日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

岸田首相よ今こそ本当に丁寧な説明を

2023年01月11日 09時59分21秒 | 日々雑感
 岸田首相は、昨年暮れ秋葉復興相と杉田総務政務官を更迭し、閣僚の辞任はこの2カ月間で4人目となった。閣僚に任命するに当たり身辺調査をしている筈であるが、当人からの丁寧な説明は無かったのであろうか。丁寧な説明の必要性を一番感じているのは首相自身かも知れない。

 首相は言葉では常に丁寧な説明をするように求めている。丁寧な説明とは安倍元首相の十八番であったが、皆が納得できるような説明ではなく、大声で繰り返し言うことが丁寧な説明であった。

 ところで、防衛力の増強に関しては専守防衛から敵基地攻撃能力の保有、更に原発回帰の姿勢に関する決断は素早かったが、それに対する本来の意味での丁寧な説明もおろか、安倍流の丁寧な説明も無かった。岸田首相の国民の支持率は30%台で低迷している。支持率の挽回の為にも、本来の意味での丁寧な説明が問われる。

 敵基地攻撃能力あるいは反撃能力の保持とは、日本と敵対する国が日本にミサイルを発射する兆候が見られたとき、発射前にミサイル発射基地を攻撃する能力を有することであり、例えば米軍から射程距離の長いミサイルを購入し、いつでも発射できるように準備しておくことのようである。潜水艦やイージス艦に搭載する巡航ミサイルであるトマホークは敵基地攻撃に適している為アメリカから500発購入するという。

 しかし、日本が米国から購入予定のトマホークで敵基地攻撃能力を有したとしても、敵は同様なミサイルで日本の発射基地を狙うであろうので、同時に迎撃用のミサイルも補充しなくてはならない。また、音速の5倍以上の極超音速で低い高度を飛ぶミサイルも開発されており、探知や迎撃が難しく、既存のミサイル防衛システムを突破できるため、更に何らかの抑止力が必要となる。迎撃力、攻撃力の増大は中国も同じこと。果てしない軍拡競争に巻き込まれる恐れがあり、国防費2倍増程度では済まされない。最終的には核兵器も必要になろう。首相はどこまで考えているのだろうか。

 さて、日本の憲法は9条で戦争放棄を宣言している。自衛隊に関しては専守防衛の立場で、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その仕方も自衛のための必要最小限にとどめ等などとして、なんとか憲法に合わせている。敵基地能力を有する自衛隊を合憲とするためには、その能力を極端に制限するか、あるいは憲法そのものを変える必要があるだろう。岸田首相はどちらの道に力を入れるだろう。

 また、原発に関しては従来の可能な限り原発依存度を低減するとした政府方針を覆して、新規原発建設推進や老朽原発の運転を認める”原発回帰”に大転換した。そこでは原発の安全神話が完全に蘇り、原発事故の後始末は完全に終了したかのように明るい未来を描いている。岸田首相は、まず原発事故の反省を最優先するべく、高放射能廃棄物の完全撤去、またその最終貯蔵設備の完備等が終了、あるいは終了の目途が立った時に初めて予算を組むべきであろうが、ロシアのウクライナ侵攻にすっかり怖気づいてしまったのであろうか。2023.01.11(犬賀 大好ー879)

異次元の少子化対策の安定財源は?

2023年01月07日 09時53分50秒 | 日々雑感
 岸田首相は、今年(2023)の優先課題として、”異次元の少子化対策”と”物価上昇率を超える賃上げ”の実現に取り組む考えを表明した。前者に関し、首相は2022年の出生数が80万人を初めて割り込む公算が大きいことに触れ、これ以上放置できない課題であり、出生率を反転させなければならないと語り、強い危機感を示した。

 この問題は予てより指摘されており、今更の感がする。これまでも何らかの対策が施されていた筈だが成果は全く得られていない。昨年の末、増税で対処するとした防衛費倍増問題が周辺国との関係で不確実なのに対し、少子化問題は確実にやってくる大問題だ。しかし、ここで”異次元”とは使い古された修飾語であり、少子化自体が陳腐な問題となってしまう。もっと新鮮味のある首相独自の表現が欲しい。

 少子化問題に関しては、・児童手当などの経済的支援の強化、・学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充・働き方改革の推進、を3本柱に掲げ、小倉少子化相に具体策の取りまとめを指示した。

