明るみの 後にあひみし 君の目の 涙の中に われもおぼれぬ
*これは百合の歌ですね。迷いの中にいた人が、その中から抜け出て明るいところに出た時、再会した友と喜び合ったことを詠んでいます。
明るいところに出た後に、会った君の目の、涙の中に、わたしも溺れるように泣いてしまった。
百合という名前を使っている人は複数いますが、これはその中の一人が詠んだのです。誰かは言えませんが、瑠璃の籠の中にも詩を発表しています。
わたしたちも、最初から清かったわけではない。若い頃にはいろいろな間違いを経験しました。迷いの闇の中で長いこと苦しんでいたこともある。そういう若い頃を経験し、様々に学びながら、そこを抜けて、正しい世界によみがえり、いろいろなことをなしてきて、今がある。
間違いをしたことのない存在はありません。
この百合は、その中でも、かなり長いこと迷っていた人なのです。その時の経験が、今の自分に強く影響している。迷いの中にいる人間の心が、よくわかる。
それゆえに、戦場のメリークリスマスのための作詞などもしてくれたのですが、あれはよかったでしょう。
心にしみて涙を流した人もいたようだ。
若い頃は、自分の弱さにつまずいて迷う人がたくさん出ます。それを何とかするために、たくさんの愛が助けてくれようとするのだが、迷っている人は、意地を張ってなかなか振り向こうとしない。振り向けないのではない。振り向くと失ってしまうと思っている何かが痛くて、振り向かないのだ。
だがそうやってだらだらと過ごしていく無駄な日々が、どんなに痛いかは、自分でもわかっている。
そういう日々を過ごしてきて、百合はある日決意して、自らその何かをかなぐり捨てて、いつも自分を追いかけてくれていた友達のところに向かって走って行ったのです。
そして助かった。
何もかもが無駄だったわけではない。迷いの日々に積み重ねた思いは自分の中に生きている。そこから紡ぎ出される言葉は、やさしさに潤った美しい言葉となって、今迷っている人々の心の中に染み込んでゆく。
そして彼は教えてくれる。どうすればそこから抜けられるかを。
やさしさに耳を傾けて、あなたがたも、必要のないものをかなぐり捨てて、その言葉にしたがってゆけば、友達の涙の中に、ともに溺れることができるでしょう。