土曜日は古寺を歩こう。

寺勢華やかな大寺も、健気に法灯を守り続ける山寺もいにしえ人の執念と心の響きが時空を越え伝わる。その鼓動を見つけに…。

若狭の地で真言密教の法灯を伝える、明通寺。

2011年11月16日 | 福井の古寺巡り


(2011.11.12訪問)

神宮寺から少し戻り、遠敷川を渡ります。若狭西街道、比較的新しい農道を東に
真っ直ぐ、県道23号を南に走ると徐々に山懐へ、明通寺はスグそこです。

[ 明通寺 ]
●山号 棡山(ゆずりさん)
●寺号 明通寺(みょうつうじ)
●宗派 真言宗御室派
●勅願 平城天皇
●開山 坂上田村麻呂
●創建 大同元年(806年)
●本尊 薬師如来坐像

明通寺縁起(明通寺リーフレットから)
延暦のむかし、この山中に一大棡樹(ゆずり木)あり、その下に世人に異なる不思
議な老居士が住んでいた。たまたま坂上田村麿公、ある夜、霊夢を感じ老居士の
命ずるままに天下泰平、諸人安穏のため、大同元年(806年)このところに堂塔を
創建し、居士また棡の木をきって、薬師如来、降三世明王、深沙大将の三体を彫
って安置したと伝う。爾来壱千二百年、つねに天下万民の祈願所として、法燈た
えることなし。現存の堂塔は、中興頼禅法印の再建にかかり、地方にありながら
中央のものにも劣らぬ優秀な密教建築である。

▼棡橋(ゆずりばし)。
いきなりお出迎え、松永川に架かる駐車場と境内をつなぐ朱色鮮やかな結界橋。



▼松永川。



▼石段を上るとスグ境内。簡素な石標です。



▼ナヌッ! 参道前に本堂工事中のお知らせ。
本堂屋根葺き替えとのことは、前日お寺から聞いていたので動揺はありません。
サア行きましょう。



▼山門。
江戸中期の明和9年(1772年)再建。間口三間二層の八脚楼門、瓦葺。
二層目に立派な勾欄が外廊を巡っています。



山門両脇にドーンと仁王さん。阿吽両像とも、色彩は相当酷い状態ですが、お顔、
お躯全体が朱色だったのが見えます。パワフルなお顔とダイナミックな像姿は仏
師の相当な力量が窺えます。慶派の流れがあるのでしょうか。お顔の彫りの深さ
は圧巻!
鎌倉中期文永元年(1264年)、寄木造、像高190cm(両像とも)
▼金剛力士阿形像。



▼金剛力士吽形像。



▼見事なパズル風山門の組み物。



▼鐘楼。



▼手水舎。



▼本堂への参道。



▼丁寧なお寺ガイドの看板。
左に覆われたテントとパイプ状のもの見えます? 工事中の本堂です。



▼本堂(国宝)。(本堂写真はs.minagaさんにお借りしました)



単層入母屋造、桧皮葺。正嘉2年(1258年)再建。大正12年解体修理。
屋根桧皮を葺き替え中、現在テントに覆われていますが、入堂はでき仏像拝観は
可能。僧侶が説明とお説教を随時行っています。

本尊 薬師如来坐像(重文)。 一木造、像高134cm、平安初期。
脇侍 深沙大将立像(重文)。 一木造、像高254cm、平安初期。
   後三世明王立像(重文)。一木造、像高250cm、平安初期。
憤怒尊を脇侍としている珍しい三尊例ですね。

▼三重塔(国宝)。
境内最高所に建っています。
三間三層、桧皮葺。塔高22.26m。文永7年(1270年)再建。昭和32年解体修理。
本尊 釈迦三尊。通常開帳されていません。今は壁画、柱画修復中でご本尊はこち
らにおられません。



▼初めて見る修復作業。現在、初層の柱、壁面の十二天像を修復中。外から作業
を見ることができます。若い女性お二人の筆さばきをしばらく見とれていました。





▼本堂前の池の鯉。とにかくデカイです。



▼客殿中門。



▼客殿と枯山水の中庭。



▼客殿仏間の不動明王立像。



▼客殿から勝手門をくぐると目の前に巨木。
天然記念物、樹齢約500年の栢の木(かやのき)。



▼栢ノ木横からの景観。



ハードな山塊中の山岳寺院と思って訪ねましたが、そうでもなく優しい感じの山
寺です。残念ながら、本堂桧皮葺屋根の修復工事中のため建物は見ることが出来
ませんでしたが、堂内での僧侶の方のお話はなかなかのもの、本尊は小振りなが
ら美しい薬師さん。憤怒像を左右に配する珍しい三尊形式は初めてですが、この
両脇侍が迫力満点、明王と大将で阿吽を表現しているとのこと。ボクにとっては
新しい発見。大ナットクでした。

チョット時間が押してきました。次の予定どうしょうか、帰りは遠いし……。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ミキ)
2011-11-20 22:42:18
こんばんは。
今宵も有難くhidepon様worldに浸らせて頂きました。
有難う御座います。
>▼棡橋(ゆずりばし)。
>いきなりお出迎え、松永川に架かる駐車場と境内をつなぐ朱色鮮やかな結界橋。
もぅ、この美しい一文で、すっかり妄想参拝の世界へといざなわれてしまいます。
そして金剛力士阿形像のド迫力の存在感には圧倒されました。
さて、時間が押し気味のhidepon様、如何にっ!?
乞うご期待!ですねっ!ワクワク~~♪♪♪
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白木の迫力 (kotarou)
2014-09-26 18:13:37
こんばんは。おじゃまします。
まさにザ古寺ですね。hidepon様のおかげさまで”旅行”ができます。
3Dモデルもモノトーン(陰影)で表現してディテール、プロポーションの違いがわかるような気がします。
3D-CADで色をつけたりテクスチャを表現してもしょせん”にせもの”でより安っぽくなりますから。(そういいながら結構やってますが)
明通寺の建築はそれをつよく感じます。
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