日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

来年の東京五輪は強行開催されそうな気配であるが

2020年09月30日 09時04分55秒 | 日々雑感
 9月22日に公開した国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の「オリンピックの精神とコロナ」と題する書簡で、現在、大規模なスポーツイベントが再開されていることに触れ、”今の制限のもとでも安全に運営できることが分かってきた”と述べ、来年の東京五輪開催の可能性に触れた。

 確かに、全米テニスや全米オープンゴルフ大会等の大型イベントが開催されたが、そこでクラスターが発生したとの報告が無く、無事終了したようである。しかし、どの国際大会も無観客で実施されたとのことで、東京五輪の無観客実施の可能性も強くなった。

 また、ワクチンが年内にも使用可能になる期待が述べられたが、大統領選に向けて焦るトランプ大統領と同じであり気持ちはよく分かる。しかし専門家の多くの意見はそんなに甘くはない。増して来年中に全世界にワクチンが行き渡るのは夢物語であろう。

 さて、IOCのジョン・コーツ副会長もこれに先立ち、”新型コロナウイルスの有無に関係なく開催する”、また”新型ウイルスを克服した大会”にするとの見解を表明していたたが、関係者の焦りの気持ちがよく現れている。

 一方、日本国民の開催熱意は随分冷めてきている。いくつかの機関の世論調査でも、”中止”と”更に延期”の意見が過半数を越しているとのことだ。そもそも、東京オリンピック招致運動の最中、財政や環境は万全であるが国民の熱意が高まらないことが最大の欠点であったことが思い出されるが、その背景には元々開催動機が不明確であったこともある。

 オリンピックの元来の理念は世界平和のためであるが、本音の開催目的は国威発揚や経済効果であり、IOCも東京を選択した理由はしっかりした経済的基盤であり、事業優先であった。

 五輪関係者は来年の開催に躍起であるが、新型コロナウイルスの世界的な流行で、安全・安心のシナリオを先ずは示すことが開催の最低条件となっている。

 9月始め発足した、政府の新型コロナウイルス感染症対策調整会議は東京都、大会組織委員会と連携し、検査体制や治療体制など大会運営の具体策の確立を急ぐのだそうだ。選手や観客の検査方法や頻度、選手村や競技会場での感染防止策、感染者が出た場合の治療の体制整備などを議論していくことを確認したそうだが、それらは国内問題であり、どうにかなるであろう。

 しかし、五輪には206カ国・地域から約1万1000人の選手が出場予定だ。菅新内閣も10月以降外国人の入国制限を緩和するとの方針を先日決定した。世界各国・地域からの新規入国者を条件付きで順次認め、最終的には五輪までに一般観光客まで広げるつもりであろう。

 南アメリカやアフリカ大陸等の国々の感染状況が簡単に収まらない状況では、選手は兎も角観客には厳しい条件が付され、外交問題に発展する恐れもあり、調整委員会だけでは解決できないであろう。

 感染拡大防止の他、開催経費削減のため簡易化の検討もされているらしいが、他の国際的なスポーツイベントとの差別化、テレビ放映権に依存する体質等、もっと根本的な問題を検討してもらいたいものだ。2020.09.30(犬賀 大好-639)

経済面では付き合いたいが政治面では付き合いたくない中国

2020年09月26日 09時05分58秒 | 日々雑感
 菅新首相の対中国政策は安倍前首相の方針をそのまま引き継ぐようだ。中国は日本のみならず周辺の国と様々なトラブルを引き起こしているが、日本との関係は概して良好なようである。この良好さは経済的な面からであり、新型コロナウイルス騒動を契機に将来はどのような方向に舵を取るのか、菅首相の胸の内は分からない。

 日本の中国との貿易額は莫大な量に達し、経済面では持ちつ持たれつの関係である。すなわち、日本の輸出相手国は2018年からは中国がトップとなり、日本の輸入相手国は2002年から中国がトップとなった。中国側から見ても、日本は輸出相手国としては3位、輸入相手国としては2位の上位を占めている。

