日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

歴代最長記録の安倍首相の残したもの

2020年08月29日 14時51分27秒 | 日々雑感
 安倍総理は2012年12月末に第2次政権を発足させてからの在任期間が、8月23日で2798日となり、安倍総理の大叔父で総理大臣を務めた佐藤栄作元総理の在任期間と並び、歴代最長になった。この日を待っていたかのように、昨日28日、首相辞任の決意表明があった。

 佐藤元総理は2798日の在任在任期間中、日韓基本条約批准、非核三原則提唱、沖縄返還をなし遂げ1974年にノーベル平和賞を受賞した。これに比べて、安倍総理の歴史に残りそうな功績は何であろうか。

 就任当時、北朝鮮拉致問題の解決、北方4島返還、等華々しく打ち上げ、外交問題は俺に任せろと意気軒高であったが、一向に進展を見ないどころか北方4島では逆に後退してしまった。

 安倍首相が個人的に親しいと自慢するトランプ大統領も金正恩委員長との直接会談でも拉致問題を取り上げたようであるが、何も進展は無かった。ロシアとの領土問題では2島返還と譲歩したにもかかわらずロシア国内では、7月4日発効のロシア改正憲法に領土割譲禁止の条項が盛り込まれ、返還は一層遠のいてしまった。

 国内問題では、安倍首相は事ある毎に、「美しい国、日本を取り戻す」「戦後レジームからの脱却」「女性活躍社会」「岩盤規制にドリル」「一億総活躍社会」等、多彩で威勢の良いキャッチフレーズを連発したが、発信明瞭、結果うやむやの感である。

 特にデフレ脱却を目的に物価上昇率2%を目指しアベノミクス、異次元金融緩和を断行した。当初、インフレが心配されたが、それどころか目標の物価上昇率も達成できていない。高齢者にとって、結果オーライであるが、国の借金は1100兆円を越え、市中に出回った金は株価の高止まりを支えている。GDPがコロナウイルス騒動のお蔭で異常な低落となっているが、株価だけは下がらないとはまさに異常状態だ。

 また、アベノミクスのお陰で雇用が増大したとの評価もある。確かにコロナ騒動以前有効求人倍率が異常と言えるほど高かった。安倍首相も有効求人倍率の高いことを自慢してきたが、実体は非正規労働者の増加であった。総務省の労働力調査によれば、2013年から2018年までの6年間で雇用は380万人増加したが、この内55%は非正規職員だったそうだ。技術立国の名前が残るのは自動車産業位で、情報技術では世界にすっかり遅れてしまい、今や中国にも後塵を拝している。 

 長期政権が保たれた原因に関しては色々な評価がある。私には、高級官僚の人事権の把握と民主党政権のていたらくが2大原因と思われる。

 内閣府の人事局による高級官僚の人事権把握は、政治家の無理難題を官僚に押し付けるとともに官僚の忖度を促し、政権への媚び諂いは森友・加計学園問題を引き起こしたが、政権はビクともしていない。

 世論調査で安倍政権を支持する理由として、他に代わるものが無いとの理由が第1位を占めていた。野党時代に主張していたことが民主党政権の実現でことごとく裏目に出た。例えば、事業仕分けにより無駄を無くすことにより、財源の捻出はいくらでも出来るとの主張があったが、華々しい事業仕分けの結果は無残なものとなった。また、東日本大地震に続く、東電福島第1原発事故があり、安倍首相に、悪夢の政権との口実を与えてしまった。

 立憲民主党を含む野党は未だにこの後遺症から抜け出せずに低迷しており、安倍首相にとっては幸運であった。2020.08.29(犬賀 大好ー630)

中国武漢の現在の賑わいを世界は信ずるか

2020年08月26日 08時42分02秒 | 日々雑感
 中国武漢で週末の夜に行われているらしいプールでのイベントの放映があった。入場者数を制限して開催されているとの説明であったが、それでも立錐の余地も無い混雑を伺わせ、武漢がすっかりコロナ前の賑わいを取り戻しているとの内容であった。

 今年の始め新型コロナウイルスの感染が発覚した武漢では、都市封鎖や市民全員のPCR検査を行って感染を抑え込み、その後、新たな感染者を出していないとされている。これも中国共産党の成果を誇る宣伝の一つであろうが、常にやらせの疑惑が付きまとい、どこまで本当か首を傾げざるを得ない。

