オリンピックの開催決定権は国際オリンピック委員会(IOC)にあるそうで、オリンピックの商標、過去の大会の映像などの著作権その他、オリンピック関連の知的財産権を国際的に保有する唯一の団体でもあるそうだ。
さて、東京五輪・パラリンピック組織委員会は先日26日、新型コロナウイルス対策の一環として進めている来日関係者削減計画の詳細を発表した。約1.4万人の選手を除き、全体で約14.1万人から約5.9万人まで圧縮したが、”五輪ファミリー”と呼ばれる国際オリンピック委員会(IOC)関係者3千人、各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)関係者1万4800人はそのまま維持されたとの内容だ。過去のメダル獲得者等の招待者や報道関係者は大きく減らすことが出来たが、五輪ファミリーを減らすことが出来なかったとのことだ。組織委員会の武藤事務総長は五輪ファミリーなどの人数削減が難しい理由について、運営に必要不可欠な人材であると説明した。
大会が一旦始まれば、運営は直接競技に関わる審判員等だと思うが、IOCやNOCの人々が直接門の開け閉めや進行状態のチェック等をするとは思えない。五輪ファミリーは特等席で観戦等することしか無いと思うが。武藤氏の説得力ある説明を聞きたい。
IOCは、この特権を最大限生かせるのはオリンピックの開催の場であるとし、何としてでも開催したいのだろう。最古参のIOC委員が、菅首相が中止を求めても五輪は開催されると発言したようだがこれ程日本を馬鹿にした話は無い。
IOCが国連で決められた組織でもないが、かくも権力絶大である理由は何であろうか。オリンピックはスポーツを介しての世界平和の実現と言うクーベルタン男爵の理念を実現するためのものであり、世界中から尊敬を集める組織となり、それゆえ権威や権力も高まったのであろう。しかし、IOCは商業主義を前面に出してきたが、相変わらず世界から尊敬されていると思い込み好き勝手にやっているのだろう。
日本はこの商業主義にすっかり巻き込まれてしまったが、日本が五輪開催を中止した場合に、日本の経済的損失が何兆円にもなるとの試算はあるが、その他IOCより損害賠償を請求される可能性があるのだそうだ。
どうも、日本側から中止を申し出た場合、明確な契約書は無いようだが、損害賠償を科せられるのは日本側にあると解釈するのが欧米の慣習のようだ。しかし、コロナウイルスが世界中で猛威を奮う中、世界平和の祭典を実現できないとの理由で中止を申し出て、賠償を要求されるのであれば、今でも少ない開催都市の立候補は今後皆無となるであろう。
弁護士の宇都宮氏は、もしIOCが賠償金を請求するようなことになれば、世界中から袋叩きになってIOCは崩壊するのではと持論を述べたそうだが、IOCの改革の為にはこの荒治療が必要かも知れない。
日本は、現在コロナウイルスの蔓延で五輪騒ぎで無いと思うが、日本オリンピック委員会(JOC)は五輪ファミリーの一員の為か全く沈黙を保っている。今こそ、開催すべきか中止すべきか態度をはっきりさせるべきと思うが。2021.05.29(犬賀 大好ー706)