日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

トランプ大統領の再選に必要な成果は日本から

2019年09月28日 15時45分06秒 | 日々雑感
 トランプ大統領の任期は2021年1月20日までで、来年の11月3日には再選を問う選挙が実施される予定だ。トランプ大統領は、大統領就任時にすでに2020年への出馬を連邦選挙委員会に届け出て公式に選挙運動を始め、昨年2月には選挙参謀を指名し、既に多額の資金集めたとされる。

 トランプ氏は再選に意欲満々であるが、大統領のこれまでの言動の評判は芳しくなく、これを挽回すべく成果を焦っており、マスコミもすべての大統領の行動を大統領選に絡めて報道している点ではお気の毒の感もする。

 例えば、先日、元々出席予定が無かった国連気候行動サミットに短時間ではあるが出席した。大統領は地球温暖化対策には冷淡であるとされており、大統領選に向けて少しでも有利となるような宣伝の為の出席あったとのマスコミ評である。

 また、日米貿易交渉が異例の早期決着を迎えたのも大統領選に向けてのトランプ大統領の思惑があったからこそのようだ。農産物では日本にTPP並みに輸入拡大を約束させて中西部の農業州の票を獲得し、自動車の関税に関しては継続審議とすること米国自動車産業の支持を獲得した分けだ。この2点に関しては間違いなく大統領の成果となるだろう。

 しかし、8月末の日米首脳会談後の記者会見で、中国が輸入しなくて余ったトウモロコシを日本がすべて買ってくれる、と記者団を前に商談の成果をアピールしたそうだが、よくもまあここまでホラが吹けると開いた口が塞がらない。

 米国の年間生産量3億6600万トンに対し、日本の追加輸入量は275万トンで割合から見れば微々たるもので、しかも前から決まっていたようだ。また、中国の米国からの輸入量は年間数十万トンで中国が買わなくなったから余っていると言うのは大ウソのようだ。また米国ではエタノール生産のため約4割が使用されるそうだが、トランプ政権は石油燃料にエタノールを混ぜなくてはならない規制の緩和を8月に決めたため、トウモロコシが大幅に余るようになったとのことだ。

 トランプ大統領は外交でも成果が出せないどころか八方塞だ。中国との貿易問題、北朝鮮非核化交渉、イランとの核合意破棄問題、アフガニスタンの反政府勢力タリバーンとの和平交渉、等将来展望が全く見えない。

 このような報道を耳にするとトランプ大統領の支持率は極めて低いと思われるが、政権発足以降ずっと平均40%代前半で推移しており、支持基盤は盤石のようだ。

 支持層は農業地帯、そしてかって製造業が栄えたラストベルトとのことだが、一番の岩盤支持層は福音派であると想像する。信心深いキリスト教徒の福音派は、今でも毎日曜日には教会に行く等、敬虔な信者ではあるが、進化論も信じない根っからの保守的な人々で、例えトランプ大統領の悪評を耳にしても俄かには信じないだろう。

 大統領選挙までまだ1年以上あるが、成果を焦るあまり、最近では、ウクライナ政府に対して政敵バイデン前副大統領と家族に関わる捜査を行うよう促していたことが判明し、民主党から激しい批判を浴びている。

 日米貿易交渉は無事纏まったかに見えるが、大統領選が不利となれば、成果を上げ易い日本にいつ何時理不尽な要求をするかも知れない。
2019.09.28(犬賀 大好-535)

高齢者の運転する自動車は危険ではあるが

2019年09月25日 09時28分54秒 | 日々雑感
 現行の運転免許証制度では、75歳以上の高齢者に対して更新時に認知機能検査が課せられている。この試験での結果点数により3段階に区別され、第1分類では認知症のおそれがあると判断される。しかし第1分類と判定されても、即免許停止にはならず、医者との面談等により更新可能になる。

 警察庁は、2018年1年間の第1分類者の約4万人の処分結果を報告した。それによると、0.2万人が取り消し・停止となり、1.8万人が自主返納、0.6万人が失効させ、残り1.4万人、つまり35%の人々が免許を更新したと言う話だ。