 4月8日、2カ月半にわたるロックダウン解除された武漢市内では外出制限はなくなり、公共交通や職場は復旧し、市民は平穏な日常生活を取り戻しつつあるとのことであった。しかし5月9日には1人、10日には新たに5人の合わせて6人の新規感染が確認され、武漢市は10日以内に全市民にPCR検査をすると決定した。

 6月2日地元当局は、5月14日から6月1日までに、およそ990万人の市民にウイルス検査を実施し、無症状の感染者が300人いたが、発熱などの症状のある感染者は1人も確認されなかったと報告した。

 そもそも今回の検査を実施する切っ掛けが、新規感染者が発見されたことであったが、症状があったからこそ見つかったのであろう。それ以降症状の出ている感染者が皆無とは到底信じられない。ここにも中国の報道の作為が感じられるが、逆にもっと筋の通った報道が出来ないものかと不思議に思う。

 一方、1000万人近い市民を検査した迅速さと費用は見習いたいものだ。検査に2週間要したとして、1日当たりの検査人数は、70万人以上になる。検査にあたっては、複数の人の検体をまとめて検査する手法等も使って効率化を図り、要した費用は日本円で130億円余りだったとされており、計算上1300円/件位だ。

 日本ではPCR検査の費用は1件当たり3~5万円との報道があり、共産党一党独裁政権ならではの感がするが、一桁過小評価したとしても見習うべき点はある。対処の仕方を世界も見習えるように詳細に報道すれば、少しは中国政府の正しさも理解されるだろうが。

 経済再開による感染者数のぶり返しは東京でも起こっており、武漢での対応の仕方を本来であれば参考にすべきであろう。しかし武漢での日々の暮らしを日記に綴った作家、方方さんの日記が売国奴とバッシングされていること自体に中国政府のすべての発表内容にかなりの脚色があることを伺わせる。

 1997年にイギリスより中国に返還された香港は、香港を介して中国本土の民主化が図れるのではないかと期待された。確かに、経済が発展しグローバル化された部分もあるが、香港の自由な空気が全国に広がり始めていることに中国政府が慌て出したに違いない。13億人を纏めるために強圧的言論統制が手っ取り早いことは分かるが、中国共産党が常に絶対正しいと言う手法がいつまで通用するか分からない。2020.08.26(犬賀 大好-629)

次期首相を巡る素人の勝手な勘繰り

2020年08月22日 09時34分04秒 | 日々雑感
 来年9月に自民党総裁としての任期満了を迎える安倍首相の次を担うポスト安倍レースは熾烈な駆け引きが党内で行われているのだろう。当然素人は完全に蚊帳の外だ。

 安倍首相の健康状態をめぐり、持病の潰瘍性大腸炎が深刻化しているとの見方が最近、政府・与党内で強まっているそうだ。首相は8月17日に慶応大病院で長時間の検査を受けており、その結果報告は一切ないが自民党幹部は病状は相当重いと指摘している。

 先日の朝刊にも、菅官房長官と二階幹事長の秘かな会談が行われているとの報道があった。任期満了まで現在の体制を続けていくことは、自民党のじり貧となるため、その間に内閣改造と総選挙が行われるとの世間の見方が強いが、内閣と党を牛耳る二人の会談はこのあたりの相談では無いかと勘繰る。

 安倍首相の退陣を前提に、内閣の改造が行われ、選挙の目玉となりそうな若手や女性議員を大臣として登場させて、人気の回復を図り、総選挙でかろうじて第1党を確保し、その後首相交代をするのが大雑把な筋書きであろう。

 安倍首相自身は表向き公務の再開に意欲を示しているそうだが、安倍首相の求心力が低下して居るとのことで、既に裸の王様となっているだろう。先の二人にかかれば首相の意向に拘わらず、首相の名の下に自民党の方向を決めることが出来るに相違ない。

 さて、米国では今年11月に予定される大統領選挙はトランプ現大統領とバイデン前副大統領の一騎打ちだ。民主党の副大統領候補は女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員に決まったが、それまでに10人近い女性候補者の名前が挙がり人材の豊富さを伺わせた。

