日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

地球温暖化対策の緊張感の欠如

2022年11月13日 11時49分54秒 | 日々雑感
 第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)は、エジプトで11月7日にグテレス国連事務総長は、温暖化対策において世界の2大温暖化対策において世界の2大経済大国である米中は、問題解決に取り組む特別な責任を負っていると強調した。米中は国別の炭酸ガス排出量でも世界第1と第2を占めており、経済の活発さは温室効果ガスの排出量が象徴しているとも言える。

 温室効果ガスを減らしながらも経済レベルを高く保つことは現在の技術レベルでは困難なのだ。人間には生活するためにはエネルギー資源が必須であり、西欧諸国は天然ガスをロシアに依存していたが、ウクライナ侵攻に伴うエネルギー危機に直面する現状では石炭回帰の動きもあるそうだ。

 地球温暖化は現実の問題で地球上異常気象の多発の原因となっている。干ばつと異常降雨による洪水が混在する大問題であるが、まだ一部地域の問題として見過ごされている。

 アラブ首長国連邦(UAE)のムハンマド大統領は、UAEは責任あるエネルギー供給国であり、石油と天然ガスに対する世界的な需要がある限り役割を果たし続けると主張している。人間は将来のことより現在の生活最優先せざるを得ないのだ。

 産業革命以降の気温上昇を1.5℃から2℃に抑えることが不可欠と言われている。2050年までに同数値を上回らないためには、2030年までに温室効果ガスの排出量を2019年比で25%から50%まで削減しなければならないとされており、温室効果ガスの排出量の91%を占める約140か国が、2050年までに実質ゼロ排出目標を既に提案・設定している。しかし、この目標には達成できなくても罰則規定がなく、言葉の遊びの感もする。

 温暖化に対し、2050年までに実質ゼロ排出を達成する確固たる政策、すでに進行中の地球温暖化に適応するための強力な措置、そしてこうした取り組みに資金を必要とする脆弱な国々への揺るぎない資金援助が必須であるが、先進国と発展途上国の意見の開きが大きいとのことだ。現在の地球温暖化は先進国が起こした災いであり、その解決には先進国が責任を持つべきとの主張はもっともである。

 さて、中国、米国の2大炭酸ガス排出国は、自国の排出規制に関する具体策には触れず、複雑な環境問題を解決するためのハイテクソリューションの模索とか、発展途上国・地域が炭鉱や石炭火力発電所などの化石燃料エネルギー源を停止した際のクレジット販売能力を高めてこれにより数百億ドルの資金調達を可能にする等を表明している。その内容の詳細がよく分からないが、ただ単に小難しいことを言って現実の問題を避けているだけかも知れない。

 IPCCの5次報告書によれば1880年から2012年の間に世界の平均気温は0.85℃上昇したそうだが、高が1度未満の上昇で現在の異常気象の頻発があるとすれば、世界はもっと緊張感をもって対処すべきであろう。しかし、一般人は将来のことより、現実の生活の方が重要だ。

 人類、現状の生活に甘んじている間に滅亡の道を歩んでいるかも知れいない。2022.11.13 (犬賀 大好ー862)

宗教の源泉はマインドコントロールか

2022年11月09日 10時19分37秒 | 日々雑感
 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)問題を巡り、高額献金を規制する被害者救済新法の成立如何が今国会の焦点となっている。自民、公明、立憲民主、日本維新の会による法整備協議は、マインドコントロールの法定義の見解の違いなどから折り合いがついていない。特に ”ブレーキ役”となっているのが公明党だそうだ。宗教団体への献金にメスを入れられると、支持母体である創価学会の活動に支障を来しかねないとのことだ。宗教団体の維持は主として信者からのお布施、寄付によって運営されるからであり、創価学会によらずどの宗教団体も同じであろう。

 今月1日の第4回与野党協議会で自公両党は今国会の成立は困難として先送りを立憲民主党と維新の会に提案した。しかし、岸田総理は、悪質な献金を規制する新たな法案について、政府として今の臨時国会に提出することを視野に、最大限の努力を行う考えを明らかにしたが、条文に関しては示されていない。

