もう一つ別の疾患に越婢加朮湯を使っています。
それは尋常性乾癬です。
これはほとんどと越婢加朮湯と当帰飲子の組合せです。
アトビーは文字通り湿疹です。
湿っているところをある程度乾燥させないといけないのです。
乾癬は文字通り基本が乾いて肥厚した癬ですね。
これを潤す最大の薬が四物湯に皮膚薬の入っている当帰飲子です。
要するに四物湯で乾癬を中から潤してあげて、乾癬の部分を破ってあげるのです。
これが非常に効くのです、ほとんどうまくいっています。
尋常性乾癖は難病という事で尋常性乾癬友の会を作っているのですが、
先生方のところで治療してもらえば、友の会はそのうち解散するのではないでしょうか。
但し、乾癬は完全に無くなりはしません。本人の生まれつき持っているものですからね。
でも全身がひどい状態になっていても、薬を飲んでさえいれば本人が社会生活をするのに
苦痛を感じる事は無くなります。
露出部分は本来は治り易いところですので、女の人だったらノースリーブの服が
着られて、膝までのスカートをはければそれで良いでしょう。
そこまでにはなるのです。体の奥というか陽の当たらないところは治りにくいのです。
特に最後まで残るのは背骨の腰椎の附近です。
貨幣状湿疹と尋常性乾癬とを北海道の先生はよく間違って発表したりします。
尋常性乾癬友の会の中にまで貨幣状湿疹の人がよく入っています。
貨幣状湿疹は文字通り湿疹ですから、乾癬程の皮膚の厚さはありません。
最も強いステロイドを使えばリバウンドはありますが、2、3日 で完全に消えます。
乾癬は2、3日で消える事はありません。乾癬は慢性化する程盛り上がってきます。
乾いて大抵は淡紅色かピンク色の盛り上がりです。それをキチンと確認して、
ほとんど病名診断で越婢加朮湯と当帰飲子を使っていただければ大抵良いようです。
ほとんど視診が全てを決めているという感じです。
だから皆さんがお使いになられたら、あんな山の中(南富良野町)まで患者さんが
来なくても良くなるのではないでしょうか。
そんなに時間はかかりません。
乾癬は本人が皮膚が軟らかくなって来ているのが分かるのです。
写真を撮っておけば私達もはっきり良くなっているのが分かります。
ということで越婢加朮湯は皮膚を破る薬です。
初めアトビーの象皮症みたいなものに使って効くということで
尋常性乾癬に使ってみたらやはり効くということで、
自分でも面白い使い方だと思います。
札幌下田塾 (第11回)
※貨幣状湿疹との戦い, 湿疹と茵蔯蒿湯