日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

豊洲市場移転延期に伴う損害費用は誰が支払う

2016年11月30日 17時41分33秒 | 日々雑感
 豊洲市場への移転延期に伴う市場関係者への補償について、東京都の小池百合子都知事は今月18日の定例会見で、来年4月から補償金の支払いや申請受け付けを順次開始したい考えを示した。補償開始までの間の資金繰りを支えるつなぎ融資も実施するとのことである。

 東京都水産物卸業者協会によると、加盟する6社が当初の移転予定日だった今月7日から1カ月間の損失額を試算したそうだ。築地市場の老朽化した設備の修繕費など一時的なコストは合計で1億3500万円、新たに採用した従業員の人件費や豊洲市場の電気料金などの維持管理費は3億円になるとのことだ。維持管理費は今後も移転が完了するまで毎月掛かるという。

 この補償費は東京都が、すなわち税金で支払われるのであろう。移転の遅れをもたらした責任者として8名が先日特定されている。しかし、名指しされた責任者は単に立場上の監督責任を問われただけに過ぎない。通常犯人であれば動機があるはずであるが、それは不明のままであり、また何か利益を得ていたのかも不明のままである。

 東京都の小池百合子知事は25日の定例記者会見で、豊洲市場で土壌汚染対策の盛り土が行われなかった不祥事に関し、中西充副知事ら市場の歴代幹部計18人を減給の懲戒処分とすると発表した。現役職員が12人、退職者が6人で、退職者には減給相当分の自主返納を求めていくという。

 しかし、これだけの減給処分がなされたところで、東京都が支出する補償金に比べたら微々たるものであろう。結局、小池都知事は莫大な補償金を支払わざるを得なくなった原因を作った犯人を突き止めることが出来ず、やむを得ずスケープゴートを祀りあげた格好だ。

 スケープゴートとは、心理学用語では「集団自体が抱える問題が集団内の個人に身代わりとして押しつけられ、結果として根本的な解決が先延ばしにされること」とされる。単に先延ばしされただけであればよいが、結局有耶無耶になる懸念もある。

 小池都知事の仕事は、東京五輪の施設建設問題、待機児童問題等、待った無しの問題が多々あるのでこの問題に専任出来ないのは理解できる。それにしても多数いる都議の面々働きが全然聞こえてこないのは、職務怠慢と思わざるを得ない。

 小池氏の報酬半減が都議会で了承されたのを受けて、一般都議の報酬も減額しようとの動きもあったが、最近どうなっているのであろうか。それどころか、11月25日の報道では、東京都議(126人)の政治活動費、14億2千万円の内2億6千万円が支払先や支出の内容が明らかにされていないことも明らかにされた。議員の椅子に安住し、惰眠をむさぼっているとしか思えない。

 小池氏は都知事選挙期間中、都議会はブラックボックスと言い、都政改革を公約にしていた。当選後その実行のために「都政改革本部」を立ち上げ、その特別顧問として辣腕、上山信一氏を任命した。氏は慶大教授であると共に、以前にも大阪維新のキーパーソンとして活躍していた。是非、都議の連中に喝を入れてもらいたい。

 さて、今月12日、政治塾「希望の塾」第2回講義が開催されたが、講師、猪瀬直樹氏は、都議会にドンと呼ばれる人が存在する構造が問題であると言及したようだ。ドンとは長年自民都連幹事長を務めた内田茂氏のことだ。内田氏は都知事選の責任を問われて幹事長を退いたが、後任の幹事長に腹心の高島直樹都議を起用し、相変わらず陰で顔を利かしているのであろう。

 都の某幹部は、”東京五輪を控え、都内では新国立競技場の建設をはじめ、各地で再開発計画など巨大事業が進められており、内田さんはその利害調整の要にいる。都庁の役人は内田さんに相談することで国への根回しを期待し、企業は計画を予定通りに進めてもらえる”、と話しているとのことである。このような利権の中心人物の人間が、豊洲移転問題で話題に上がら無いのは反って不自然に感ずる。