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に向けた与野党協議が難航していることを受け、被害者支援に取り組む「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)は4日、マインドコントロール下での高額寄付要求などを規制する新法の今国会成立を求める声明を発表した。全国弁連こそ専門家の立場で条文案を示した貰いたいものだ。

 与党は今国会で、不当契約の取り消し権の要求を緩和する消費者契約法改正にとどめたい意向だ。マインドコントロールの定義が難しいのがその理由の一つであろうが、法案成立を拒もうとする統一教会の意向が自民党内に浸透していると勘繰ることも出来る。

 さてマインドコントロールであるが、広くは人の心や行動に影響を与えるとする方法であろうが、日常生活でも家庭のしつけや学校教育で頻繁に行われる。現代の日本でマインド・コントロールが問題となるのは、他者にマインドをコントロールされた結果、本来の意思とは違う状態にさせられ、不利益を被る場合であろう。例えば、高額な壺を買うことで幸せになれると思い込ませることであるが、壺と幸せの間には何の関係も無く、単に思い込ませるだけである。

 トランプ前大統領の選挙に不正があったとのアジ演説を信ずる人々、プーチン大統領のウクライナ侵攻はロシアを守るための正当な行為であるとする演説を信ずる人々、それぞれマインドコントロールされていると思われるが、旧統一教会のマインドコントロールと明確な区別が付けられるであろうか。

 更に、新興宗教に拘わらず、仏教やキリスト教イスラム教においても信ずれば救われると言うこと自体、単なる思い込みのようにも思われる。一度どれかの宗教を信じると他の宗教を否定するが、そこに絶対的な真理があるとは思えない。また、この思い込みが宗教戦争を起こしたりするのだから、宗教と言うのは恐ろしい存在だ。2022.11.09 (犬賀 大好ー861)

日本の国力低下は異常な円安だけではない

2022年11月05日 09時37分47秒 | 日々雑感
 10月20日の外国為替市場で円相場が下落し、一時1ドル=150円の記録を32年ぶりに下回った。円安と言えば輸出産業は潤い、輸入産業は苦しくなるのが普通であった。しかし、かつてほど円安で輸出は伸びなくなり、片や燃料や穀物等の資源高で輸入コストが膨らみ一般庶民にも直接影響が及んでいる。

 9月15日発表された8月の貿易統計速報によると、貿易収支は2兆8173億円の赤字だったそうだ。赤字額は東日本大震災の影響が大きかった2014年1月を上回ったとのことで、現在東日本大震災級の災難が日本中に降りかかっているのだ。

 今の円安は、日米の金利差で専ら説明されているが、半分以上は日本の国力全体に対する市場の評価が落ちてきていることが原因だと考えられるそうだ。かっては高い技術力を背景に安い日本製品が海外でよく売れたが、海外の技術力が向上すると共に日本離れを招き、また人材の海外流出もあり国力が低下しているのではないかと懸念される。

 日本は元々エネルギーや食料を輸入に頼る資源小国で、原材料を買い、日本で加工・組み立て、それを輸出し、生き抜いてきた。ところが太陽電池や半導体等の電気製品は海外勢に抜かれ、情報技術(IT)などの成長分野では米中に後れをとった。

 自動車はかろうじて日本の輸出の主流を占めているが、電気自動車の開発遅れもありいつまでこの地位を保つことが出来るか分からない。欧州連合(EU)は10月27日、ガソリン車の新車販売を2035年に禁止することを正式に決めた。日本メーカーが得意とするハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)も対象になるとのことだ。

 日本の自動車各社も電気自動車(EV)へのシフトを加速しているが、EVはガソリン車よりはるかに構造が簡単で、無人運転等ITの占めるウエートが大きく、後れを取り戻すことが出来るであろうか。

