「晴れたら外へ」友は促し、
「閉じこもってばかりいたのでは、体は衰える。さあさあ」妻は急き立てる。
確かに、体の衰えは言われるまでもない。
「そうだな」意を決した。
「で、どこ方面へ」
「西の方」ざっくりした返答だ。
「糸島辺りだね」
「そうね、美味しいお寿司屋さんがあるのよ」
どうやら最初から、決めていたらしい。
「それで、お勘定は? 当然あなた持ちだわね」
「えっ、そんなのありかい。しようがないな」
「10時出発にしましょう」
3月6日 日曜日はこうしてスタートした。
少し暑すぎるくらいの青天の中、
一般道路を急ぎもせず、国道202号線をのんびりと走らせた。
車が多い。皆、同じ思いなのだろう。
しばしば渋滞に巻き込まれもした。
そして、ちょうど2時間、目的の寿司屋に着いた。
評判の店らしく、店外にまで客が並んでいる。
「こりゃ1時間待ちは確実だな」と思っていたら、
客の回転は意外と早く、30分ほどで店に入れた。
妻も私も特上寿司ご膳を注文した。
もともと鮮魚店が経営しているから、
ネタはすこぶる新鮮。
「旨い」と言うほかない。財布を開くのもまったく抵抗がなかった。
「さて、これからどうする?」
「この202号線をさらに、西へ進むと『福ふくの里』というのがある」
「何だよ、そこは?」
「糸島市二丈福吉の新鮮な野菜、鮮魚が集まる産直所よ」
「何か、買いたいものがあるのかな」
「そうじゃなくて、物産所を取り囲むように菜の花が満開なのよ」
「なるほど、写真を撮ろうというわけだね」
「その通り。じゃ行きましょう」
妻はカメラを取り出し、僕はスマホだ。
家族連れが多い。菜の花畑に分け入った幼い子は、
菜の花に埋もれ、声はすれど姿は見えない。
パパが、「おーい」と呼べば、菜の花をがさごそとかき分け、
やっと姿を現す。
すぐ側をJR筑肥線が走っている。
スマホで狙ってみるが、やはり無理だ。
そこそこのやつで我慢し、ブログに使うことにした。
福ふくの里から、芥屋の大門に回る。
やはり、糸島に来たのなら海も見なけりゃ。
そして、海沿いをずっと走りながら家路に着いた。
帰り着いたのは6時ちょっと前だった。