 免許を更新しても、そのすべてが運転するとは限らないが、認知症の恐れがあっても約1/3の人々が運転する可能性があるのだ。

 筆者もこの5月に免許更新のため認知機能検査を行い無事更新できた。しかし、更に9月には道交法違反をしたため再度認知機能検査を行う羽目になった。半年経たない内の検査のためか学習機能が残っており10点も良い成績を収めた。

 このような検査に意味があるのか検査会場で質問した。この検査は直前に指示したことも記憶に留めないような認知症患者を発見するための検査であり、学習機能が残っておれば問題無いとの返事であった。

 2018年に死亡事故を起こした75歳以上のドライバーは460人で、うち事故前に認知機能検査を受けた414人の検査結果を調べたところ、20人(5%)が第1分類の認知症の恐れあり、184人(44%)が第2分類の認知機能低下の恐れありだったそうだ。残りの半数がこの検査では問題無しとされたのだ。

こ の統計結果をみると、高齢者の運転事故と認知症の関係は思ったほど高くはない。最近、アクセルとブレーキを踏み間違え暴走したとの報道をよく耳にするが、半分は認知症と関係ないのだ。

 高齢者の事故は認知機能低下ばかりでなく、運動機能や能力の低下が影響しているのだ。頭がしっかりしているつもりでも体がついて行かなのだ。

 運動能力は年齢と共に徐々に低下するため、自分ではなかなか気が付かない。認知症の特徴はすぐに忘れることであるが、運動能力の衰えを自覚できないことや、若い頃の記憶がなかなか抜けないのも認知症の一種かも知れない。

 高齢者の自動車運転は禁止すべきかも知れないが、運転は認知症を防止する役目もあるそうで、一概に断定できない。運転は、見る、聞く、判断する、操作するなど、脳の様々な機能を発揮しなければならない作業で、更に出かける、人と会って話をする、外食するなど、生きる意欲や楽しみにつなげてくれるものでもあり、運転をすることで、認知機能の低下を防ぐ意味もあるのだそうだ。

 警察庁は自動ブレーキの搭載車に限った限定免許や、免許の取り消しを判断する実車試験の導入の可否について検討しているそうだが、急いでやって欲しいものだ。
2019.09.25(犬賀 大好-534)


日米貿易交渉の早期決着は米大統領選のお蔭か

2019年09月21日 09時14分05秒 | 日々雑感
 今回の第4次安倍政権の内閣改造で外務大臣に茂木敏充氏が就任することになった。茂木氏は経済再生担当大臣として、アメリカとの貿易交渉を無事取りまとめ、以前から外務大臣を希望していたと言われる念願のポスト就任となったそうだ。

 安倍首相は昨年10月トランプ米大統領と会談し、焦点の日米通商問題について、新たに日米物品貿易協定(TAG)の交渉を開始することで合意していた。このTAGは、物品ばかりでなく投資やサービスの自由化にも及ぶ広範囲な自由貿易協定の筈だが、日本政府は従来のFTAとは全く異なり物品に特化した協定だと説明し、米国との認識の差が大きかった。

 さて、茂木氏の下で進められていた貿易交渉は、今月末の国連総会中に安倍首相が訪米し、トランプ米大統領との間で協定書に署名するとの見通しになったそうだ。当初米国側が求めていた物品ばかりでなく投資やサービスの自由化や為替条項は棚上げされた格好だが、大統領の機嫌次第でぶり返される恐れもあるとのことだ。

 この当面の棚上げは、茂木氏の手腕によるとの安倍首相の評価であろうが、一方では来年に控える大統領の選挙に向けて成果を焦るトランプ氏の早期妥結の意欲が大きかったためと推測される。

 さて、2017年1月にトランプ大統領は決着間近の環太平洋経済連携協定(TPP)から離脱し、米国有利となる二国間協定に持ち込み、更に投資やサービスの自由化にも及ぶと予想された。このため、交渉は難航し、長引くと思われていたが、スピード決着したのだ。

 日本の農産物の市場開放については米国が離脱したTTPの水準内に収めることで落ち着いたようだが、TPPに盛り込まれていた米国の自動車輸入関税の削減は先送りされる見込みと伝えられるなど、大雑把な見方ではトランプ政権が成果を勝ち得たようである。