 また、来夏の東京都議選に向けて、自民党東京都連が24日までにまとめた1次公認のリストに、都議を7期務めている内田茂都議(77)が入っていないことがわかった。理由は年齢上の問題とされているが、単に都民の目を一時的に背けるためか、あるいは都議にならなくとも十分院政を敷ける自信の表れかもしれない。内田氏の選挙区の千代田区(定数1)は候補者が未定となっているため、内田氏が再び立候補する可能性は十分にある。今後の内田氏の動静が気になる。2016.11.30(犬賀 大好-290)

ファジーと言えば、

2016年11月26日 08時38分47秒 | 日々雑感
 ”ファジー”の研究で日本人がノーベル医学・生理学賞を受賞したと聞かされたとき、”えー”と思った。昔技術者であった筆者は、ファジーと聞くとファジー制御しか頭に思い浮かず、ファジー制御が医学・生理学の分野に応用されたと早合点したからである。しかし、受賞したファジーは、Phagyであり、制御のファジーはFuzzyであった。日本語ではいづれもファジーであるが、正式の発音は当然異なる。

 ノーベル医学・生理学賞の受賞者に選ばれた東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏が解明した「オートファジー(自食作用)」(AutoPhagy)とは、 私たちが生命活動を維持する上で欠かせない細胞のたんぱく質のリサイクルに関する仕組みであるとのことだ。制御のファジーとは全く関係ない。

 すなわち、私たちの体は30兆個以上の細胞から作られているが、その細胞ひとつひとつに必要不可欠なのが蛋白質であり、細胞内で不要になった蛋白質を分解し、必要な蛋白質に作り替える、いわば、リサイクルの仕組みが自食作用なのだそうだ。

 成人は1日に約60~80gの蛋白質を食事から摂取し、それを消化してアミノ酸に変換して再吸収し蛋白質として細胞内に蓄積する。ところが、体の中では1日に160~200gもの蛋白質が合成されているそうで、半分以上がリサイクルされた蛋白質なのだそうだ。すなわち、私たちの体の半分はリサイクル品なのだ。

 分解された蛋白質は新しく蛋白質を造るための材料になる。私たちが一定期間食事をとらなくても生きていけるのは、この自食作用があるからだそうだ。蛸が自分の足を食べてひもじさを凌ぐと言われるが、人間は無意識の内に同じことをやっているのかも知れない。何とも不思議な生命活動である。

 私達の肉体は一見安定した存在に見えるが、実は約2ヶ月で体のほとんどの部品は入れ替わっていくのだそうだ。これが分子生物学者の福岡伸一氏が言う ”動的平衡” のことだろう。福岡氏は、身体を構成する蛋白質は、たった三日間の内に食物由来のアミノ酸の約半数によって置き換えられる、と説明している。置き換わる時間の違いはあるが、兎も角、分子レベルでは急激に我々の体の成分は置き換えられているのだろう。

 自分の手の甲の皺を見ながら、皺の形は毎日ほとんど変わらないが、皺の中身の一部は3、4日前に食べた豚肉に置き換わっていると思うと、何とも不思議な気持ちになる。老化現象の表れでもある皺を構成する物質が自食作用で置き換わっていくのであれば、ついでに皺も昔のように滑らかに変わってもらいたいと思うが、大隅氏等の研究が発展すれば可能になるかも知れない。

 さて、日本語でファジーと言えば、Fuzzyも有名である。ファジー理論やファジー制御の言葉で使用される。人間が何かするとき、それまでの経験などから次にとるべき行動を判断する。ディジタルな場合にはそれぞれ0か1かしか無くきちんと決めるが、実際にはこの程度であればこの程度にしようと「いい加減さ」も含めて動作を決める。対象を制御の数式で表すのではなく、人間の持つこうした経験、知識のルールを集めて行う制御がファジー制御である。仙台市の地下鉄の車両運転制御システムはその代表的な応用例らしいが、発車、停止が滑らかであり、乗り心地が快適なようである。このようにファジー制御は色々な面に適用されているに違いない。

