日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

大規模自然災害は大きいほど予知能力は低い

2019年05月11日 09時31分49秒 | 日々雑感
 大規模自然災害と言えば、地震、火山の噴火の他、風水害が思い浮かぶ。また、風水害と言えばこれまで台風であったが、地球温暖化の影響であろうか台風によらない集中豪雨やそれに伴う地滑りも最近頻繁にみられるようになった。

 昨年には異常高温もあったが、熱中症の多発があった程度で大規模までにはならなかったようだ。しかし、これに異常渇水が加われば大規模自然災害になるかも知れない。

 さて、自然災害に対する発生予告の精度が上がったとは言え、自然災害の規模が大きいほど信頼度が低下する傾向にある。日常の天気予報は信頼性が高い。風水害に関しても予報もしっかりしてきた。また地震に関しても南海トラフ地震等、様々な情報が頻発されるが今一信頼度が低い。

 更に火山の噴火に関しては、ほとんど予知できないようだ。2014年9月に岐阜・長野県境の御嶽山で発生した噴火は全く予知できなかった。マスコミはほとんど前兆がなかったと報道するが、現在の予測技術では前兆を見つけられなかったと言った方が正確であろう。

 頻発する自然災害に予知能力が高くなるのは、社会的な要求の高さ、学問的研究のし易さがあるため当然である。どの研究でも同様だが、めったに起きない現象を扱うことは極めて困難である。

 日本は火山列島である。富士山は国内に110ある活火山の一つで、長いスパンで見ると約5000年前から続く活動期にあり、最後の噴火から約300年経過しており、いつ噴火してもおかしくはない状況にあるそうだ。

 伊豆七島の大島の中心にある三原山は、1986年に500年ぶりの大噴火を起こし全島民避難という事態を招いた。また、2000年には三宅島の雄山が大噴火し、島民1万人すべてを島外に脱出させる事態となった。

 富士山は大島や三宅島と同じく東日本火山帯に属する。有史以降記録に残る噴火は781年以後17回になるそうで、最後の噴火は1707年の宝永大噴火と言われており、その後は約300年間平穏を保っている。また、過去には大規模な地震と連動した噴火が記録されていることから、東日本大震災の影響も心配されている。

富士山で大規模な噴火が発生した場合、国の検討会が公表したシミュレーションでは、周辺で1メートル以上、首都圏でも数センチから10cm余りの火山灰が積もり、交通機関やライフラインなどに影響が出る恐れがあるそうだ。

 富士山の噴火の確率は、南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝周辺海溝型の発生確率より低いだろうが、火山灰は広範囲に広がり、10cm足らずの積雪で大混乱する首都圏では、10cm程度の降灰も初経験であるため壊滅的な影響を及ぼすかも知れない。

またつい先日、九州南方にある鬼界カルデラのマグマが活動的であることを示す調査結果が報道された。九州・薩摩半島と屋久島の間の海底に、直径が20キロメートルほどにもなる、鬼界カルデラと称するほぼ円形の巨大なくぼ地があり、100万年くらい前から噴火を繰り返していたとみられており、7300年前の巨大噴火は九州の縄文文化を滅ぼしたとされている。

 九州・阿蘇山にも、似た規模のカルデラがあり、紀伊半島にも熊野カルデラの痕跡があるそうだ。カルデラ噴火は、ほとんど起きるものではなく、近代文明史の中で起きたことがないそうで、慌てて対策をたてるまでもないだろうが、全く忘れても良いものではない。原発を絶対安全と信じた結果の後遺症が如何に大きいものであるかを身に染みて分かっている筈である。2019.05.11(犬賀 大好-545)

安倍政権の外交の行き先

2019年05月08日 09時32分04秒 | 日々雑感
 元号が令和に代わり、一部のメディアは新しい時代が到来したと大はしゃぎであるが、安倍政権の外交政策は不透明であり、どちらかと言えば暗雲が漂う。

 対米国での当面の問題は貿易交渉である。安倍首相は4月27日、ワシントンでトランプ米大統領と会談した。同席した茂木経済財政・再生相は会談後の記者会見で、トランプ氏から日本が関税下げの限度としている環太平洋経済連携協定(TPP)の水準を超える要求、為替条項や自動車の数量規制の要求等はなかったことも明かしたが、会談の場でトランプ氏からの直接の言明が無かっただけで、裏では当然強い要求があるだろう。