 しかし、肝心の合意内容は、詳しく公表されておらず、最近の報道によればTTPを超える妥協も一部にはあったようで、やはり米国有利となるような結果だ。兎も角、最大の焦点だった農産物で、日本がTPP並みに輸入拡大を約束したことは、2020年の大統領選に向け勝敗を左右するとされる中西部の農業州を獲得したいトランプ大統領の思惑通りに事が運んだわけだ。

 しかも、大統領は米議会に対して、より公正で互恵的な日米貿易関係につながる包括的な通商協定の締結を目指す、と説明し、日米貿易交渉を今後も段階的に進め、最終的に為替条項、サービスの貿易や知的財産保護のルールなどを含む包括的な協定を目指す方針を示しているのだそうだ。

 トランプ大統領は、大統領選挙に向けた戦略の一環として、日米貿易協定の締結を急いだが、それはかなり部分的、暫定的なものにとどまるものであることを、日本は十分に理解しておく必要があるとのことだ。

 大統領の本音がどこにあるかよく分からないが、一方では中国との関税を巡る貿易問題があり、影響度はそちらの方がはるかに大きく、しかも日本のように脅しが効く相手ではない。大統領の関心も専らそちらの方に向かうであろうが、成果が得られない場合、成果の矛先を日本に向けるかも知れない。2019.09.21(犬賀 大好-533)

激化するカジノ事業の誘致競争

2019年09月18日 09時20分03秒 | 日々雑感
 8月22日、横浜市の林文子市長が、カジノを含む総合型リゾート施設(IR)の誘致に乗り出すと正式に表明した。林市長は、この誘致の経済波及効果として、年820億~1200億円の財政改善を想定しており、横浜市の年間一般会計予算総額は1.8兆円程度であることからしてこの金の魔力に魅せられたと思われる。

 IRと称しても金を生むのはカジノだけであり、カジノ抜きのIRの設置は問題外である。横浜市民の7割近くがカジノ誘致に反対とのことだが、市長はIRの経済効果を説明するばかりで、負の側面にかかるマイナスのコストについては何ら言及していないと反対する。

 政府は訪日外国人を増やすためのカジノとしているが、カジノ入場者数の7~8割は日本人になるとの調査結果もあるようであり、韓国ではギャンブルによる家庭崩壊や労働意欲低下で経済損失が6兆円に上がるとの試算もあるようだ。

 これまで、横浜市長はカジノ誘致は白紙として、態度を明らかにしてこなかったが、満を持して名乗りを挙げたようである。羽田飛行場や大都市東京を控える横浜市のカジノ誘致は、カジノ経営者からは絶対的な魅力であり、他の候補地の大きな脅威となろう。

 これまでに大阪を始めとする全国数か所が誘致を目指す方針を示しているが、国は当面最大3か所に限定し、来年中の決定を予定しているとのことだ。

 広大な土地を持つ北海道は、当初道内何か所かが候補地として名乗りを上げていたが、最終的には道議会により苫小牧を優先するという方向で固まっているそうだ。北海道は、誘致に必要不可欠な観光資源や土地を有しており、IRへの理解を深める活動も積極的に行っているそうだが、住民の反対意見も大きく、どこまで理解を得られるかがカギになるそうだ。

 長崎県は、佐世保市にあるハウステンボスへの誘致に向けて、積極的な姿勢を示している。長崎新聞が長崎県民に対して誘致に関する世論調査を行ったところ、賛成が46%、反対が38%だそうで、長崎県民も誘致の方針を支持していると思われる。

 専門機関による概算によると、波及効果として約2544億円が見込まれ、更に雇用者の誘発数予測は約1万人と見込まれ、衰退する地方都市の活性化に向けて大きな期待を掛けている。

 北海道や九州への誘致は、急激に衰退する地方都市の活性化には少なくとも一時的には役立つと思うが、カジノを経営する側からすれば、地方都市より大都市付近の方が垂涎の的であろう。

 大阪府・市は、大阪維新の会の吉村大坂府知事、松井大阪市長が誘致に前向きである。既に決定している2015年の大阪・関西万博までの開業を目指し、政府にも積極的に働きかけているようだ。維新の会とのパイプ役である菅官房長官もその事情は理解しているそうで、現時点では最有力とのうわさだ。

