日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

人気のない岸田首相は一体何をやりたいのか

2023年10月28日 13時46分49秒 | 日々雑感
 自民党の世耕参院幹事長は10月25日の参院本会議での代表質問で、岸田首相の指導力について苦言を呈した。あるべきリーダー像を、決断し、分かりやすい言葉で伝え、人を動かす、等と説明したうえで、世の中に対しても、何をやろうとしているのか全く伝わっていないと、と厳しい見方を示した。世耕氏は首相の続投を支持しているとのことだが、最近の首相の態度に危機感を抱いたための苦言であろう。これに対し、首相は強い意志を持って政策を実現する姿勢を示すことが重要だ、等と応じたが、何時ものように質問にはまともに答えていない。この態度こそ国民に人気の出ない証だ。

 さて、10月中旬に実施した世論調査では、岸田内閣の支持率は政権発足後最低の35.6%、不支持率は最高の59.6%となったそうだ。調査では、9割超が物価高による家計負担に不安を感じると回答し、特に女性の支持離れが目立ったようだ。首相は支持率下落について官邸で記者団に問われると、物価高対策に取り組む姿勢を重ねて強調した。

 消費者物価指数の上昇率は、ことし8月まで17か月連続で日銀が目標とする2%を上回っているが、日銀の植田総裁は、賃金上昇を伴う形での2%の物価安定目標の達成を見通せる状況には至っていないとして、今の金融緩和策を粘り強く続ける考えを示している。岸田首相のいつもの言である、分り易く丁寧な説明を、この日銀の国民感情との食い違いに言及したならば支持率の上昇に多少は効果あると思うが。

 岸田首相はやりたいことの一つに少子化対策を上げていたが、最近は経済一辺倒で少子化対策はどこかに消えた感である。税収の増加に気を良くして減税を口にしているが、今こそ増税分を財政健全化に向けて活用すべきであるが、選挙に向けてのご機嫌取りで、岸田氏の長期展望を伺えず、何をやりたいのかさっぱり分からない。

 ただ、次期総裁もやりたいことは、はっきりしているようだ。先日の内閣改造人事で次期総裁候補を封じ込めた成果が表れているのか、現在有力なポスト岸田が現時点では見当たらない。総裁になることに意欲を示している茂木幹事長は、秋の党総裁選を巡り岸田首相が再選を目指して出馬した場合、「幹事長である私が出るとなれば、『令和の明智光秀』になってしまう」として、立候補に消極的な姿勢を示しており、幹事長を続投させた岸田氏の思惑通りになっている。

 10月23日に行われた長崎と四国における国政選挙は、与党と野党の一騎打ちであったが一勝一敗に終わり、この秋の総選挙は遠のいたとの論調が目立つが、首相は二敗しなかったことに安堵していることだろう。今の状態で総選挙が行われたならば、自民党敗れるだろうだろうが、岸田氏の責任を問うて次期総裁候補に誰が立候補するであろうか。

 8月に実施された世論調査で、ポスト岸田にふさわしい自民党議員について聞き取りしたところ、1位・石破茂元幹事長、2位・河野太郎デジタル相、3位小泉進次郎元環境相……といった順番で岸田首相は5位でだったそうだ。この3人は国民的な人気があっても、自民党ではあまり人気がなく、候補になれそうにない。2023.10.28(犬賀 大好ー958)

外国人労働者獲得競争の時代

2023年10月25日 09時19分28秒 | 日々雑感
  外国人が日本で働くための資格はいろいろあるが、「技能実習制度による資格」はその内の一つであり、元々は日本の技術を修得することにより帰国後に出身国での経済発展に役立てることを目的にした制度であったが、日本の人手不足を補うための手段として使用される等の問題があった。

 外国人の単純労働者を技能実習の名目で受け入れる技能実習制度が、開始から30年たってようやく特定技能制度等に見直され、労働者の確保を目的とした制度に変更されつつある。日本の社会は少子高齢化が進み、働く人が減り人手不足が顕著になり、いよいよ差し迫った問題となってきた背景もある。

 この状況は韓国でも同様で外国人労働者を招くため様々な工夫を日本以上にしている。韓国は1993年、日本をモデルに「産業研修生」制度を始めた。しかし、労働者としての権利が保護されない制度には問題が大きいと判断され、2004年には単純労働者だという実態を認める「雇用許可制」に移行した。特徴は政府管理下での受け入れで、政府が各業界からの要望に基づいて、製造業や農畜産業など業種別の年間受け入れ数を決め、その上でベトナムやタイなど労働者を送り出す国と政府間協定を締結し、悪質なブローカーを排除しようとした。韓国では、日本の技能実習制度を模した制度から始めたそうだが、改善は日本より早く、最近では逆に日本が真似していると思われる程である。

 2018年には永住を視野に入れた「熟練技能」が創設された。雇用許可制などで一定期間働いた人を対象にしたビザで、年収や保有資産、韓国語能力、納税の有無などで点数を積み上げ、高得点者からビザを取ることが出来、400人から始まった人数は徐々に増やされ、2022年は2000人、2023年には5000人となったそうだ。