 製品の国際価格競争力を高めるために、日本の企業が労働賃金の安い中国に工場を建てて現地で製造し、日本に輸入するという新しい経済・貿易の体制が出来上がったことが最大の理由だそうだが、今後東南アジアの経済発展とともに変わっていくだろが、現時点での経済面ではお互いに良好関係を維持している。しかし、領土問題等の国益が絡むと中国政府は強固になる。

 今年4月中旬以降、尖閣周辺海域では中国公船の姿が毎日確認され、8月2日現在111日連続で、尖閣国有化宣言以降で最長の連続日数を更新し続けているようだ。中国外務省はその理由を島は中国固有の領土だとし、隙あらば取り返そうとする態度を示している。

 自民党の国防関係の議員連盟は、沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で中国が活動を活発化させていることを受けて、尖閣諸島を含む南西諸島で自衛隊がアメリカ軍と共同訓練を行うなど、有効支配の実効性を強化すべきだと主張している。

 もし、日本が尖閣諸島周辺の警備を怠り、中国が上陸占拠した場合、菅首相は米軍に頼むしかなく、米軍が出動した場合小競り合い程度で済む筈は無いと思うが、中国はどこまで本気で領海侵犯を繰り返しているのであろうか。

 中国内には漢民族が大多数であるが、その他数多くの異民族が暮らしている。これらの民族を一つに纏めるためには、民主主義の手法は効率が悪く、トップダウンの方が効率よくことが運ぶことは理解で出来る。このため、中国共産党一党独裁体制を堅持するが、党の方針に誤りは絶対なく、常に正しく国民を導いているとの立場をとっている。

 今回のウイルス騒動でも、武漢が発生の地だと主張するトランプ大統領には猛烈に反発するが、国際的な現地調査には反対の姿勢であり、何とか体裁を保ちたい態度がありありである。

 さて、1997年にイギリスより中国に返還された香港は、今年6月の香港国家安全維持法の導入で言論や集会の自由に制限を加えているが、その理由は共産党一党独裁体制存続への危機感では無いだろうか。香港の自由な雰囲気が本土に及ぶことが恐ろしく引き締めにかかっているに違いない。この自由への締め付けは、新疆ウイグル自治区や内モンゴル自治区にまで及んでいる。

 日本は貿易相手国としては上位を占め、また観光客の往来も盛んである。日本との交流が頻繁になると、自由へのあこがれが増え、独裁体制への不満も増えるであろう。日本との関係を現状通り維持するか、習近平主席も頭を悩ましているに違いない。2020.09.26(犬賀 大好-638)

新型コロナウイルス用ワクチンの人体実験

2020年09月23日 08時43分32秒 | 日々雑感
 新型コロナウイルス用のワクチンを開発中の欧米の製薬会社9社は、9月8日、安全を最優先するとの共同声明を発表した。また、効果が確認されるまでは当局に承認を求めないことも申し合わせた。

 米国では臨床試験終了を待たずに緊急的な接種を認めることが政府内で検討されており、業界側から政治的な動きに釘を刺したのだ。これはトランプ大統領が11月の大統領選挙を前に実績を焦っているが、中国やロシアのように大統領のごり押しがあっても企業は耳を貸さないだろう。

 トランプ氏は米ファイザーなど3社のワクチン開発が順調に進んでいると指摘したうえで、まもなく承認を発表できるだろう、と語り、今年末までに1億回分を生産して希望者への接種を始め、来年4月までに希望者全員が接種できる状態になると主張している。

 製薬会社トップによる共同声明を出したのは、英アストラゼネカ、米ファイザー、仏サノフィなどであり、これらの企業は一方では激しい開発競争を繰り広げているが、ここで大統領に安易に妥協すれば、国民の信頼を一気に失うであろう。

 共同声明では、(1)安全と接種する人の健康を最優先する(2)科学と倫理の高い基準を維持して臨床試験や製造をする(3)最終的な試験を終えて安全と効果が確認された場合にのみ当局に承認を求める(4)グローバルな供給体制を整える――ことを確認した。

 最近、スペインや英国で感染拡大が再び起きているようだが、どの国の政府もワクチンを少しでも早く入手したいとワクチンメーカに圧力を掛けるであろうし、企業も世界で初の開発成功に名声を獲得し、また莫大な儲けも約束されるであろうので、各メーカは抜け駆けしたい所であろうが、共同声明は一定の歯止めとなるだろう。