 トランプ大統領は5月末に来日し、その際には貿易交渉が妥結すると大見得を切っている。農産物の関税引き下げに関しては、日本はTTP並みとしているが大統領はそれ以下あるいは撤廃を要求するであろうが、これも来年に向けての大統領選挙活動の一環である。日本は新しい元号の下、初の国賓とお膳立てしご機嫌取りの予定であろうが、これこそ天皇制の政治利用である。

 安全保障ではおんぶに抱っこの米国には頭が上がらず高額兵器を買わされ、沖縄問題でも日米地位協定を盾に、沖縄住民の安全軽視が際立っている。

 果てはトランプ大統領にノーベル平和賞への推薦状を書かされる始末である。推薦状の発行は米国政府からの要請であったようだが、日本政府も本気で推薦したとは思えない。政治が平和賞の決定に関わるべきでないこと位は理解していると思うが、これを断れないくらいに、米国に媚び諂わなくてはならないのだろうか。

 対韓国では文政権との間がギクシャクし、出口が見えない。韓国政府は4月12日、世界貿易機関の紛争処理で韓国が逆転勝訴とする最終判断を示したことについて高く評価し、福島など8県産の水産物輸入禁止措置をそのまま続行すると表明した。

 政府が禁輸措置を解除したところで一般市民は買わなければ済む話であるが、これほど一生懸命になるとは、日本に対する慰安婦問題や徴用工問題が影響していると思わざるを得ない。韓国は隣国であり、歴史的にも関係が深い。このままでよい筈はないが、日本政府は成り行き任せでよいのだろうか。経済的に優位にある日本として大人の対応をすべきと思う。

対ロシアでは、北方領土問題に関し、歯舞、色丹2島返還に譲歩するもロシアからの良い返事はない。日本は返還されてもそこに米軍基地を作らせないといくら主張しても信用されず、米軍に確約を迫られる状況だ。ここでも対米追随外交が影響している。

 対中国では、安倍首相は完全に正常な軌道へと戻ったと明るく述べている。中国の巨大経済圏構想、一帯一路に日本が協力するには、適正融資による対象国の財政健全性やプロジェクトの開放性、透明性、経済性の4条件を満たす必要があるとの認識を示し、この条件を取り入れているのであれば、協力していく姿勢を示したのだ。今や日本は貿易に関し中国抜きでは語れないほど依存度を高めており、当然の方向転換であろう。

 しかし、中国と米国は貿易戦争の真っ最中である。さて、安全保障面では米国に依存する日本は今後の姿勢が問われるだろうが、近い将来重大な判断を迫られる気がする。2019.05.08(犬賀 大好-544)

原発の風評被害は果てしなく続く

2019年05月04日 09時22分45秒 | 日々雑感
 韓国による福島県産などの水産物の輸入禁止は不当であるとして、日本が世界貿易機関(WTO)に提訴していた問題で、WTOは4月11日、韓国の措置を妥当とする最終判決を下した。一審では日本の主張を認め、韓国に是正を求めていたようで、日本はその線に沿うものと安心していたが逆転敗訴となった。

 韓国は2011年3月の東電福島第1原発の事故後、放射性物質の拡散を理由に福島や岩手など8県産の水産物の輸入を禁止した。事故後、数年経過し汚染対策も進み、水産業者は海産物の放射能汚染度を調査し、国際的な安全基準を下回ったことを確認していたようだ。

 そこで、輸入禁止の科学的根拠が無くなったとして日本は韓国に撤回を求めたが、拒否されたため、2015年にWTOに提訴していた。

 WTOは二審制からなり、第一審では日本側は前述のように日本の言い分が認められたと主張しているが、文章には記録されていなかったとの話だ。してみると日本の主張が認められていたとの言い草は日本側の勝手な思い込みであったと思われる。

 最終審にあたるWTOの上級委員会は、韓国が取った措置は必要以上に貿易制限的で不当な差別、とした第一審の解釈は誤っているとの見解を示した。WTOの紛争処理は二審制のためこの判決は最終的な判断となり、韓国の禁輸措置が続くことになる。

 日本でも同様だが食品への不安は国民生活に多大な影響を与えるため、政府としても何らかの対策が必要となる。韓国の輸入禁止が国内の不安を解消するために必要なことは理解できるが、科学的に安全性が証明されてても、また両国関係を悪化させてまで輸入禁止にこだわる理由がよく理解できない。

 韓国国民にとって、例え輸入禁止が解除されたところで、日本産を買わなければ済む話で消費者に任せれば済む話だ。その裏には韓国の水産業者の保護という政治的な配慮があるのではないかと勘繰る。