 これに対し日本では、安倍首相の続投が無いとすれば次期首相候補の名前が数人列挙されても良い筈だが、本命がはっきりせず、人材の貧困さを伺わせる。世間ではコロナ騒動で大騒ぎであるが国会議員の現状に満足しっきた危機感の無さも安倍一強政治のなせる業であろう。

 次期首相候補として強いて名前を上げるとすれば、まず岸田政調会長か石破元幹事長であろう。しかし、岸田氏は禅譲を期待しているようで存在感が薄く国民の人気が無いようだ。

 石破氏は強面で信念の人のようで、現在日本が抱える様々な問題に切り込む感がするが、このためには既得権益を崩さなければならず、業界との結びつきが多い国会議員間の人気が無いそうだ。また、石破氏は安倍首相と意見が合わず、一番首相にしたくないとの噂であるが、先の二人の会談もこれを踏まえ、あらゆる手を打ってくるだろう。

 安倍首相が次期首相の有力な候補者の一人と持ち上げた菅官房長官は、二階幹事長と共に、操り人形を操る役目を得意とし、次期首相の陰の力となる方を選ぶであろう。

 また、コロナ騒動でテレビによく登場する西村康稔経済再生担当大臣やイージスアショア配備中止の河野太郎防衛大臣、最近おとなしい小泉進次郎環境大臣の名前も取り沙汰されるが、国民の間での人気があっても、国会議員間のやっかみと足の引っ張り合いが激しく大勢の賛成を得るのは難しそうだ。

 関係無い者にとって権力争いは映画を見るようで面白いが、日本は様々な問題に直面している。これらの問題は容易に解決できないがどのように対処するのか、長期ビジョンの持ち主を期待したい。
2020.08.22(犬賀 大好-628)

新型コロナウイルスは弱毒化しているのか

2020年08月19日 08時53分47秒 | 日々雑感
 当初、新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスより毒性が強く、死亡率が高いとのことで、恐れられていたが最近では新型コロナウイルスの弱毒化が進み、恐るるに足らずの逆の説が現れてきた。

 筆者も”新型コロナウイルスの特異な性質”と題するプログで、新型コロナウイルスは寄生した細胞に害を与えることなく増殖する能力があるらしい(2020.08.05)、と書いたが、これも弱毒化の現象の一種だ。これは、病気の発症前から感染力があるとの最近の情報に注目したからの感想であった。新型コロナウイルスの場合、感染者の約8割が無症状か、軽症でありながら人に感染させる能力だけはあるようだが、人に感染させるほどのウイルスが存在するのに、宿主に害を与えない理由に関しては不明のままだ。

 国際医療福祉大学の高橋教授は以下の仮説を提唱した。新型コロナは毒性が弱いために、人間の細胞が抗体を作り出すほどの外敵だと認識せず、獲得免疫が動き出す前に自然免疫が働き新型コロナウイルスを死滅させてしまい、治癒している場合が多いとの仮説だ。自然免疫とは人間が元々有する免疫機能であり、若い時ほど効果が発揮される機能であろう。

 すなわち、新型コロナウイルスは繁殖力が強いが、幾ら増えても宿主に悪影響を与えるほどの毒性が無い為、自然免疫で治癒すると言うことであろう。そうだとすると若者に無症状や軽症者が多いとの事実も納得できる。

 これまで、インフルエンザと同じように、発症後1週間以内に獲得免疫が立ち上がり、抗体ができる感染モデルで考えていたが、これからは新型コロナ独自の感染モデルを考えなくてはいけないことになる。

 すなわち、このコロナウイルスのほとんどの感染者は放っておけばよく、重症化する恐れのある基礎疾患者や高齢者だけに注意を払えばよいことになる。

 この意味でも、出来る限り多くのPCR検査を実施し、早期に見分けることが重要となる。8月14日、新型コロナウイルスに感染した人が、その後、重症化するかどうかについて、尿を調べることで予測できる可能性があることを日本の国立国際医療研究センター病院の研究グループが明らかにした。

 例えこのような技術が無くても、多くの医者はこれまでの経験から重症化の可能性を見分けることが出来る筈であり、PCR検査の拡充が感染拡大を防ぐ唯一の方法だ。

 また、8月5日、国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターが新型コロナウイルスのゲノム分子疫学調査の報告書を出した。そもそも新型コロナウイルスの遺伝子は、約3万塩基ある遺伝子の内、平均すると毎月2塩基が変異する驚きの早さだそうだ。

