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古典教室(第2巻)『空想から科学へ』不破哲三著 新日本出版
変革者の立場で、過去現在未来を知る絶好の一冊
不破哲三さんから学んだことの一つは、常に問題意識を持ち続けていることが大切ということです。不破哲三さんはものすごい数の問題意識を常に、頭の中に持っているということがわかります。そして、それが何かの瞬間に一つの流れとなって解明されるのではないでしょうか。たとえば野党外交などで、外国に行った時など、そこの書店など「これは、自分の問題意識に関連した書籍ではないか」と意識化されるのだと思います。そうして関連図書を購入した話はよく出てきます。
この『空想から科学へ』でもそうですが、マルクルやエンゲルス、レーニンなどの著作を紹介する場合にも、単なる解説ではなく、現在の理論的到達点に立って実践的・変革の立場で、その著作の弱点も含めて解明されています。
不破さんはマルクスを学ぶにもその歴史の中で読むということを、なんども強調されています。これは、日本共産党の92年をつらぬく、反戦・平和、国民の苦難の解決のために不屈にたたかってき不動の立場と共に、理論活動や不破哲三さんの理論活動の発展についても言えることだとおもいます。
この「空想から科学へ」の講座でも、マルクスやエンゲルスの理論的な発展の中で、深めているところが他の解説書にはない魅力的で、世界の過去と現在と未来を見る上での確かな見方を示してくれています。
もう一つは、不破哲三さんの特徴ですが、日本の歴史と現代と未来に創造的に発展・適用して生きた、解説になっているということです。
日本社会とは日本人とはという私の問題意識に、まさに応えてくれている、魅力的な本です。
加藤周一氏は日本文化の特質として、外国の文化をそのまま取り入れず、日本的に変化させるという考え方を示し、結果、キリスト教とマルクス主義は多数とならないという意味のことを書かれています。この加藤氏の立場に立ったとしても、不破哲三さんが次々発展的に解明している、マルクス主義(日本共産党は科学的社会主義としている)は、加藤氏の指摘という点から言えば、意識的に日本社会に発展的に適用していることがわかり、多数者革命への現実的な展望を開いていると思います。