日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

出生数の向上には婚姻数の増加が必須であるが

2023年05月13日 10時11分10秒 | 日々雑感
 岸田首相は ”少子化はこれ以上放置できない待ったなしの課題”と強調して異次元少子化対策を提唱しているが、歴代の政権も同様な問題意識で何等かの対策を講じてきたが、出生率の回復等目的は達せられていない。今回の少子化対策の柱は、・児童手当など経済的支援の強化、・学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、・働き方改革の推進、の三つとなるようだが、考えられるすべての項目を羅列しただけとの感が強く、これでは出生率の回復を余り期待できない。

 日本に限らず、東アジア圏においては出生数の減少はすべて婚姻数の減少で説明がつくのだそうだ。スウェーデンでは未婚のまま子どもを産む事が社会的に認知されているようだが、少なくとも日本では認知されていない。子育て支援云々以前に、結婚できない状況が出生減の主要因なのである。出生数の増加には婚姻数の増加が必須なのだ。

 先述の3つの柱の一つ働き方改革において、結婚して子育てするためには、・安心して出産できる環境支援、・両立支援・両立できる働き方、・継続的な男性の家事・育児参画 等が鍵となる、として様々な改革を提案している。結婚後の安定した家庭を築ける環境の確保が重要であることは言うまでもないが、その前に男女の出会いが無いと結婚に至らない。そもそも先述の3つの柱は婚姻数の増加には間接的には関係するが直接関係しないのだ。

 男女の出会いは、一昔前はお見合いが主流であり、近所のお節介おばさんが大活躍していた。お見合いは、結婚を希望する人同士が、第三者の仲介によって対面する慣習である。厚生労働省の発表した「2015年版厚生労働白書」によると、2010年~2014年においてお見合い結婚は5.5%、恋愛結婚が87.7%であり、一方、1935~1939年にはお見合い結婚が69.0%、恋愛結婚が13.4%とのことだから、ここ70~80年の間に結婚を取り巻く環境がすっかり様変わりしたのだ。 

 最近は、結婚相談所やマッチングアプリが主流との話だ。筆者のような高齢者にはマッチングアプリなど別世界の話だが、これらの手段に躊躇する若者も多くいるのだろう。家族制度が崩壊し、個人の意思が尊重される時代となっても、心は時代についていけない若者も多くいるのだ。

 また、働き方改革により女性の社会進出が多くなり、昔に比べると収入が安定し、趣味に価値を見出し、若いうちに結婚を選ぶことが幸せではないと女性の晩婚化が進んでいるそうだ。晩婚化は当然出生率の低下につながる。働き方改革は、結婚した若者に対して出生率の上昇に役立つが、未婚の女性に対しては逆効果となる恐れもあるのだ。兎も角、政府の掲げる異次元の少子化対策では出生率の上昇は期待できない。

 政府は、婚姻数の増加にもっと配慮すべきである。このための工夫、例えばお節介おばさんの育成や結婚祝い金の支給、等検討すべきであろう。2023.05.13(犬賀 大好ー914)

フランスやスウェーデンにおける少子化対策は特殊だが

2023年05月10日 10時30分40秒 | 日々雑感
 岸田首相は異次元の少子化対策を検討している。少子化対策の柱は、・児童手当など経済的支援の強化、・学童保育や病児保育、産後ケアなどの支援拡充、・働き方改革の推進、の三つとなるようだ。フランスやスウェーデンにおいては、我が国に先立ち少子化対策を強力に推し進めており、岸田首相もこれを参考にしている思われるが、今のところ網羅的で焦点が定まっていない。

 フランスの2020年の合計特殊出生率は1.83とEU内でもっとも高く、スウェーデンは1.66でその後を追う。フランスでは、出生率が1994年に1.65で最低となり、2010年に2.01に回復し、スウェーデンでは1999年に1.5で最低となり、2010年には1.98と回復している。両国ともに近年は出生率が下落傾向にあるが、それでも日本の現在の1.30に比べると高く、見習う点が多いと思われるからである。