 PhagyもFuzzyも日本語ではファジーであり、横文字の同音異議語となる。どちらも専門用語で、内容は門外漢には馴染みがないが、生活の中に浸透している技術であったり、自身の肉体の中で常に働いている現象なのだ。2016.11.26(犬賀 大好-289)

温室効果ガス削減への見通し

2016年11月23日 08時40分28秒 | 日々雑感
 11月9日、大方の予想を裏切り米国次期大統領にトランプ氏が決まった。同氏は問題発言が多いが、その一つに、”地球温暖化はでっち上げ”との主張がある。しかし、様々な角度からの検討の結果からして、地球温暖化は温室効果ガスの影響であることは間違いないであろう。

 地球温暖化対策を話し合う国連の会議、気候変動枠組条約第22回締約国会議(COP22)が北アフリカのモロッコで7日開幕され、今月4日に発効したパリ協定の実行に必要なルール作りの議論が始まった。日本は、国会承認が遅れたため、この議論に正式に加わることが出来なかったが、COP22のメズアール議長は”日本はこれまでも温暖化対策において資金や技術面で貢献してきた”、と賛辞を述べ、この会議でも重要な役割を果たす期待を表明した。その通りで、これまで、京都議定書等で世界を主導してきた日本抜きでは考えられないだろう。

 米国と中国は今月初め、2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」を批准したと発表した。これにより温暖化対策の国際会議に、2大排出国の米国と中国が始めて参加したのだ。両国の同協定批准で、190カ国・地域余りが同意した協定は年内発効の可能性が高まった。これで、地球温暖化対策は万全となり、温度上昇は抑えられるだろうと期待されるが、筋書き通りには進まないであろう。

 米国議会は、排出ガスの規制は国内の製造業の競争力を弱めると反対の立場であったが、環境問題に熱心なオバマ大統領が反対を押し切ったため、ようやく参加となったのだ。

 中国は、毎年冬北京等の大都会におけるPM2.5発生で有名であり、対策が急がれる筈であるが、片や世界の製造業の立場を死守するため、本気で取り組むようには思えない。単に国際的に一流国になったこと示す見せかけの姿勢か、オバマ現大統領に擦り寄るためとの説もある程である。中国が、例え本気で取り組んだとしても、北京に青い空を取り戻するためには、何年もかかるであろう。

 さて、トランプ次期大統領は、パリ協定破棄を公約に掲げて当選した。パリ協定は即時退出来ないことを規定しているが、脱退できないとしても消極的な姿勢は変わらないであろう。

 パリ協定の合意事項の中では、工業化前すなわち産業革命前と比して世界の平均気温の上昇を 2℃より十分に下回る水準に抑制し、1.5℃以内に抑えるよう努力するという長期目標を決めている。京都議定書は、数値目標の「達成」を先進国に義務づけていたが、パリ協定はすべての国に対して、自国の目標を作成・提出し、目標達成のための国内措置を実施することを義務とした。

 一見、パリ協定ではより厳しい条件が課せられたように見えるが、そもそも、達成されなくても罰則の無いことは京都議定書と同じで、それが一番の問題である。国際的には、自国はこのように高い目標を掲げて努力していると宣言しても、自国の都合により何もしなくてもよいわけだ。COP22は、2018年までに詳細ルールを作ることを合意して19日閉幕したが、米国でのトランプ大統領の誕生を始めとする保護主義の高まりの中、見通しは極めて暗い。

 日本は、昨年暮れ、エネルギー・環境イノベーション戦略策定ワーキンググループの設置を決めた。そして、今年3月、内閣府の有識者会合は、革新的な技術を開発して温室効果ガスの排出を大幅に減らすことを目指す「エネルギー・環境イノベーション戦略」の案をまとめた。COP22の開催とは関係なく、それと同じ目標である気温上昇幅を2度以内に抑えるためには、50年までに300億トン以上減らす必要があるとし、更なる省エネを目指した自動車、エネルギーの蓄積技術、効率的な二酸化炭素の分離・回収技術、人口知能やビッグデータなどの活用によるエネルギーシステムの最適化、等を検討課題に掲げた。

