ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

いはほ

2018-01-12 04:18:16 | 短歌





羽よりも かろきと見えて 月影の やまより重き いはほなるらん





*「らん(らむ)」は推量の助動詞で、「~のだろう」とか「~そうだ」と訳されます。

羽よりも軽いようなものに見えて、月や山よりも重い巌なのだろう。

まあご存じの通り、月は空にあって常にぽっかりと浮かんでいる。ひとひらの羽でさえゆっくりと地に落ちてくるというのに、月は落ちて来はしない。しっかり羽よりも軽いと思えば思えるものだが。

しかし今の人間は誰もが知っている。あれが実に大きな岩の塊なのだということを。

あんなものが落ちてきたら地球は大変なことになる。

しかし、小さな人間の目には、それは白玉ほどにも小さく軽く見えるものなのだ。

人間は、自分の知っている世界の中のことだけしか知りませんから、それをすべてと思い込むと時にとんでもない間違いをするのです。

美人が馬鹿だと思い込むのは、そんな美人しか見たことがなかったからだ。何も知らない人間はかのじょを見ると、頭から馬鹿だと思い込んで悪口を言い募った。

全然違うということがわかったときには、相当なことを言った後でしたから、焦った。自分の方を正しいことにしようとして、無理に無理を重ねたあげく、とうとう美人に逃げ切られて、総勢で馬鹿になった。

事実上、なぜあなたがたがそんな情けない馬鹿になったかというと、月が岩であるということを知らなかったからです。

あの人は相当に頭がいい。人類の天使の中では相当に高いことを知っている人です。思索が好きで、ひとりを好む。文芸や芸術が好きで、荒くたいことは好まない。女性のようにおとなしい人だが、じつは男性なのです。

何もわからなかった時には、誤解ばかりしてみんなを苦しめていたが、わたしたちがかのじょのことをすべて教えたら、もうだいたいはわかったでしょう。

知らないということは悲劇だということを、あなたがたは思い知らねばなりません。勉強することを馬鹿にしてきたからそうなったのです。辛い思いや痛い思いをするのはいやだと、しなければいけないことから逃げてきたからそうなった。

全部取り戻すことはできませんが、自分の過ちを少しでも取り戻すためにも、これからはちゃんと勉強をしていかねばなりません。

月は、空につねに軽々と浮かんでいるが、あれはとてつもなく大きな岩だからこそできることなのです。






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