 さて、両国のGDPに占める少子化対策への公的支出の割合は、スウェーデンが3.4%、フランスは2.9%と、日本(1.6%)の2倍前後に上る。両国は多額の予算と制度を駆使して出生率を高めようと努力している。

 岸田首相は2月15日の衆院予算委員会で、GDP比2%の約10兆円規模の「家族関係社会支出」を倍増する、と受け取れるような答弁をした。この日本語を素直に解釈すれば、家族関係予算は現在GDP比2%に相当する10兆円でありそれを倍増すなわち20兆円と、すなわち4%にすることになり、まず公的支出を見習い、同規模の予算を計上しようとしているのだろう。

 しかし2022年度の少子化対策関係予算は約6兆1千億円だ。4月に発足した「こども家庭庁」の2023年度予算は約4.8兆円が計上されており、先述の20兆円からすると随分少ない。ところで、少子化対策の具体的中身であるが、児童手当の支給、保育園の充実や育児休暇の拡充等似たり寄ったりである。これらの拡大には多額の資金が必要となるが、岸田首相の倍増計画からすれば、まだ余裕があり、増やすことは簡単だが財源が定かでない。

 ウェーデンで特徴的なのはサムボ(事実婚、同棲)制度である。サムボとは、登録している住所を同じくし、継続して共同生活を営み、性的関係をもつカップルの事だそうだ。日本でも足入れ婚と言う風習があった地域もあったが、こちらは家族制度の一環であり、似て非なる制度である。

 サムボで生まれた婚外子の割合は2008年54.7%と半分以上を占めており、未婚のまま子どもを産む事が社会的に認知されている。この効果として少子化を食い止めたと言っても、男女機会均等から出発した家族政策や女性解放政策が背景にあり、日本で到底真似ができない制度だろう。

 フランスでも出生率の高さには移民との特殊背景があるようで、日本ではおいそれと真似ができない。さて、岸田首相や小倉少子化担当相は歴代の政府が出来なかった難問をどうやって切り開くのだろう。
2023.05.10(犬賀 大好ー913)

少子高齢化社会の落とし子

2023年05月06日 11時07分40秒 | 日々雑感
 少子高齢化社会を反映してか、所有者不明の土地が増えているとのことだ。所有者不明土地とは、不動産登記簿を確認しても所有者が分からない土地、または所有者は分かっていてもその所在が不明で所有者に連絡がつかない土地のことだ。

 このような土地が日本各地で増加しており、その面積を合わせると、九州よりも広く、国土の約22%(2017年度国土交通省調べ)にも及んでいるそうだ。日本は目下少子高齢化社会の真っただ中にあり、所有者不明土地は更に増え続け2040年には北海道の約9割程度の広さの土地が所有者不明となってしまうと言われている。

 所有者不明土地は、公共事業や復旧・復興事業を行う際、所有者の特定に多大な時間と費用を要するため事業実施の支障となり、また民間取引や土地の利活用の阻害要因ともなっている。また、このような土地では適正な管理がされず、雑草の繁茂、ゴミ等の不法投棄、害虫の発生等により、周辺の地域に著しい悪影響を及ぼす恐れがある。また土砂の流出や崩壊等により周辺の土地に災害を発生させる恐れもある。

 しかし1986年から1990年頃にかけて、日本では株価や地価といった資産価値が上昇し、好景気が続くバブル経済時代となり、土地神話と言う言葉まであった。すなわち、不動産地価は必ず上昇し続けるという、現在では信じられないような時代があり、所有者不明との概念すら無かった。

 時代も変われば変わるもので、最近では価格がほとんどなくなり、登記費用がかかったり、遺産分割協議を行うのが面倒であったりして、登記を放置してしまう土地が全国各地に発生している。資産価値が無くなっているのも、土地を活用する人の減少、すなわち少子高齢化社会を反映しているのであろう。