 COP22に正式参加出来なかったと言って嘆くことはない。単なる目標設定ではなく、実質的に効果のある検討や実行が必要だ。地球温暖化による異常気象の発生は年々増加するだろう。これらの技術はいづれ世界から注目され、日本の立場が再認識される。2016.11.23(犬賀 大好ー288)

韓国のコネ社会と日本の村社会

2016年11月19日 09時46分48秒 | 日々雑感
 韓国のパククネ(朴槿恵)大統領が窮地に追い込まれている。原因は、大統領の40年来の知人の女性や大統領府の元側近2人などが2つの財団への資金拠出や、大統領府の内部資料を受け取っていたとして、逮捕されたからである。

 過去の大韓民国の大統領は、在任中に暗殺されたり、退任後に自身や身内が刑事捜査によって有罪判決を受けたりして、不幸な末路を迎えている例が多い。大統領の絶大な権力に親類縁者が群がる構造が目に付く。朴氏もそれを十分認識していたためか、兄弟との関係を疎にしている筈であったが、親友と信ずる女性から不祥事が広がったのだ。

 韓国はコネ社会と揶揄される。韓国での貧富の格差は、韓国社会の不調和、不安定の原因となっており、非常に深刻な問題となっている。韓国で貧富の格差が生じている原因として、多くの韓国人が家柄とそれに関わるコネを挙げている。家柄、コネ、出自といったものが個人の運命を決定付けると、男女を問わず信じられているようだ。特に男性の場合、就職活動時には公平な試験で採用された思っていても、入社した途端コネで入社できた人が特別扱いされると直ぐに思い知らされるそうだ。

 現在の韓国は、大雑把に言って、1/3がキリスト信者、1/3が仏教徒、残りの1/3が儒教を含むその他諸々なのだそうだ。儒教は、信者が少なくなったと言えども、儒教文化が深く浸透しており、現在でもその遺風が朝鮮の文化の中に深く残っているらしい。

 例え、キリスト教徒、仏教徒であっても、心の底には儒教の精神が根付いていることは、仏教徒である日本人に神道が浸透しているのと同じことであろう。

 儒教は中国の孔子より始まったが、朝鮮王朝時代に儒教を歴代の為政者が重用したため朝鮮社会に広く浸透したようだ。儒教は、仁、義、礼、智、信という5つの徳性を重んじ、五倫関係を大切にすることを教える。五倫とは、父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の関係であり、自分の回りの人間関係を重んじ、大切にしなければならないと教える。これがコネ社会が築かれる土壌であるだろう。

 限られた、閉鎖された社会の中で、自分たちだけの都合で動く社会を日本では”村社会”と揶揄するが、これと似たところがある。日本の村社会の起源は、農耕の共同作業からだと考えるのが一般的である。農耕主体の社会は、生活に必要な資源を共有し、寄合や祭礼等の年中行事を一緒に行う共同体であった。そこにおいても人間関係は重視され、従わない人間は村八分であった。

 しかし、外界との接触が大きくなり、村の中での独自の決まり、しきたりが外界とのそれと矛盾をきたすようになっても、自分たちの利益を最優先させるのが、悪口で用いられる村社会である。最近では、東京都庁が有名である。

 韓国におけるコネ社会、日本における村社会は、利害を共有する仲間が集う社会であり、自分たちの利益しか考えない組織であるため、長年の間には弊害が出てくることは当然である。

 一方、そのような社会の中では、仲間意識が高く、意思疎通が速やかに図れるという利点もある。災害大国の日本は、地震、噴火、台風等自然災害が頻繁に発生する。これに迅速に対応するために、地域のコミュニティ作りが推奨されるが、このコミュニティとコネ社会や村社会と本質的な違いはあるだろうか。
 