 トランプ大統領の楽観的な予測に対し、米疾病対策センター(CDC)の所長は議会公聴会で、ワクチンが米国人に一般的に接種可能になるのはおそらく来年の第2四半期(4~6月)の後半から第3四半期(7~9月期)になるだろう、との見通しを示した。

 トランプ氏はそれでも強気の姿勢を崩さないが、大統領選の他、ロシアや中国の動きも背景にある。ワクチンの開発には3段階に亘る臨床試験の必要であり、特に最終の臨床試験は、効果、安全性、副作用など 幅広く調査する必要がある。新型コロナウイルスの特性が大分分かってきたと言えども、若者の感染者に無症状が多い理由など、未知の部分も多い。

 ロシアは、国立研究所が開発した新型コロナウイルス感染症のワクチンについて、最終段階の臨床試験が終了して効果が証明されるのを待たず、接種を開始する計画だそうだ。

 中国のカンシノ・バイオロジクスが開発しているワクチンは、中国では軍事使用が承認されており、同社が大規模な臨床試験を完了する前に複数の国で緊急承認を得るための協議を行っていると報じられた。

 ロシアや中国は欧米に先んじようと開発を焦っているようで、十分な安全性が確認される前に、接種を始めるつもりのようだ。接種が自国内で留まっておればまだしも、感染防止を渇望する開発途上国で行うとは、戦時中捕虜に行われていた人体実験を思い出す。2020.09.23(犬賀 大好-637)

中国製コロナウイルスワクチンが世界で使用されると

2020年09月19日 08時57分54秒 | 日々雑感
 世界の新型コロナウイルスの感染拡大は収まっておらず、ワクチンの開発競争は一段と激しくなっている。そんな中、中国は感染拡大を世界に先駆けて収束させ、しかもワクチン開発を成功させたと世界に発信している。

 中国の感染者数は、3月の8.5万人程度から半年間余りほとんど変わっていないが、中国政府の見事な対応に感心すると言うより、逆に不自然で何か細工があると疑心暗鬼になる。これによらず、中国政府の一方的な発表は常に眉に唾をつけて聞く必要があると身構える。

 兎も角中国の感染者数そのものは日本を始めとする外国には直接影響しない。しかし、今後中国製ワクチンが他国で使用されるようになり、その安全性に問題がを起きた場合、中国政府はどのように対処するであろうか興味津々である。

 さて、ウォール・ストリート・ジャーナルは8月28日、中国の企業が開発中の新型コロナウイルス用ワクチンの大規模な治験を完了する前に複数の国で緊急承認を得るための協議を行っていると報じた。中国は開発競争に先んじようと、第3段階の臨床試験前に、軍事使用を承認し、しかも複数の外国の国にも、使用を承認するように協議をし始めたとのことだ。

 中国製品はとかく問題が多いと言われながらも、感染者数が多いブラジル、インドネシアやインド等は、少しでも早くワクチンの入手を焦っており、中国ワクチンに限らず、各国の開発中ワクチンの臨床試験場となっているようだ。

 9月9日、ブラジル・サンパウロ州のドリア知事は中国企業のシノバック・バイオテックが開発した新型コロナウイルス用ワクチンの第3段階臨床試験で有望な結果が示されたと明らかにした。早ければ12月にもブラジル国民が接種できるようになるかもしれないと述べたそうだ。

 一方、英国アストラゼネカが開発したワクチンの第3段階臨床試験において、英国で被験者に想定外の症状が出たことを受け一時中断したそうだ。同社の臨床試験はブラジルでも実施されており、ブラジルにおける臨床試験には5000人が参加して問題なく進んでいたにもかかわらず、サンパウロなどでのワクチン接種は一時停止となったそうだ。

 このように、臨床試験が細心の注意の下行われて居れば良いが、中国の場合ブラジルにおける臨床試験は開発メーカが担当していても後ろには政府が控えているため、情報公開が常に公平に行われているとは信じがたい。ブラジル当局も国内にウイルスが蔓延している状況であり、多少の副作用は目を瞑るだろう。

