日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

認知症の社会的負担

2015年06月27日 14時43分51秒 | 日々雑感
 認知症患者の医療・介護でかかった2014年の社会的費用は約14.5兆円になると、慶応大医学部の研究グループが5月末、推計を公表した。この内、家族らによる無償の介護などをお金に換算した費用が全体の約4割を占め介護保険サービス費用とほぼ同額であると分かったとのことだ。これは、公的な介護サービスが充実しておらず、個人に皺寄せがいっていることを意味する。
 65歳以上の認知症患者は12年時点で462万人。25年には700万人と推定され、認知症で生じる費用は同年に約19.4兆円と推定される。25年までには、公的な介護サービスが今より充実されておればよいが、多分患者の急増に追いつかず、また国の財政がより逼迫し、個人への負担は一層増していると思われる。
 認知症になってしまえば、自分には自覚、羞恥心がなくなるので他人にどう迷惑かけようと一向に構わないと言う人がいる。しかし、人生の最後を回りの人に悪印象を残したまま迎えるかと思うと、認知症だけにはなりたくない。
 人間の本能は生である。従って、認知症患者ほど生にこだわる。それ故寝たきり老人の介護は大変であるが、認知症患者の世話は一層大変であり、退職を余儀なくされたり、殺人事件にまで発展する。
 認知症の3大予防法は、適度な運動、正しい食事、社会とのコミニュケーションであるとのことだ。食事は別として、他の二つは地域のコミュニティが重要な位置を占める。すなわち、適度な運動と言っても一人ではなかなか長続きしない。近所の気心が知れた人とぺちゃくちゃやりながら適度な汗をかけば、後は家庭で正しい食事をすればよい。こんな簡単なことでも、出来ないのが人間である。
 大都市における高齢者問題は深刻である。就職のために出てきた人がそのまま都市部に居つき高齢者となるが、受け入れ施設不足で、高齢者の地方分散が提唱される昨今である。更に、都市部における地域のコミュニティは崩壊している。このままでは、都市部における認知症患者が爆発的に増加することが予想される。
 2020年のオリンピックに向けて、新国立競技場の建設費用を東京都が500億円負担するかどうかでもめている。オリンピック後の施設維持が更なる赤字を生むことは、すでに常識的な話になっているのに、まだ2000億円以上の費用をかけようとしている。そんな金があったら高齢者受け入れ施設の建設費に回すべきだ。オリンピックの後、閑古鳥が鳴いている新国立競技場を、ぼんやり見つめている認知症患者の姿が目に浮かぶ。(犬賀 大好-141)

黒田総裁の”景気は気から”発言

2015年06月24日 09時24分39秒 | 日々雑感
 4月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食料を除くと前年比で実質横ばいとのことである。しかし、スーパーマーケットでの油や乳製品等の値上がりを見ると、CPIと生活実感のずれが気になる。
 総務省が発表するCPIは、食料品、日用品、家賃、電気、電話料金等、588品目の総計であるとのことで、この定義からは限られた乳製品等の値上がりは全体からすれば微々たることのようでる。
 アベノミクスでは、デフレ脱却を目指し、CPI の目標値を2%としている。インフレ傾向となれば、庶民は買い急ぎをするため、物が良く売れるようになり、企業が儲かり、給料が上がり、更に物が売れるようになるとの好循環を想定している。
 ところで、実質賃金指数(賃金上昇が物価の伸びをどの程度上回るかの指数)は、4月の勤労統計(厚生労働省)によれば前年より0.1%増えて2年ぶりにプラスに転じたそうだ。この値を信ずれば、アベノミックスが好循環を始めたこととなり、喜ばしいことだ。また、2014年度の国の一般会計の税収は51.7兆円を越す見込みで、リーマンショック以前の額を上回る勢いらしい。株価も日経平均2万円を越し、目下、日本の景気は絶好調と言ったところである。
 しかし、実質賃金指数も来年度は「原油高や円安による物価上昇」で再びマイナスになる恐れがあるそうだ。原油高や円安は外国との関係で決まる現象であり、また株価も外人投資家が6割以上だそうで、日本の景気は国内の事情だけでは決まらない危うさがある。
 更に、日銀主催の国際会議で、黒田総裁が「飛べるかどうかを疑った瞬間に永遠に飛べなくなってしまう」と発言したとのことである。これは“景気は気持ち次第”との意味であろう。かってのバブル全盛期の頃、日本(の全土地)を売れば米国全土が買えると浮かれバブルを一層膨らませた。今回の一見好景気も全員がそれを信じてお金を使うようになれば、好景気が持続されるが、信じなければ尻つぼみに終わってしまうと言いたいのであろう。黒田総裁もついに、万全の策はつき、神頼みになったのではないかと、日本の将来が心配になる。
 バブルが弾けて20年余り、高齢者にはバブルの後遺症が今だに残っており、特に肝心の銀行筋では拓銀や日興証券の破綻の記憶が生々しいのではなかろうか。国民全体、“笛吹けど踊らず“ 状態が依然として続いていると思われる。実質経済に裏打ちされない好景気を国民は冷静に見ているのだ。
黒田総裁は莫大な金融緩和をしながら、インフレ基調にならないのを内心不思議に思っているに違いないが、このバブルの後遺症を認識しているのだろうか。いや、認識したからこそ、前記の発言となっているに違いない。(犬賀 大好-140)