 和歌山は県知事、市長、県議会、市議会のすべてがカジノ推進派という全国でも極めて稀な県だそうだ。しかも、カジノの候補地とされているマリーナシティは関空からクルマで30分程度と立地も抜群だそうで、地元出身の二階幹事長も、千葉県にある東京ディズニーランドを見習って、大坂IRにしようと言っているそうだ。

 地方の衰弱化と大都市人口集中の欠点が顕著な現在、地方都市に設置した方がギャンブル依存症の発生には目を瞑るとして多少メリットがあるのではないだろうか。大坂の菅官房長官と和歌山の二階幹事長の政治力がどのように発揮されるか見ものである。2019.09.18(犬賀 大好-532)



野党の再生は現政権に無い長期ビジョンの提案から

2019年09月14日 09時44分37秒 | 日々雑感
 先月、立憲民主党と国民民主党の統一会派結成があった。枝野代表は安倍政権と違うもう一つの選択肢を国会論戦を通じて訴えて行けば、今の政治状況を大きく変えることが出来ると意気込みを語ったが、今のままでは社民党の二の舞を踏むことになろう。

 今夏の参院選挙戦では、社民党の吉川幹事長と福島副党首の二人の、政策内容より社民党消滅の悲壮感を漂わせる訴えが印象的であった。

 社民党の前身の日本社会党時代は、労働組合の総元締めだった総評の組織力を背景に支持を集め、特に1994年〜1996年、自由民主党、日本社会党、新党さきがけの3党が連立を組み,社会党委員長村山富市が首班となって組閣したのが、社会党の絶頂期であった。

 しかし、村山首相はクリントン米大統領との電話会談で日米安全保障条約の堅持を表明するとともに国会で自衛隊合憲と宣言した。それまでの主張と相反する発言であったが、現実に向き合うしか仕方なかったのであろう。しかし、これにより社会党の政策は現実に合わないことが実証され、社会党の衰退の大きな要因になった。

 また1996年には民主党が結党され、鳩山由紀夫氏は菅直人氏とともに代表に就任し、2009年第93代内閣総理大臣に就任し、税金の使い方を巡り事業仕分け等で話題を集めたのが民主党の絶頂期であった。

 財源は事業仕分けで確保できるとの前宣伝であったが騒ぎの割には成果は少なかった。党内の不統一もさることながら、現実に合わない政策がその後の衰退の大きな原因であろう。

 その後返り咲いた安倍首相は長期に亘り政権を維持しているが、財政問題、年金問題、エネルギー問題、領土問題、対韓国問題、拉致問題等、行き詰まりが目立つ。しかし、残念ながら各野党からもこれらの問題に対する将来ビジョンを聞かされることがない。

 特に憲法改正問題は、首相の長年の夢である。しかし、当面は憲法に自衛隊の存在を明記することとしているが、それだけでは他の項目との矛盾も目立ち、更なる改正も必要となる。しかし最終的にどのように改正するかの長期ビジョンは示されていない。

 片や社民党、立憲民主党や日本共産党等は、ひたすら現憲法を守る立場である。現日本は、中国との間で尖閣諸島、韓国との間では竹島、ロシアとの間では北方4島と、領土問題を抱えているが、憲法とも密接に関係している。

 N国党の丸山穂高議員は竹島や北方4島を取り返すには戦争しかないと主張している。この主張は戦争を放棄した現憲法を否定するもので、与野党から大きな批判を浴びている。

 これらの領土問題でも安倍政権は完全に行き詰っているが、野党からも安倍政権と違うもう一つの選択肢は提示されず、安倍政権は現状に埋没し切っている。世界的にグローバル化が進む現在、地域の2国共同管理等の新たな提案など智恵を絞らなくてはならないが。

 地球温暖化に伴う重大自然災害の頻発等、生活者の中から湧き出てくるような課題を積極的に取り上げるのが政治家の役目だとの主張もある。

 しかし、地域の問題は地方議員等に任せ、国の問題を真剣に考えるのが国会議員の役目でもある。野党の再生は現政権には無い将来ビジョンを提言してこそ、将来が開ける。2019.09.14(犬賀 大好-531)