 この会議でよく議論し具体策を講ずるようにとの指示であろうが、自身の具体策は何ら持っていないと勘繰ることも出来る。首相は自分の考えを余り出さず皆の意見に従う姿勢のようだが、先の防衛力強化に対し専守防衛から敵基地攻撃能力の保持との方向転換や原発回帰に対する方向転換の決断は早かった。恐らく水面下での議論はあったのであろうが、この議論の場には反対意見の人はいなかったのであろう。国防問題や原発問題には関係団体、圧力団体が多く、首相は強硬意見に乗せられたと思われる。

 少子化問題では、政府は小倉氏をトップとする会議体の設置を検討しているが、この問題は要因が多岐にわたり複雑に絡み合うため、多くの人の意見を整理し纏める必要がある。小倉氏の手腕が問われるが、一番の問題は財源確保策であろう。

 少子化問題は出生から子供の成長に伴い各種の課題が発生する。出生率の減少には生活様式の変化し、価値観が多様化し、古い時代のような結婚観が薄れ、晩婚化・未婚化が増加した。子どもを持つことにこだわらないカップルも増えている。加えて経済的な理由や育児環境、特に仕事と育児の両立できる社会環境が充分でない。議論することには余り金はいらないが、具体的に実行するとなると補助金、支援金等莫大な資金が必要となる。

 岸田首相が打ち出している子ども予算の倍増について、小倉担当大臣は、来年の「骨太の方針」で実現への道筋等を明らかにすると表明しているが、予算の捻出法に関しては早くも自民党内で揉め出している。安定した財源を確保するためには、税に頼るのが手っ取り早いが、増税は選挙には不利だ。

 少子化問題は広範に社会的影響が及ぶ危機的な事態だとの認識では一致しても、増税に関しては一致できない。首相は先送りできない緊急課題としているが、どこまで指導力を発揮できるであろうか。
2023.01.07(犬賀 大好ー878)

保育士の待遇改善は必須だが予算は?

2023年01月04日 10時09分44秒 | 日々雑感
 裾野市の私立保育園で子供を守るべき保育士の虐待行為が明らかになり、園の隠蔽が疑われる対応と体質にも批判が集まっている。地元では人気のある保育園のようだが、ここで行われた信じがたい行為の背景に、子どもを預かり養護と教育の両面から面倒を見なくてはならない保育士の多忙があるようだ。

 この保育士の多忙は保育園一般にあるようであり虐待行為はここだけに留まらない。裾野市の保育園の他、仙台市の保育所や富山市の認定こども園でも不適切な保育が次々と報道されている。

 保育園は、家庭において十分に子どもを保育できない場合に、家庭に替わって0~5歳の乳児および幼児を保育するための児童福祉施設だ。この年齢層の子供は言葉だけでは充分意思を伝えることが出来ない為、身体的に力を加えて保育することも想像に難くない。脚をもって逆さずりにすることが虐待の典型のように報道されているが、経験的に子どもが喜ぶ場合もあり、何をもって虐待と呼ぶのかよく分からない面もある。

 脚をもって逆さつりにした場合、恐怖で子供が泣き叫ぶ場合は虐待行為となろうが、そんなことをすればその後の面倒見が一層困難になるであろうに、敢えてするとは何のための逆さづりかよく分からなくなる。

 ストレスが溜まっていたためとの報道もあるが、根にあるのは多忙の結果であろう。保育士の人材不足は予てよりよく聞く。その一因は給料の低さにある。2022年の全国の保育士の平均給料は約25万円だそうだ。この給与額は手取り額ではなく、所得税や社会保険料などを控除する前の金額を指し、手取り額の平均はおよそ20万円前後と考えられるそうだ 。この金額は一般女性の平均給料よりかなり低いとの話はよく耳にする。

 保育士は誰でもできるから給料が安いとの意見がある。一昔前は専業主婦が多く乳幼児は家庭で過ごすことが一般的だったので ”母親ならみんなやっている当たり前の仕事”といった偏見があり、保育士は元々女性の本来の仕事のため賃金が不当に押さえられてきたと考えられる。

 岸田内閣は子育て支援政策の一環として、「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」を行うことを決定した。これにより保育士の賃金9000円アップという見出しが一人歩きし、保育士全員の給料が9000円上がると思われるが、今回の処遇改善を受けるためには対象者や対象施設、補助要件などをクリアしている必要があり、一人当たりの引き上げ額も一律で決まっているわけではない。

 この件も今春創設予定のこども家庭庁の担務となろうが、予算面の裏付けは乏しく、安定財源の確保が課題となる。国防費の年1兆円の財源確保は税金で賄うことが決定したが、年1千億円程度必要な子ども関連の財源確保の目途が立っていない。2023.01.04(犬賀 大好ー877)