 1塩基の変異がどの程度ウイルスの特性を変化させるか分からないが、弱毒化する場合もあれば、強毒化する場合もあるだろう。強毒化する場合は、宿主の細胞を早く死に追いやるので自身も長生きできず、傾向的には弱毒化の方向に進むことは考えられる。

 本当であるなら近い将来インフルエンザと同様に流行性感冒の一つになって、忘れ去られて行くような気持になるが、このためにも当面PCR検査の拡充が重要である。2020.08.19(犬賀 大好-627)

政策の大転換を日本は出来るのか

2020年08月15日 09時04分56秒 | 日々雑感
 日本のエネルギー問題、財政問題や安全保障問題等は日本の将来を決める大きな政策課題であるが八方塞で身動き出来ない状態となっている。これらの問題は、長年問題があると認識されながらも、従来からの方針に囚われ、問題を先送りし、積もりに積もっている。

 特にエネルギー政策は原子力関係で行き詰っている。すなわち核燃料サイクルがとっくに破綻しているのに、無駄と知りながらも莫大な資源を注ぎ込んでいるのだ。現在問題が顕在化しているのは核燃料の再処理工場の建設だ。原子力発電所で発生した使用済み核燃料を再処理する工場は高速増殖炉と共に、日本が国策として推進してきた核燃料サイクルの要だ。

 しかし、高速増殖炉のもんじゅ計画が頓挫し、核燃料サイクルは既に破綻しているが、これに代わりプルサーマル計画を持ち出し何とか生き延びようと悶えている。

 中止できない最大の理由がこれまでに原発で生じた使用済み核燃料の後始末だ。再処理工場の貯蔵プールには全国の原発から集まった使用済み核燃料計約2968本が保管されているそうだ。そこでの貯蔵施設はほぼ満杯状態で、電力各社は各原発施設内での保管を余儀なくされており、そこも近年中に満杯になるとのことで、再処理を急がなくてはならないのだ。

 この難問を如何に打開するか、幾ら人工知能AIが進歩したところ解を示してはくれない。日本の最高の頭脳集団である筈の高級官僚群も任期は数年で、その間前任者の方針に従って大過なく勤めれば、次の役職を用意してくれるため、敢えて波風を立てない方が得だとの判断で、問題提起どころか、新たな提案も無く、問題先送りが専らである。

 これらの高級官僚を使いこなす筈の国会議員も日本の将来より、自分の将来を最優先させ、この難問に目を背けている。

 問題先送りの典型が、核ゴミの最終処分場だ。当面の問題を解決する為、最終処分場は県外に設置すると約束したため、今なお決められずにいる。2,3日前、北海道のある過疎地が候補として手を上げたが、補助金による地域興しが目的とのことで、住民の総意となるか極めて疑わしい。

 日本の原子力政策はほとんどが国内問題であるのに対し、安全保障問題は米国との関係が深いため、政策転換はエネルギー問題以上に困難と思われたが、その一角を河野太郎防衛大臣が崩してくれた。7月15日、河野防衛相が、陸上配備型迎撃ミサイルシステム”イージス・アショア”を秋田県と山口県へ配備する計画を停止すると発表したのだ。

 そもそもこの配備計画は、安倍首相がトランプ米大統領のご機嫌取りに導入を決めたと揶揄される兵器のひとつで、米政府に支払う費用は1兆円近いそうだ。河野大臣はこの配備計画中止を米国との相談無しに安倍首相との会談のみで決定したとの話であるが、トランプ大統領の怒りの声は聞こえてこない。してみるとイージス・アショアの配備は日米安全保障上からと言うより、単なる商売上の取引だけだったようだ。

 さて、上記の配備計画の中止を受けて、ミサイル防衛戦略の見直しに伴う敵基地攻撃能力の保有論が再び頭をもたげて来たようだ。北朝鮮、中国を意識した戦略のようであり、核を有する国への対抗手段であるとすれば何とも考えが浅い。

 一方沖縄の辺野古移転は、県民の反対、計画の杜撰さで問題山積みだし、折りしも防衛省は8月始め、鹿児島県の馬毛島の自衛隊基地の整備計画を発表した。両者の関係が不明だが、河野大臣の問題整理能力に期待したい。2020.08.15(犬賀 大好-626)