中国では、3月に入って新型コロナウイルスのオミクロン株を中心とした感染がほぼ全土に広がっており、中国本土の新型コロナウイルスの市中感染者が一日で無症状の人も含めて3月16日3054人、21日4594人、24日4790人と着実に増加しているとのことだ。中国の主要な都市、上海、長春、深圳、等は事実上の都市封鎖(ロックダウン)を始めているそうだ。
感染者の拡大に伴い、3月14日、政府はコロナ診療の基準を改定し、軽症者は隔離の際に入院しなくてもいいと運用を変えたそうだ。これは他の病気等で入院が必要な人の病床確保のためとのことであるが、実際上海でぜんそくの症状を訴えた女性看護師が入院を断られて死亡したこともあったとのことだ。習近平総書記が指導する ”機動的ゼロコロナ”対策にも拘わらず、日本と同様な事件が発生しているようで、ゼロコロナ対策も万全ではない。
新型コロナウイルスは発生してから2年以上経つのに、中国に限らず世界ではいまだに大流行中である。ウクライナでは、ロシアの侵攻により国外への避難等で大騒動であるが、そこでのコロナ感染に関する情報は余り聞こえてこないのは、戦争による死者がはるかに多いためであろう。
さて、ウイルス感染の世界的な流行は、20世紀に入って以降、スペイン風邪(1918-19年)、アジア風邪(1957-58年)、香港風邪(1968-69年)と3回のパンデミックがあったが、いづれもほぼ2年で終焉していると記録されている。当時は抗生物質は発見されていなかったし、有効なワクチン等の医学的な手段などが無かったにも拘わらず、自然に終息したのは不思議な現象だ。
このような経験を経て、ウイルス感染症に対し、国民全体の60~70%が感染か、ワクチン接種を完了すれば集団免疫状態となり感染症を克服出来ると予想されていた。ところが、ワクチン接種の先進国でも、接種割合がこの水準に達したのに、集団免疫には至っていないのは何故であろうか。
集団免疫は、例え一人が感染しても周りの60~70%の人に免疫があれば、周辺に余り広がらず、徐々に終息すると言うことであろう。
例えば、中国のワクチン接種状況は3月27日現在、累計で32.5億回、日本では2.5億回だそうだ。中国の人口が14億人、日本の人口1.3億人として大雑把に言って2回は接種している勘定になる。
集団免疫効果が現れない原因として、感染やワクチン接種で得られた免疫が数か月で徐々に減弱していくこと、またコロナウイルスの変異で感染力が強くなっていることが考えられ、どうも集団免疫は期待できない。ワクチンの免疫効果は感染しにくくなるのではなく、重症化しにくくなるとのことで、普通の流行性感冒の一種となっていくのでを期待するしかないのであろうか。2022.03.30(犬賀 大好ー802)