新型コロナウイルスが2類から5類に分類が移行したのに伴い、感染状況はそれまでの全数把握から定点把握となり、今年5月19日から始まった。全数把握は各医療機関における事務手続きに多大な人手を要していたため、予め指定された医療機関で確認された感染者数の1週間毎の平均値としたのだ。
指定された都内419の定点医療機関の5月22日から28日の結果では、感染者数の合計は1647人、定点医療機関あたり平均の患者報告数は3.96人であったそうだ。ここで言う合計の患者数は定点医療機関における合計で都内全体ではない。従ってこれまで通りの総患者数との比較が出来ず、全体としてどのような状況になっているのかピンと来ない。
6月22日の報告では患者数が、6月12日~18日、5.85人だったそうだ。コロナの感染症法上の分類が5類に移行後、患者数は2倍以上に増えているとのコメントが添えられており、新型コロナは再び広がっている気配だが、この数の小ささから切迫感は感じられない。
新規感染者の数は都道府県でまちまちだが、沖縄県が突出して多いとのことだ。新型コロナウイルスの沖縄県の感染状況は、6月18日までの1週間で、1つの医療機関あたりの平均の患者数が28.74人と、全国最多となっており、入院者数は県全体で500人を超え、医療機関での院内感染も相次ぎ、救急部門の診療を制限する病院も複数出ており、医療提供体制がひっ迫しているとのことだ。示される数は小さくても、医療機関がひっ迫しているとの話を聞くと、気を引き締める必要がありそうな気になる。
新型コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は、6月26日、岸田総理大臣と面会した後、全国的には感染者数が微増傾向で、第9波が始まっている可能性がある、と述べたそうだ。
今後の感染者数について7月に人出がコロナ前の水準に戻る想定でAIを使って予測すると、東京都の感染者数は6月中旬から下旬にかけて増え始め、8月中旬には、マスクの着用率が50%の場合はおよそ4400人、20%の場合はおよそ5300人~6700人となったということだ。
新型コロナウイルスはすっかり終息したと思い込んでいたが、どっこいしぶとく生き残っているようだ。世間は感染拡大が懸念されても以前ほど大騒ぎになっていないようだが、ウイルスの弱毒化が進んでいるとの背景もあるようだ。
ウイルスの弱毒化は経験的にその傾向がある程度の認識で、本当のところよく分かっていないようだ。今回のウイルスは変異し易く、再び死亡率が高くなる懸念も残されてはいるが、世間一般には普通の風邪となっており、この油断をウイルスは待っているのかも知れない。2023.06.28(犬賀 大好ー925)