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塚田盛彦のつれづれなるままにサッカー

世界中で親しまれているサッカー。このサッカーをフィルターとして、人間社会の構造に迫っていきたいと思います。

井上ひさしさんのボローニャ紀行を読んで(2)

2010-05-29 00:37:57 | 日記
 「イタリア人は国というものを一切信用していない。
 しかし人間はなにかを信用しないと生きて行けませんから、
 家族を、知り合いを、そして自分の住むところを
 信頼に値するものにする。」

 ボローニャ紀行の文庫の帯に書かれていた文を、そっくりそのまま書き出してみました。

 この一文を読んだだけで、今Jリーグは目指していること、「100年構想」「地域密着」という原点が、このボローニャにあるとわかります。

 僕がサッカーを好きで良かったと思うのは
 「自分の住んでいる街にちょっぴり好奇心が持てる」という点です。

 例えばインターネットで買っている品物を、自分の街のお店で買ってみる。お店では様々な品が売られていますから、新しい発見があるでしょうし、もしかしたらネット通販よりも安いかもしれません。

 こうした些細なことも、充分地域社会を大切にしている行動だと思います。

 例えば僕の住む千曲市には銭湯が幾つかあります。
 足湯を無料で解放している銭湯もあれば、自動販売機の飲み物が格安で飲める銭湯もありますし、周辺の飲食店のマップを置いている銭湯もあります。

 サッカーが好きだと
 「北信越リーグに観戦に来た他県の方が、この銭湯で汗を流したら気持ちよいだろう。」
 「今まで気付かなかったけど、千曲市はこんなにレストランや宿泊施設が充実しているのか。
 こんどの休みに食事にでもでかけようか。」

 などとサッカーを通じての町おこしや、地元の散策などを後押ししてくれるんです。(それはサッカーに限らず他の競技が地元にあるなら、同じ気持ちですよね。)

 ですからこれからの僕たちにはボローニャの皆さんのように
 「まず国ありきではなく、まずは自分たちの住む街を最優先に考えよう。」というスタンスに切り替わって行くと思います。

 そうした皆さんの応援に、サッカーが役立つならファンとしてこんなに嬉しいことは無いですね。
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井上ひさしさんのボローニャ紀行を読んで

2010-05-29 00:15:53 | 日記
 昨日日本の政治は大きく動きました。

 沖縄の普天間基地の移籍先が、「辺野古」周辺に隣接する地域に決定した事で、鳩山総理が沖縄の皆さんに正式に謝罪し、そして最後まで最後まで総理に抗った社民党の福島党首は、罷免と言う形で総理が常に口にしていた「5月のうちに決着」の幕は降りました。

 僕がこの一連の動きを見て感じた事は
 先日他界した作家の井上ひさしさんの著書、「ボローニャ紀行」の文庫の帯に書かれていた言葉、

 「イタリア人は国というものを一切信用していない」
 という一文です。

 僕は今まで井上さんの本を手にとったことはなかったのですが、この文庫の中には「二つの塔」というエッセイがありまして、その題材が当時ボローニャの選手だった中田英寿と指揮官のマッツオーネに関するものだったので、興味を引かれたんです。

 そしてこの話の後半部分は本国イタリアで絶賛され、日本でも翻訳本が発売されたフランチェスコ・トッティの笑い話についても触れています。(ベースボール・マガジンが発売元で、タイトルはトッティ王子のちょっぴしおバカな笑い話)

 僕は選挙対策やメディア向けの意図もあったのかもしれませんが、それを抜きにしても総理の発した言葉を、最後まで具現化しようした人間を、言葉を発した人間が罷免する事は、皮肉な出来事だと痛感しましたね。

 ボローニャ紀行の中で井上さんは、ボローニャの街の風景からボローニャの街の人々が、いかに苦心して街の風景を維持しているかをあぶり出し、僕達に伝えてくれます。

 この本を読むと、僕たちの国とのこれからの付き合い方だけでなく、
 サッカーを含めた地元との付き合いかたを考える上で、大きな活力が湧いてきます。

 井上さんが終始暖かい視線と優しい言葉でこの本を綴ってくださった点も、僕にとっては嬉しい限りでした。
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