 これまで相続登記の義務が無かったことも背景にあり、政府も不動産登記の制度を見直し、相続登記の申請を2024年4月から義務化することにした。また土地を相続した人が、不要な土地を手放して、国に引き渡すことができる”相続土地国庫帰属制度”を2023年4月27日施行した。土地を相続しても、資産価値が無ければ売ることも出来ず、固定資産税や管理費がかかるばかりで、まさに負の遺産となり放棄されるのを防ぐための一手段である。

 しかし、国が引き取ってくれると言ってもタダで引き取ってくれる訳ではなく、宅地や田畑は、一部例外があるものの、面積にかかわらず原則20万円の負担金を支払わなくてはならない。国は引き取った後どのように利用するのであろうか。食料自給率の低い日本にとって大規模化し、機械化等で大規模農業をしたいところであるが、一番の問題はこのような土地が纏まってある訳ではなく全国各地に点在していることのようだ。

 このような細切れの土地をどう生かすか。皆目見当がつかない。福島原発事故で人のいなくなった土地は2、3年で草木が生い茂り野生動物の天国になったとの話だ。将来の日本は動物と共存する自然豊かな国となってくれれば良いが。

 所有者不明土地とは異なるが耕作放棄地や空き家も同様に少子高齢化社会の落とし子だ。2023.05.06(犬賀 大好ー912)

外国人労働者の増加は避けて通れない道

2023年05月03日 14時41分44秒 | 日々雑感
 今年の春闘での大手企業の賃上げラッシュは、異次元金融緩和で大儲けした大企業が従業員にやっと還元できたと喜ぶべきであろうが、日本全体の企業数の99.7%が中小企業で、従業員数の70%以上が中小企業で働いており、日本商工会議所の調査によれば、賃上げを実施できる中小企業は全体の60%未満にとどまり、賃上げ率は2%程度になる見込みだとのことだ。中小企業で大企業と同じ水準の賃上げが行われなければ、異次元金融緩和の恩恵は一部にのみ留まることになることになる。

 さて、5月に入り毎日のように諸々の物価の値上げが報道されているが、最近物価上昇率は4%台から3%台に低下しているそうだ。このまま2%にまで低下すれば、日本経済は安定発展するとのエコノミストの話であるが、年金生活にとって諸物価値上がりが定着するのかと思うとうんざりする。

 ところで、国内では人手不足が深刻化しているようだ。今朝のニュースでも牛丼で有名な吉野家がこの連休中に人手不足の為休業するとの報道があった。人手不足は毎年この時期顕著になるようだが、休業までするとは大変な人手不足なのだろう。恐らく今後は、中小企業の人手不足による倒産増加が避けられそうもないとのことだ。

 政府も異次元と称する少子化対策の必要性を訴えているが、最新の将来推計人口によれば50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るとのことだ。各年齢層全体が均一に減少すれば良いが、働き手が減り高齢者が増加するのが問題なのだ。

 この問題解決の一助として自民党の外国人労働者特別委員会は技能実習生の受け入れ目的の変更を議論しているとのことだ。そもそも技能実習制度とは外国人が日本で働きながら技術を学び、帰国後の自国の人材育成を通じた国際貢献を目的とするものであった。しかし、受け入れ側の日本では人手を確保する手段になっており、現実との乖離が甚だしかったようだ。

 そこで、政府は外国人労働者が日本で安定して長期に働けるように特定技能制度を新設した。技能実習制度では3年の在留期間を特定技能1号では最長5年とし、特定技能2号では制限無しとした。現状1号では約14万人が働いているとのことだが、2号は10名程度とのことでいないのも同様だ。

 先述の特別委員会は現在、建設と造船・舶用工業に限られている2号の適用分野を広げようと各業界と議論を進めているようだ。1号では家族同伴は許されなかったが、2号では許される為、近年異常な円安で日本で働く価値が低下したとは言え、安心・安全な生活が送れる日本への希望は激増すると思われる。しかし、この政策は移民政策に繋がると反対意見も強いようだが、少子化の歯止めがかからない日本では避けて通れない道であろう。
2023.05.03(犬賀 大好ー911)