しづたまき 賤しきものの やまかげに つどひてなしぬ 世の荒事を
*「しづたまき(倭文手纏)」は「いやし」とか「数にもあらぬ」にかかる枕詞ですね。枕詞にもたくさんありますが、用例の少ないのは特にあげてみたいので、今日はこれをあげました。
「しづたまき」とは「しづ(倭文)」で作った腕輪のことです。「しづ」というのは日本古来の織物で、梶、麻などを使い、筋や格子模様を織り出したもの。粗末なものなので、「いやし」にかかるそうです。
こういうことは辞書を調べればわかることなのですが、できるかぎり抑えておくのがわたしのやり方です。前にもいいましたが、かのじょはこうではありませんでしたね。歌で結構難しい言い回しをしても、これくらいはみんな、調べればわかるだろうと思って、ほとんど解説しなかった。
まあ確かに調べれば簡単にわかることなのですが、そういうことは勉強熱心な人がやることだ。大方の人は調べもせず、何もわからないままに通り過ぎていく。
ですからわたしは、細やかに解説するわけです。おかげでかなり勉強が進むでしょう。
粗末なしづたまきをつけているような、いやしいひとが山影のようなところにより集って、世間に荒事をしかけたことですよ。
ここらへんは、あまり解説をしなくてもいいでしょう。たくさんの人が見て知っていますから。「荒事(あらごと)」というのは、歌舞伎の演出法のことですが、これもあまり解説しなくても、何となくわかるでしょう。要するに、荒々しい馬鹿なことをしたのだと。
もっと深く知りたい人は、「荒事」を古語辞典で調べてください。少しは自分でも勉強しましょう。