 かっての技術立国日本の技術力の低下の原因は様々な要因があろうが、その一つは研究者の地位低下であろう。国立大学の場合、国からの運営費交付金が削減される一方、競争的資金や外部資金の導入が進んだが、これらは期限付きのプロジェクト資金であり、そのために募集される教員ポストも期限付きになり、期限が来れば研究者は別の仕事を探す必要があるため、腰を据えて研究が出来ない現状である。

 一方中国では1000人計画と称する海外から優秀な研究者を集める人材招致プロジェクトがあり、多額の研究費などが保証され、研究環境が日本より魅力的なため、日本を脱出する研究者もいるようだ。

 また国力の一つは人口資源であるが、日本の出生率の低下も将来の大きなリスクをはらむ。労働生産人口の減少は海外からの出稼ぎ労働者の補充である程度補えるかもしれないが、最近の円安は儲けを母国に送金する出稼ぎ労働者にも敬遠されるそうだ。それどころか、海外で働く日本人もいるとのことで、社会は大きく変化しつつあるが、方向は日本の国力低下だ。
2022.11.05(犬賀 大好ー860)

官製春闘と労働組合の衰退

2022年11月02日 11時08分29秒 | 日々雑感
 日銀は10月28日の金融政策決定会合で大規模な金融緩和の維持を決定した。9月の全国の消費者物価指数は前年比3%上昇したが、賃金の上昇を伴う形で物価安定の目標を持続的・安定的に実現できるよう金融政策を行う必要があると黒田総裁は釈明した。更に来年度や再来年度は1%台半ばぐらいの物価上昇率になるとみており、2%の物価安定目標を持続的で安定的に達成するには、3%ぐらいの実質的な賃上げがないと達成できないとも主張した。

 現在インフレの進行中で、金融緩和の続行理由の指標が消費者物価指数ではなく、賃上げ率にすり替わった。諸外国に比べて賃上げが伴っていないのは統計上確かであるが、物価安定が日銀の担務で、賃上げは日銀の担務ではなく政府の仕事の筈だ。1、2年前まではデフレ脱却と騒いでいたが物価は安定しており年金生活者には有難かった。そもそも日銀がデフレ脱却を目標に掲げること自体がおかしいが、当時の安倍政権下で政府に迎合し金融緩和を実行したのだ。目的は景気回復であったが、企業の儲けは従業員に還元されず、内部留保が膨れ上がる結果となった。

 これは企業に対する政府の施策によるところが大きいが、労働組合の弱体化の影響も大きいと思う。労働組合の力は組織率で測ることがことが出来る。労働組合の組織率は、1949年の56%をピークに、2020年には17%まで低下したそうだ。この原因は小売業や飲食業、観光業、その他のサービス業が盛んになったが、比較的小規模な企業が多く、パートタイムなど正社員以外の雇用形態で働く労働者や、平均勤続年数が短い女性労働者の増加等、雇用形態の多様化や雇用の流動化に、労働組合の対応が追い付かなかったのが原因と言われている。

 また大企業においても、2回に亘るオイルショックやリーマンショク等で、大企業の倒産があったため、従業員も賃金上げより会社の存続を優先するようになり、賃上げを要求する春闘は低調になり、一方内部留保の増加の一因となっているのだろう。

 労働組合の賃上げ要求の低調さに業を煮やしたのか、昨年11月岸田首相は、2022年の春闘で企業側に3%程度の賃上げを要請する方針を打ち出した。これは賃上げを労働組合に代わって政府が要請する官製春闘であり、安倍政権下でも行われたことがあったが、企業側の力が強く期待した結果を得られなかった。

 アベノミクスのもとで大企業は潤ったが、その恩恵は労働者には十分に及ばなかったとして、岸田政権はアベノミクスを修正、発展させる分配重視の姿勢を示していたが、大企業に対する法人税や内部留保に対する増税の話はどこかに消えた。もはや大企業は労働組合はおろか政府も怖くないとみえる。

 賃上げは春闘より、政府の成長戦略、構造改革であると主張する者もいるが、怖いものがおらず、ぬるま湯に浸かる大企業幹部に身を切る改革はできるであろうか。
2022.11.02(犬賀 大好ー860)