最高裁に期待できるか

2015年06月20日 09時13分29秒 | 日々雑感
 集団自衛権に関する「平和安全法整備法」が国会で議論されている。これとは直接関係しないはずであった衆院憲法審査会が四日午前に開かれたが思うがけないことが起こった。憲法を専門とする有識者三人を招いて参考人質疑を行ったが、いずれの参考人も、他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案について「憲法違反」との認識を表明したからだ。
 自民党はこのような意見を述べる学者を参考人としてなぜ招致したのか。憲法学者の意見を論破できる自信があったのだろう。さすが安倍政権だ、と感心していたらとんでもない。招致の憲法学者がどのような意見を持っているかも知らずに招致するとは、勉強不足も甚だしい。このような無勉強の人々に日本の国を任せることが、はなはだ心配になる。
 また、菅官房長官が、この審査会の直後、“違憲で無いと主張する学者はいくらでもいる”と抗弁したが、“ではその学者の名前を教えてくれ”の質問に対して、後日、2,3名の名前を挙げたが、それ以上は続かなかった。この答弁を聞き、未開地における無教育の人々の数の概念は、1,2,3、それ以上は“たくさん”であるとの話を思い出し、おもわず笑ってしまった。
 安倍政権は、このような状況下でも集団自衛権関連の法案を強行に成立させるつもりのようである。数多いる自民党代議士は、自信をもって賛成しているのであろうか。まさか、次の選挙での公認を考えて、賛成しているのではないことを祈るばかりである。
 最高裁は、問題が起こったときにその事件に関する法案が憲法に合致する、しないを判断するとのことである。もし、安保関連法案が成立して、自衛隊員が戦争に巻き込まれ死亡することが生じ、最高裁に判断を委ねられたとき、違憲であると判断できるであろうか。最高裁は、砂川事件と同様に “高度な政治的な判断” は差し控えると、逃げるのではないかと懸念する。政権も “最高裁の人事権はおれが握る“ と思うから安心して強行できるのであろうと勘繰りたくなる。
 一方、参院選の「一票の格差」の是正案をまとめるため、与野党の「選挙制度改革検討会」は、5月29日、まとめることなく議論の打ち切りを決めた。自民党案の「6増6減」案では一票の格差は4.31倍となり、最高裁が「違憲状態」とした現行制度の4.75倍とほとんど変わらず、野党が抜本改革にならないと反発したからだ。ここにおいても、最高裁は甘く見られている。
 最高裁は政治の混乱を心配したからか「違憲状態」と柔らかく表現したが、このような状態では、いつまでたっても変わらない。義務教育で習った三権分立の原則が泣いているが、原理・原則に基づき「違憲」と判定すべきである。最高裁よしっかりしろと言いたい。(犬賀 大好-139)