 兎も角、わが国にとって水産物の禁輸措置が続けられることは大きな痛手だ。特定の国の禁輸措置が他国の不安をあおり、風評被害の拡散をもたらす恐れもあるからだ。

 さて、福島第1原発に大量に蓄積される汚染水タンクの中身は大半が放射性物質トリチウムを含んだ水で、現時点だと効率的に大量のトリチウムを除去する技術は無いようだ。トリチウムは自然界にも存在し、希釈して海洋に放出すれば問題ないと言われている。しかし政府がいくら科学的に安全と叫んでみても政府や東電に対する不信感が強く、一般国民の安心は容易に得られないであろう。今回のWTOの判決の影響で反対運動は一層大きくなるだろう。

 このように、国内住民ばかりでなく国際社会における紛争の解消には、客観性のあるデータ以上に、社会心理、感情、信用が強く影響するようだ。関係者の十分な納得を得ることが必要だが、そのためには信頼関係の確立が必須条件だ。

 そもそも原発の安全神話に対する反省が十分になされているかが、根本にある。事故の後始末が完全に終わっていないのに、一方では更に進めようとしている。信頼関係の樹立は極めて困難な状況にあると言わざるを得ない。2019.05.04(犬賀 大好)

性犯罪を裁くのは女性裁判官とすべし

2019年05月01日 09時02分45秒 | 日々雑感
 性犯罪が後を絶たない。性は本能に関わることであり根絶するのは不可能に近いが、これまでが男性中心社会であり、性犯罪が軽く扱われてきたのも理由の一つであろう。

 外務省の女性職員が2012年10月の在イラン大使館勤務時代、当時の駐イラン日本大使から性暴力の被害を受けたとして、元大使を強制わいせつ容疑で警視庁に刑事告訴した。当時外務省はセクハラ行為を認めたが、元大使を口頭で注意した程度で安易に済ましていたようだ。

 現在、作家として活躍している佐藤優氏は、2002年5月に鈴木宗男事件に絡む背任容疑で逮捕されるまで、在ロシア日本大使館に勤務する等ロシア通の外交官として活躍しており、外務官僚の品行に詳しい。

 氏は、著書の中で在外公館に勤務する外務省在外職員は、不逮捕、身体の不可侵等の特権を持っており、この特権を国家を代表するという職務の機能に対して付与されているにもかかわらず、他の日本人とは異なる人種だ、という歪んだエリート意識を持ち易い、と指摘している。

 さて、7年前テヘランの大使公邸で当時大使であった駒野氏は部下の女性職員に無理やりキスをして胸や太ももを触ったなどのセクハラをしたとされる。特権意識の強い男性中心社会の外務省において、女性の被害届が受理されず、公表もされず、一方では駒野氏が最近日本イラン協会の会長の要職についたことにショックを受け、急性ストレス反応を発症し、現在は休職しているそうだ。

 通常セクハラをする男性はセクハラをそれほど重大なことと考えない上、セクハラを裁く人間もほとんど男性である点で女性にとって二重の苦しみを生む。更に特権意識の強い外務官僚においては、女性に対するセクハラなど日常行為の一つに過ぎないことは容易に察しがつく。

 また3月下旬、名古屋地裁岡崎支部は、娘に中学2年の頃から性虐待を続け、19歳になった今でも娘と性交する父親に対する準強制性交等罪の事件で、父親に予想外の無罪判決を言い渡した。無罪の理由として娘に敢えて抵抗する姿勢が見られなかったからだと言う。なぜこのような異常事態を招いているかの経緯に対する考察も多少はあったのであろうが、この無罪判決は一般常識から逸脱している。

 この裁判官は恐らく従来の判例に従い判断したのであろうが、この種の事件が公になるのは最近のことであり、これまでほとんどが女性の泣き寝入りで済まされてきたに違いない。もしこの事件を裁く人間が女性であったならば結果は異なるものになっていただろう。

 先日行われた地方統一選挙において女性の立候補者が極めて少なかったとのことである。候補者男女均等法が施行されて初めての選挙であり、もっと多くの女性立候補者が出ると思っていたが予想以上に少なかった、がマスコミの論評である。初めての選挙であるから、不慣れで少なかったと思いたい。

 最近女性の弁護士がテレビによく登場するが、恐らく女性の裁判官もいるに違いない。最近社会は性差別に厳しくなっている。先の岡崎地裁の事件は上告されたとのことであり、成り行きが注目されるが、本気で社会を変えようと思うのであれば、裁判官を女性にすべきである。2019.05.01(犬賀 大好-542)