土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

花のお寺もこの雨では…、浄瑠璃寺と岩船寺を訪ねました。

2010年03月16日 | 京都の古寺巡り
浄瑠璃寺


またまた土曜日は雨でした。春の到来を待ちわびる花のお寺の花達は、一雨ごとの
息吹を感じながらも、もう少しの我慢かも知れません。けれどこの時期に美しい色
や形を見せてくれる花々も沢山あるようです。
「馬酔木がそろそろ満開ですよ」とのことを聞き早速土曜日小雨の中、浄瑠璃寺へ
向かいました。ボクはこの「浄瑠璃寺の馬酔木の花」に少々こだわりがあります。
学生の頃に読んだ堀辰雄さんの「大和路・信濃路」の「浄瑠璃寺の春」の稿に感じ
入り、ボクの奈良巡り、古寺古刹そして古仏への興味を与えてくれた一文なのです。
堀さんの馬酔木と古刹と一緒に行かれた奥様への想いが短い随想の中でほのぼのと
感じることができ、お寺の娘さんとのやりとりにも素朴な一面が印象として残って
います。この随筆は1941年に発表されたものらしいです。
参道に咲く大きな灌木に小さな白い花の房の重なりは見事です。


言い訳 / 浄瑠璃寺と岩船寺は共に行政区は京都府ですが、生活圏、観光圏としては
     奈良市だそうで、地元のおばさん達と話をするとそれは感じます。両寺と
も真言律宗、西大寺の影響は少なからずあったようです。

参道と馬酔木に自然荘厳された先に山門が見えます。


浄土池畔建つ阿弥陀堂。
浄土池を中心に取り囲むようにして境内はあり、西に阿弥陀堂が東面し佇んでいま
す。堂内にはかの有名な九体仏、本尊を中心に左右四体の阿弥陀如来九体が整然と
並んでいます。阿弥陀堂一扉に一体の阿弥陀如来、扉を開け放し東から池を通して
眺めることが出来たら、そして一筋の朝陽が堂内に差し込んだら、如来に当たる光
が黄金に輝いたら、真に阿弥陀浄土の一端を見た思いになるのではないでしょうか。
然しこれを求めるのは無い物ねだりでしょうネ。


三重塔下の灯籠を通して阿弥陀堂を撮ってみました。


阿弥陀堂横の石仏です。


鐘楼です。


鐘楼の横にサンシュユの花の黄色が鮮やかでした。




池畔に立つと鯉が寄ってきました。


三重塔の今の姿。覆いでスッポリ。なにやらアライグマが塔内に侵入し、柱、壁面
に爪を立て暴れまくっているとのことで、その修理を含めて平成の修理に取りかか
っています。本坊横の大日堂で初層内部の十六羅漢図の一部が写真パネルで展示さ
れています。今は塔下の石段は昇れません。


参道に咲くシナミ桜。食べることが出来るサクランボがなるそうです。






岩船寺
枯れ木と濃い緑の中、朱色が鮮やかな三重塔が一際目立つ岩船寺も、この時期はや
はり形無しです。色と云えばサンシュユの木が一本黄色い花を付けていました。

山門です。


本堂です。
本尊は阿弥陀如来。像高3m近い堂々の造型です。納衣は朱色が残り、ボクなどがイ
メージする阿弥陀如来とは少し違うようです。堂内にご住職がいらっしたのでお話
を伺うと真言儀軌(密教作法の総てに及ぶ取り決め)では阿弥陀如来は脇侍を置か
ず単独仏で、納衣は濃い朱色、このお寺のように四天王を本尊周囲に安置すること
があるそうです。須弥壇はお堂中央にあり、その陣容は迫力があります。須弥壇左
右、後ろには、鎌倉、室町各時代の仏像が安置してありジックリ拝観できます。


三重塔です。
ボクのウマシカちょんカメラには手ぶれ補正が付いている筈なんですがネェ。




五輪塔と十三重石塔。


三重塔の脇道を少し上ると鐘楼が佇んでいます。


貝吹き岩への道。盛寺の頃、僧集めのためのホラ貝を吹いたと云われる岩がありま
す。かなり歩きます。


岩船寺鎮守社、白山神社と春日神社です。


左白山神社、右春日神社。


当尾の石仏巡りをと思ったのですが、この日は諦めました。しかし雨の中、ハイカ
ーの方たちは元気ですね。