 中国の習近平国家主席は9月8日の式典で、新型コロナウイルス感染症に対する貢献者を表彰し、中国の経済の回復力や、ウイルス抑制で共産党が果たした役割を称賛した。この勢いで中国製ワクチンが世界で席巻することを狙っている筈だ。中国製ワクチン投与で多少の犠牲が出たところで、大勢に効き目があったとなれば、大勝利と宣伝するだろう。

 欧米の製薬会社は堅実に一歩づつ慎重に開発すると思うが、習近平主席は多少の犠牲を覚悟で突っ走るに違いない。トランプ大統領も恐らくこの中国の手法を採用したいと内心焦っているに違いない。2020.09.19(犬賀 大好-636)

来年の東京五輪開催の目的は?

2020年09月16日 09時13分15秒 | 日々雑感
 2021年夏に1年間延期された東京五輪・パラリンピックの開催に関して、国際オリンピック委員会(IOC)は新型コロナウイルスのワクチン開発と量産化の進捗を勘案し、早ければ今年10月中に、遅くとも来年3月までに開催可否の判断を下すそうだ。

 当面、新型コロナウイルスの世界的な流行が収まりそうにないので、個人的には中止すべきと思うが、最近何が何でもやるとの主張が目立つ。国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ副会長は9月7日、”新型コロナウイルスの有無に関係なく開催する”、また”新型ウイルスを克服した大会”にするとの見解を表明した。この二つの見解には矛盾があるが、希望を単に述べていると解釈すれば、大した問題では無い。

 一方、バッハIOC会長はこの発言について、”文脈の中の一部”として否定も肯定もせず、コーツ氏も含め、IOCの誰もが目指しているのは参加者全員が安全な大会だ、と話したそうだ。そもそも、絶対安全とは絶対実現不可能であり、実際には安全の状態をどの程度とするかが問題となり、どちらに転んでも良いとする、当り障りのない談話に過ぎない。

 さて、政府の新型コロナウイルス感染症対策調整会議が9月4日発足し、東京五輪について、準備状況を確認する調整委員会が9月24日から行われる予定のようだ。オリンピックは東京開催と言いながらも世界的な行事であるが、ここで扱うのは国内問題だけだろう。

 近年のオリンピックはすっかり事業化し、”参加することに意義がある”の精神は忘れ去られている。選手はここで名を上げることに熱心で、すっかり職業化しており、4年に一度の大会が行われないとなると一生の問題となる。残念ながら本来の世界平和のための理念は忘れ去られている。

 国や都が開催すべきだとする第1の理由は経済問題であろう。エコノミストの間では、中止の場合日本経済が被る損失は数兆円に及ぶ、という見方が主流だ。

 オリンピックは平和の祭典として世界中の国が参加できることが理想である。しかし、これまでに、ロシア大会のように一部の国しか参加しない大会もあった。ソ連のアフガニスタンへの軍事侵攻に抗議して米国がモスクワ大会のボイコットを西側諸国に呼びかけ、日本も1980年5月、五輪不参加を決めたことがあった。

 このことを例に挙げて、参加出来る国と地域が集まって平和のためにスポーツをするのが近代オリンピックであると、東京五輪の開催を主張している人もいる。しかし来年の東京五輪の場合、新型コロナウイルスと戦っている多くの人々がいる中で、一部の人がお祭り騒ぎをするのは問題である。選手も自分だけが環境の良い中で金メダルを取っても後ろめたさが残るに違いない。

 来夏に延期された東京五輪・パラリンピックについて、NHKが今年7月に実施した世論調査では、「さらに延期すべき」(35%)と「中止すべき」(31%)、が「開催すべき」(26%)を大きく上回ったそうで、国民の開催の熱意は冷めてしまった。

 また、東京商工リサーチの都内に本社を置く企業へのアンケートでも、31%が中止、延期が22%となり、開催を望まない会社が半数を超えたとのことだ。経済的に損失を被るのは宿泊業等の一部の企業のみのようで、経済界全体では余り中止の影響は大きくないようだ。2020.09,16(犬賀 大好-635)