 韓国政府は今年9月1日、外国人の家事労働者の受け入れを解禁する方針を決めたそうだ。早ければ12月から半年間、ソウルでフィリピン人約100人が試験的に勤務を始めるとのことだ。家事・育児を助ける家事労働者を増やし、仕事と家庭の両立をしやすくすることで、少子化対策につなげる狙いだという。日本政府も少子対策を叫んでいるがこの点でも後れを取っている。

 外国人に家事労働を委託する件では香港は既に家政婦大国となっている。香港で働くメイドの数は約24万で、人口が700万弱であることを考えると非常に多く、人口の3.4%を占めている。国土が狭く、人口の少ない香港では、早くから女性の労働力を有効活用する政策が取られており、育児と家事労働の負担を軽減するため、積極的に労働者を海外から招聘してきたという歴史がある。

 日本も近い将来、外国人に家事労働も頼ることにもなりそうだ。しかし日本で働けば大金を稼げるとは必ずしも言えない時代となり、韓国など近隣国との労働者獲得競争も激しくなって行くと思われる。2023.10.25(犬賀 大好ー957)

日本は移民政策をどんどん緩和せざるを得ない

2023年10月21日 15時34分40秒 | 日々雑感
 外国人労働者のあり方を議論する政府の有識者会議は10月18日、技能実習に代わる新制度を提案した。この案では、就労から1年を超えれば転職を認める案が示されている。さて2023年6月末で技能実習生は35万8159人いるが、2022年には9006人が本来の実習先から失踪したそうだ。現在の実習制度では職の移動は認められておらず、来日前に本国の悪質なブローカーに多額の手数料を支払うなどして借金を抱えている場合、高賃金の働き口を求めて失踪するケースが多々あるそうだ。

 厚労省によると、技能実習生の22年6月の平均月収は17万7800円で、外国人労働者の平均(24万8400円)よりも低い。企業の倒産や人権侵害などやむを得ない場合に限って転職を認めているが、技能実習生は原則転職できない。労働基準法は長期の労働契約でも就労開始から1年経過すれば、いつでも退職できると定めておりこれに準じ、新制度は条件付きで転職を認めるようだ。

 この制度に先立ち特定技能制度を設けており、家族を呼び寄せ永住することも条件は厳しいが可能となっている。これまで日本は移民制度を認めていないが、これらの制度改革により、日本も移民制度は徐々に緩和していくと思われる。

 国立社会保障・人口問題研究所が今年4月に公表した日本の将来人口推計では、中位仮定の下で、2070年の人口は8,700万人と、2023年の推計値1億2,441万人から30%の大幅減少となるとされた。岸田首相も日本の人口減少に危機感を覚え子育て支援制度を推進しているが、余り本気度が伺えないし、例え出来たとしても現在の人手不足に対処するには時間がかかり過ぎる。

 有識者による令和臨調は今年6月、人口減少下で日本社会の未来像を提案する呼びかけ第一弾「人口減少危機を直視せよ」を公表した。この中で、「もはや少子化対策だけでは日本の急激な人口減少を食い止めきれない」として、外国人の積極的な受け入れを、人口減少への対応策として打ち出している。

 隣の国韓国も日本同様に人口減に悩んでいる。韓国の若者の間でも結婚や子育てへの関心が薄れている中、外国人労働者を呼び入れて、家事の負担を担ってもらうという新たな政策に乗り出したそうだ。家事や子育ての負担の大きいことは、以前から韓国の結婚率や出生率の低下の要因に挙がっており、外国人による家事労働支援が望まれていた。

 日本の特定技能制度では12の分野と決まっており、そこには家事労働者は含まれていない。韓国の外国人受け入れ可能職種を十分把握していないが、今回家事労働まで検討課題にしているとは、この点韓国の方が外国人を受け入れる分野が広そうである。近い将来、日本と韓国間で外国人を受け入れる競争が激しくなりそうであるが、日本は現在異常な円安状態であり、この点だけでも日本は劣勢に立たされている。2023.10.21(犬賀 大好ー956)


統一教会が解散しても政治家への接近は続くであろう

2023年10月18日 09時16分29秒 | 日々雑感
 旧統一教会をめぐる問題で、文部科学省は10月13日、民法上の不法行為などを理由に、教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求した。11カ月に及ぶ教団に対する調査を経て、教団への解散命令の是非が司法の場で審理される見通しとなった。教団側は多数の弁護士を抱えており全面的に争うつもりとみられ、裁判は2年以上かかる見込みだそうだ。

 過去に法令違反を理由に解散命令が確定したのはオウム真理教など2件であり、いずれも幹部らが起こした刑事事件が根拠となったが、旧統一教会は幹部による刑事事件は確認されておらず、霊感商法や高額寄付等が問題となっているのだ。

