式市場にはどのような影響があるのか懸念される。

 日本銀行が2021年3月にETFの購入方針を見直すと発表した。見直しの主なポイントは、・4月以降は東証株価指数(TOPIX)に連動するETFのみを購入、・ETFを年間約6兆円のペースで買い入れるという新型コロナ禍前からの方針を削除するという点である。もって回った言い方であるが、要はこれからは的を絞って購入するとの事だろう。

 この背景には、これまでのETF買入れにより株式市場の価格形成が一部歪められてきたという反省があるとみられる。本来の株式市場は買い手と売り手の経済的な価値判断により形成されるのであろうから、そこに政治的な判断が介入されるのは異常な状態なのだ。

 日銀は日本経済の安定を図るためと称し異次元金融緩和をここ10年続けている。最近日常品の物価上昇が目立つが、日銀の政策決定会合でも物価上昇率は横ばいと説明し、悪い物価上昇と言う新たな概念を持ち出し、金融政策を続行しようとしている。

 先進国では金融緩和の動きに歯止めがかかる状況にあるが、日本ではあくまでも続行だ。背景には続行せざるを得ない状況なのであろう。日本はゼロ金利の下で経済が回っているのだ。ここで金融緩和を縮小すれば金利が上がり倒産する企業が続出するとのことだ。日銀の政策決定会合には日本を代表する経済通が出席しているはずだが、経済は一筋縄ではいかないことは現状が示している。

 黒田日銀総裁は安倍元首相から乞われて総裁に就任したが、安倍氏は病気を理由に逃げ、異次元金余殃緩和の責任は黒田氏が負うことになった。さてその手腕は? 2021.12.18(犬賀 大好ー773)