夢を見る をみなは胸に 鶴を飼ふ 夢詩香
*先のアメリカ大統領選挙では、アメリカ国民はトランプを選びました。ほとんど、彼が男だという理由だけで。たぶん、それだけで。
愚かというほかはありません。なぜ人間は、ヒラリーの心を見抜けないのか。自分の力を国のために使いたいという真心が、彼女の中にあるのを見抜けないのか。
それはやはり、男性も女性も、見栄えのみで女性を見ているからです。
美しいか美しくないか。自分の好みか、好みでないか。
馬鹿な男は、女性を見るだけで、みだらな想像もする。そういう嫌なことを胸に抱えている人間は、どうしても女性を、歪んだ目で見てしまう。
所詮はセックスの相手に過ぎないのだと。
そういうバカげた低級なものの見方が、国を誤らせたのです。人間は、男も女も、女性に立派な美しい心があるのだと、信じたがらない。なぜならそれだと、困ることがたくさんあるからです。
女性の心には鶴のように美しくみずみずしい力がある。愛ですべてに尽くしたいと思っている。それは誰にも捕まえられない心です。神でさえ、触れたいと思う心を我慢して、見つめている。そんな美しくもかわいらしい心の真価を、なぜ認められないのか。
美しいものを支配したいと思う心は、弱さから発しています。卑怯な手でも使って自分の方が偉いことにし、支配下に置かないと、相手にしてもらえないという心があるのです。愚かなことだ。
自分も美しいことをして、美しくなればいいものを。美に支配されるのが怖くて、美を支配しようとする。だが、女性の心に住む鶴をつかまえることは、大勢でマンモスを倒すことよりもずっと難しい。
あれは何なのだと、見とれている間に、飛んで行ってしまう。もうどこにもいない。
一度逃した鶴は、二度と帰っては来ない。