比企の丘

彩の国・・・比企丘陵・・・鳩山の里びと。
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司馬遼太郎の「草原の記」・・・ツェべクマさん

2006-10-06 | 本・テレビ、ドラマ・映画・スポーツ
9月16日ノモンハンのことをの投稿しました。同じような投稿がないか検索していたところ、ふと目に留まったのがモンゴルの女性の方が書いた「モンゴルのいろいろ」です。ノモンハンのことを冷静に判断した記事です。コメントを差し上げましたが丁寧なコメントで応答がありました。
今日はこのことについて語ります。
                  
※写真はモンゴルの観光会社のパンフレットより無断拝借。
モンゴルって素晴らしく空が広く、どこまでも草原がつづく国ですね。
モンゴルってどんな国でしょう。正式国名は「モンゴル国」(Mongoria)、モンゴル帝国崩壊後、中国、ロシア、清朝の支配を受けていたが1921年独立、1924年モンゴル人民共和国、1990年モンゴル国となった(以上が調べたこと)。日本では外モンゴルなどというがそのような国はありません。歴史がおなじ国を二つに分けたのでしょうか。
さて「モンゴルのいろいろ」の彼女のことです。興味のある方は一度このブログ名で検索してみてください。日本語の文章が素晴らしいです。正確な日本現代文です。難しい語彙もつかいません。変なカタカナ語もつかいません。カッコ付きの文章もつかって思い入れも書いています。生硬な文章ではありません。ウイットもあります。彼女のお名前は「バイラさん」です。
コメントで司馬遼太郎の「草原の記」(新潮社1992)のこと、その中に出てくるツェべクマさんのことについて触れました。ご返事をいただきました。ツェべクマさんと二度ばかり接触があったこと、そしてツェべクマさんのことを次のように記しています。

    ・・・(前略)・・・・・自分もこんなふうに穏やかに、上品で、それでいて飾らない、
      こんな女性でいたいなと、こんなふうに年取れたらいいなと思いました。


草原の記」を何年かぶりに読みかえしています。司馬さんの本は饒舌です。話があちこちに飛びます。主人公はモンゴルです。大草原です。匈奴、アッチラ大王が出てきます。ジンギスカンが出てきます。ツェべクマさんはたまたまガイドについてくれた人です。司馬さんのレンズはすっかりそっちに向いてしまいます。
ツェべクマさん」・・・シベリア生まれ(1924)のブリヤード人、ホロンバイル草原ハイラル(中国内蒙古自治区)の近くで育ちます。満州国時代です。高塚シゲ子という先生に教わります。優しくて、行儀のしつけに厳しくて、モンゴル人の尊厳を大事にしてくれた人だったそうです。高塚先生は敗戦後の混乱期に射殺されます。生き残った同僚の先生が帰国するときモンゴルの子供たちが駅まで食べ物を持って見送りに来てくれたそうです(このことで高塚先生の魂は救われたのではないでしょうか)。日本に留学した方と結婚、文化大革命、日本語ができたのが災いします。拉致、投獄された夫と離れ、子供を連れシベリアに脱出、ソ連からモンゴル人民共和国に入国、夫との再会。夫の最後を看取ります。自国語の他にロシア語、中国語、日本語ができます。そのことは彼女の歴史そのものでしょう。司馬さんが最後に問いかけます。

ツェべクマさんの人生は、大きいですね
と、私がいうと、彼女は切りかえすように答えた。
私のは、希望だけの人生です

  


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