日本のロボット技術に期待

2015年06月17日 09時38分52秒 | 日々雑感
 米カリフォルニアで開かれていた米国防総省主催の災害対応ロボットコンテストの決勝戦は6月6日、韓国のチームが優勝し、約2億5000万円を獲得した。2位、3位は米国のチームであり、日本からは、5チームが参加し、最高は23チーム中10位であった。韓国が3チーム、中国からは香港チームのみが参加したようである。
 コンテストは2011年の東日本大震災で発生した福島原発事故を踏まえ、3年前から開催されていた。決勝戦は各チームの人型ロボットが運転やドア通過、バルブ回栓、壁の穴開け、階段上りなど8つの課題が設けられた障害物コースで競った。
 日本はロボット技術では世界最高のはずである。しかも、課題は福島第1原発事故を想定していたとなると、当然優勝は日本チームだと思っていた。しかし、最高10位とは情けないと感じたが、背景には諸事情があり、そう悲観することではなさそうだ。
 恐らく、主催が米国防総省であることが一番の原因であろう。国防省が主催となると、災害対応ロボットであっても、兵器への転用を想像する。日本は平和国家であり、兵器の開発には二の足を踏む。最近無人飛行機による爆撃等が実戦でなされ、また、ロボット兵士の登場も現実味を帯びてきた。ロボットによる戦争は、情報におけるサイバー戦争とともに、21世紀を特徴づけるものとなろう。各国の軍事部門は多くの予算をロボットの開発に注いでいることだろう。今回中国は本土からの参加は無かったが、手をこまねいているはずは無い。
 日本では原発事故の後始末が大問題であり、これにはロボット技術が欠かせない。溶け出た核燃料には人間が近づけない。有線ないしは無線操縦型のロボット、あるいは自立型のロボットが必須になろう。その開発費は膨大なものとなろうが、ここで金を惜しんでいたら、いつまでたっても廃炉問題は解決しない。日本のロボット技術の底力をここで見せつけてもらえるものと期待する。
 しかし、無事ロボット技術により廃炉が完了した暁にも心配の種は残る。すなわち、開発費の回収である。資本主義の原則は投資に見合った収益である。地球温暖化のためか、自然災害は大規模化し、ここに災害対応ロボットの活躍の場がありそうだが、それより、兵器への転用が手っ取り早く、ロボット戦争がより現実化する恐れが高まる。
 災害対応の人型ロボットは、屋内の偵察や爆弾処理に即転用可能であろう。核燃料の処理よりはるかに簡単と思われる。これと最近話題のドローンを組み合わせると、映画 “ターミネータ“ の世界が現実味を増す。
 ロボット技術は汎用技術である。兵器への転用を恐れ、災害対応ロボットの開発をしないわけにはいかない。科学技術のジレンマである。(犬賀 大好-138)

ウイルスの正体

2015年06月13日 10時08分17秒 | 日々雑感
 韓国保健福祉省は12日、中東呼吸器症候群(MERS)に感染していた患者1人が新たに死亡し、計10名になったと発表した。MERSはコロナウイルスの一種が引き起こすと見られているが、そもそもウイルスに関しては謎が多い。
 ウイルスが生命体かとなると、賛成反対の両論がある。自己複製能力は生命体の本質であるが、ウイルスはそれ自体に複製能力が無いが、他の生命体の中に入ると複製能力を有するようになるから、中間に位置するもののようである。
 先日、リベリアではエボラ出血熱の終息宣言がなされたが、エボラウイルスは人体に入り、仲間を増やし、悪行をなす。コロナウイルスも同様であろう。終息とは単に人間に入る通路を絶ったと言うことに過ぎず、ウイルス自体はどこかでひっそりと存在し続けるのであろう。ウイルスは所謂生命体で無く、恐らく寿命と言う概念は無く、永遠にどこかに存在し続けるのであろう。条件が整えば、爆発的に増えるのであろう。
 さて地球上における進化の観点から、ウイルスは生物より前に生まれたか、後から生まれたか、あるいは全く別の系統かは、様々な意見があり、非常に興味深い。兎も角、人間より先に存在していたことは間違いないであろう。
 遺伝子は進化の過程でどんどん複雑になっていったと考えると、①初めに何らかの方法で無機物から有機物が合成され、②その有機物が何らかの触媒等の作用で遺伝子状のものに変わり、③何らかの環境変化により自己複製出来るようになり、④それが生物に進化していったと考えるのが自然であろう。①の現象は実験的に確認されているが、②以降は推測の域を出ていない。
 しかし、ある種の細菌の様々な機能が省かれていってウイルスとなったと考える方が、生物学的見地からは自然らしい。その場合、最初の生命体はどうやって誕生したかが最大の疑問として残る。
 2013年、チリ沖海底の堆積泥の中から新種のウイルスが発見されたとのことである。通常ウイルスはその大きさが生命体である細菌の1/10~1/100と極めて小さいことが特徴である。しかし、発見されたウイルスは細菌と同程度の大きさであり、また遺伝子の数は、典型的なウイルスが10個程度であるのに、1000個を超えるとのことである。この巨大なウイルスは、余りにもこれまで考えられてきたウイルスと異なるため、細菌の一種として見逃されてきた可能性もあるらしい。進化の過程で考えると、素人目にはこのウイルスは進化が進んだ後でのウイルスのような気がする。初期にはもっと小さく、遺伝子の数も数個のウイルスも存在したかも知れない。
 生命の起源を求めて、宇宙や深海に探索は進むが、もっと身近な所に答えは隠されているかも知れない。地球の誕生は、46億年前、それから10億年以内に最初の生命である原始生命体が誕生したと推定されているので、その誕生以降にも何回か原始生命体が生まれるチャンスがあったはず、いや現在でもあるはずである。原始生命体の実体は分かっていないので、現在でも存在しているが人間が気づいていないだけかも知れない。(犬賀 大好-137)