イコンのもとに


在宅介護16年が終了後、やっと自分のために生きられる。イコンも描いてます。ブログは書いたり書かなかったり、気分で。

同時介護

2014年01月28日 | 在宅介護
前に習っていたイコンの先生が
「年寄りばかり看ていないで、イコンを描きなさい」
と、言われたので
これはおかしい!と思っていたら
次々とおかしな出来事がありました。
先生は
年寄りばかり看ていると、イコンは描けないから
介護は適当にしなさいと言うのです。
これは奇妙でした。
ですので、早めに習うのは辞めました。
他の生徒とも、
金銭の問題が出てきて、
こうなると
他人はもう深く関われませんから、
娘さんに連絡しました。
金の問題が起こるイコン教室で、習うのは無理でした。
イコンは金銭とは無縁でありますから。

家族が親の変化を理解していないと
まわりの人々が、
掻き回されたような混乱になります。
他人は深くは関われません。
まして、宗教画でそういうことが起こると、詐欺呼ばわりされます。
実際にそうなり、
ニコライ堂に直接、連絡しました。
私は「介護をすることで、また、イコンが描ける」と思っていますから
先生の考えとは、全く違いました。
その後はどうなったか知りません。

私は今はイコンをじっくり描けない状態です。
「年寄りばかり看ているので、イコンは描けない」のです。
私は両親をふたり、同居で看ていますが、
ひとりでなく複数の介護をすることを、
同時介護というのだそうです。
NHKのハートネットTVで、
春やすこさんの介護の予告を見て、
同時介護という言葉を初めて知りました。
私は、もう経験してしまってから、
あとでいろいろわかるということが多くて
子どもたちが実は年子だったというのも
子育てが、やってみたら、
いざたいへんだったということで自覚しました。
今の同時介護も、私の祖父母も両親が看ていましたから
当たり前のことであったのですが、
昨年のように、一年間で
ふたり合わせて、11回の手術があると
「やっぱり、ひとりの介護より、ハードだ。
これが、同時介護だ」と実感しました。

子育てと介護は、経験してみないと全く理解できませんね。
「年寄りばかり看ていないで、イコンを描きなさい」
と言われた先生は、
家庭での介護は全くしたことがなく
自分の親が初めてふたり施設にお世話になってから
「ふたりの介護をしていると、イコンなんか描けないわ」と言っていました。
私は、この先生に習わなくても
両親の介護をしっかりしていれば
私のイコンは描くことができるだろうと思いました。

芸術に想像力がなくなると、
現実よりも、はるかに非現実になるものだと思いました。
宗教画家こそ、
現実をしっかり見据える必要性はあるだろうと思います。
岡山の悪口ばかり言う芸術家夫婦でしたので、
岡山を愛する人たちは嫌になりました。
私もそうです。

同時介護はたいへんですが、
まだ、私はふたりだけでした。
母の病院で、4人看ているという方にお会いしました。
私は4人は看ていないから、
どんな状況になるか、わかりませんが、
今のふたりの介護から、
その方のくたびれ方は、
すごく想像でき、理解できました。
ただ、介護は子育てとは違い、
ずっとは続きませんから、
私は両親との別れのセレモニーみたいなものだと考えています。
両親が長生きできて、それを看させてもらうことは
介護疲れ以上の、
私の精神の喜びだろうと思います。

こんなことで、
肉体と魂の違いをはっきりとわかるとは思いませんでした。

高齢者介護というのは、
自分の人間性修行のようなものだなと思います。


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