 旧統一教会は政府が示した解散命令請求の方針について「極めて残念で遺憾」とコメントを発表した。「今後は裁判において法的な主張を行っていく」として司法の場で争う構えを示した。政府は「組織性、悪質性、継続性」の3要件を満たせば民法上の不法行為を理由に解散命令を請求できるとの基準を設けているが、これら3要件はいずれも定性的なため被告と原告側の主張がかみ合わない恐れがあり、裁判は長引く可能性が充分にある。

 統一教会と政界、特に自民党議員との関りは想像以上であることが報道されている。昨年9月、自民党の茂木幹事長は旧統一教会と党所属国会議員の関わりについての調査結果を公表した。衆参両院の所属議員全379人から回答を得て、教団側と何らかの接点があったのは半数近くの179人だったと明らかにした。自民党の調査で教団と接点があったとして氏名を公表された衆院議員のうち、2021年の衆院選で次点との差が1万票以下だったのは16人、選挙区で敗れ比例復活だったのは27人だったそうだ。これら43名の議員は、特に今秋にでもあると噂される衆院選での影響を心配しているだろう。

 一般選挙人の拒絶反応も怖いが、選挙運動員を依頼できなくなる恐れもある。運動員が統一教会の信者であれば、上から言われたことは絶対命令として必死に選挙運動をやってくれるだろう。解散命令が出されても、ほとんどが様子見でだんまりを決め込むだろう。

 何しろ細田前衆議院議長は旧統一教会の関連団体の会合への出席8回、祝電の送付3回などを認めているが、いずれも問題は無いと言うばかりで、今もって説明らしい説明をしていないのだ。問題無しと思うならば、胸を張ってその理由を述べるべきだ。国会議員の模範となるべき議長がこんな有様では一般議員は推して知るべしであり、何とも情けない。

 そして教団へ解散命令が出されたとしても、宗教法人としての納税義務免除が無くなる程度で、宗教活動は続行できるとのことだ。統一教会の政治家への接近は禁止される訳ではないが、一般国民には知られないように密かに行われるに違いない。政治家は選挙時の応援を当てにして、教会は広告塔として利用するつもりであろう。2023.10.18(犬賀 大好ー955)


大阪万博で未来社会をデザイン出来るか

2023年10月14日 14時18分03秒 | 日々雑感
 大阪・関西万博は2025年4月13日~10月13日の半年間、大阪の夢洲で開催される予定であるが、実施に当たり数多くの問題点が指摘されており、予定通り実施されるか懸念がある。一番大きな問題は開催テーマそのものだ。

 テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」である。現在、世界はウクライナとロシア間の紛争やイスラエルとパレスチナ間の紛争の真っただ中にあり、毎日多くの命が失われているが、将来どのような形で終息するか全く出口が見えない。1年半後の万博開場時に運よく紛争が終結したとしても、両者間で明るい未来社会のデザインが出来ているとは到底思えない。

 万博が描く未来社会では、街の中を無人自動車が縦横に行きかい、空には空飛ぶ車が走り回ると言った社会を描くのであろうが、現実の社会に紛争が絶えない原因を考えると、そこでどのような明るい未来を展示しようといのち輝く未来社会のデザインはまやかしと映るだろう。

 この点のみならず、大阪万博は問題だらけである。会場の建設費が誘致時点では1250億円だったものの、2020年に1850億円に増額され、そして今回当初の1.8倍である約2300億円程度まで増える見通しとなった。建設資材や人件費の高騰が主な要因とされているが、このような国家的プロジェクトで当初予算通りに済んだ試しはない。万博の開催費用は、国と大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担することになっている。国は1千兆円を越す借金を抱えているのに更に借金を増やすとはすっかり感覚が麻痺している。

 大阪万博の入場券の売り上げも当然当てにしているだろう。基本料金は大人7,500円に決まったそうだが、大阪ユニバーサルスタジオの入場券8000~1万円と比べれば安い感ではあるが、1970年の大阪万博程の熱気の高まりは感じられない。あるアンケート調査(2023年10月9日~10月11日)で「万博に行きたいですか」という質問に対しては、「はい」と答えた人が31%、「いいえ」と答えた人が69%。7割近い人が万博に魅力を感じていないようだ。

 また、パビリオン建設の遅れはマスコミで頻繁に報道されているが、遅れを取り戻すために来年4月から建設業に導入される時間外労働の上限規制を適用しないように、建設工事の関係団体から政府に要請があったようだ。この規制は働き方改革の一環であり、これまでの突貫工事を抑制する規制であり、いのち輝く社会の実現か、国家事業と考える万博の実施か、岸田首相の姿勢が問われる。

 先日2039年札幌冬季五輪の招致を断念したと報道があったが、その一因には広告企業電通の東京五輪に絡む談合事件の不祥事があり、電通は蚊帳の外に置かれている。大規模イベントの開催ノウハウを持つ電通の世論操作は巧みであり、「いのち輝く未来社会のデザイン」も既に変更されていたかも知れない。2023.10.14(犬賀 大好ー594)