 東京等の大都会では隣人でもよく分からないことは珍しくない。このため、向こう三軒両隣との日頃の付き合いが、災害時には役に立つと教えられる。全くその通りと思うが、その中で小さくまとまり過ぎ、外に対して閉鎖すると、コネ社会や村社会と同じ弊害を持つようになるのであろう。過ぎたるは及ばざるが如し、である。2016.11.19(犬賀 大好-287)

自動運転車の経済効果

2016年11月16日 09時17分42秒 | 日々雑感
 高齢化社会の進行と共に、高齢者による運転事故が急増している。ブレーキとアクセルの踏み違いや、高速道路における逆走を原因とする事故である。高齢化に伴う、運動神経、反射神経の劣化、あるいは認知症の進行が起因している。これに対し行政も運転免許取得の厳格化などで対処しているが、抜本的な対策とはなっていない。それより自動運転車の普及が期待される。

 車の自動運転の程度は国土交通省や米運輸省道路交通安全局(NHTSA)により5段階のレベルに分類される。このレベルは自動運転の程度を表すと共に、技術的困難さにも相当しており、レベルが高いほど人間は運転の煩わしさから解放される。高齢者対策としては、比較的低レベルのレベル0~1で十分効果が発揮できそうである。

 レベル0とは衝突警告などであり、車が障害物に近づいた時、ブザー等で運転者に知らせるが、すべての主制御系統(加速・操舵・制動)の操作を従来通り運転手が行わなくてはならず、余り自動運転のイメージは無い。

 次のレベル1では主制御系統のいずれかを自動で行うシステムであり、既に自動ブレーキなどの安全運転支援システムを標準装備としている車も市販されており、高齢化対策として大いに役立ちそうである。しかし、問題はコストである。高齢者は、先が短いとして、高い投資は避ける傾向にある。このため低ガソリン消費車以上に、政府の補助が期待される。

 レベル4では完全自動運転可能となり、自動車には人間のためのハンドルやブレーキは無いとのことだ。車に乗り、行き先を指定すれば、眠っていても目的地まで、運んでくれる。レベル2,3は、中間に位置する特性の車である。

 各自動車企業やAI企業は、将来の完全自動運転車を目指して、熾烈な開発競争を進めている筈だ。米国フォードモータ社は8月16日、完全自動運転車を2021年までに供給すると発表した程であり、遠い将来の話ではない。今後自動車の自動運転技術は急激に進むであろう。

 さて、自動運転車はこのように技術的成長分野であること間違いないが、この普及が経済成長すなわちGDPを押し上げることになるだろうか。これにより安全で便利な社会に近づくことは間違い無い。そのため自動運転車に買い換える人は出てくるであろうが、これまで車を運転しなかった人が新たに購入するようになるとは思えない。従って、車の全体数が爆発的に増えるとは予想できない。

 国内向けの自動車販売台数の増加が期待できないとすれば、GDP増加とはならないだろう。しかも日本は当面少子化が進むため、日本国内においては、既に販売台数そのものがじり貧状態である。

 だからと言って、技術革新を怠る訳にはいかない。既に日本の自動車企業は世界と競争しており、外貨稼ぎの筆頭であろう。技術革新への努力の結果は一層海外市場に向けられなくてはならない。

 11月9日、米国次期大統領にトランプ氏が決まった。氏は選挙運動中、環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership;TPP)の破棄を公言している。正式大統領に就任した場合、完全破棄することは無いとは思うが、少なくともこのまま承認することは無いだろう。

 現在世界的にも、グローバライゼイションの行き過ぎが見直されつつあり、各国は保護主義的な傾向が高まっている。しかし、日本はTPPを成長戦略の一環と捉えており、アベノミクスの目玉でもあるため、黙っている訳にはいかない。

 TPPがどうなろうと、日本の自動車産業は海外市場が必須である。世界一の自動運転技術を生かすためには、国内市場は狭すぎる。TPPがだめなら、米国抜きの西太平洋パートナーシップでも主導すべきであろう。2016.11.16(犬賀 大好-286)