ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

桂の人

2016-12-14 04:21:29 | 短歌







風さそひ 桂の人は 窓を訪ひ まどろむ人の 夢にすずろく






*わたしたちには、恋愛感情というものは、ほとんどありません。もちろん女性を愛していますが、あなたがた人類の男性たちのように、激しく女性に恋するということは、ありません。

ですが、恋の楽しさや美しさは知っている。だから時に仮託して、恋を歌うこともあります。

桂の人とは、月の世界に住む美男子のことです。月には桂の木が生えているという伝説がありますから、桂というと、月を意味することもあります。

そういう男が、風に誘われて岩戸を訪れ、窓からあの人を覗く。眠っているかのじょが見ている夢を垣間見て、そのかわいらしさに、胸がそわそわしている。話しかけたいのに、それができなくて、しばしぼんやりと見つめている。

そういう図を思い浮かべると、楽しい。

「すずろく」は、心が浮ついて落ち着きがなくなるさまを言う言葉です。恋をすると、男はよくそういう状態になる。理性の鏡が曇って、何かに動かされ、身の奥から高まるものに耐えられなくなってくる。

愛というものは時に、痛いことをする。

恋というのは、不思議な水をたたえた池のようなものだ。濡れることはわかっているのに、いつの間にか浸かっている。それが楽しい。

馬鹿にならずに、愛を楽しんで、よいことにしていけばいい。

勉強して、洗練された振る舞いを身に着け、女性の心の戸をたたきなさい。

そうすれば、美しい心を持ったひとが、おずおずと戸を開けてくれるでしょう。







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