ちらし寿司(江戸だったら、ばら寿司とか田舎寿司かな?)に、錦糸卵や焼き海苔を乗せるのが私は好きなのですが、せっかく彩りがきれいなお寿司に「黒いもの」をまぶすのが色彩的にちょっと残念に思えることがあります。と言って、寿司飯と錦糸卵の間に海苔を置くと、湿気て舌触りが残念なことに。もしかして彩り豊かな焼き海苔、なんてものはできませんか?
【ただいま読書中】『鉄腕アトムのような医師 ──AIとスマホが変える日本の医療』高尾洋之 著、 日系BP社、2017年、1200円(税別)
ネット技術がどんどん進む日本社会で、「個」と「公」で「医療情報」をどう扱うか、の「未来」を語っている本です。たとえば「個人」は「自分の医療情報」をすべて持ち歩くことが可能になります。つまり、医療機関を変えても「自分の医療情報」を一々説明しなくても「これを見てくれ」とデバイスを差し出せば良い。「公」の方では、医療ネットワークを組んでおけば、どんな人がふらりとやって来ても過去の情報(病歴、アレルギーなど)がすぐわかります。遠隔医療も可能となります。
旅行先で急病になったとき、僻地の住人、引きこもりの人、など、さまざまな場合で恩恵がありそうです。ただ、確実な本人確認とか情報漏れとか、恐い話もいくつか考えられますが。特に「悪意を持った人間」がそこに入ってくると、とっても困ったことになりそうです。
ただ「遠隔診療(医者が遠くから診察をする)」ができたとしても「遠隔処方」がないと薬がもらえません。処方箋をどうやってもらうか、それをどうやって薬局に持っていくか、医者が遠いところは薬局も遠いでしょうから遠隔処方をしてもらいたいけれど、では「薬」をどうやって受け渡しをするか……情報だけならICTでなんとかなりますが、医療には必ず「現物」のやり取りが絡みます。ちょっと知恵を絞る必要があります。また、現在の医療関連の法律は全部「対面」が基本で組み立てられていますから、そのへんをまとめて法改正しなくちゃいけません。頭の固い議員のセンセイ方がついてこれるかな?
院内にWiFi環境を整備して、道案内や受診や会計の呼び出し、通訳などのサービスもできるようになります。実際にこういったシステムを試験的に稼働させている病院もあるそうです。そのうちに日本中に広がっていくことでしょう。ただ、「病院職員が全員スマホを持っている環境」で問題になるのは「モラル」です。院内の電話番号簿や患者の個人情報などはある種の人にとっては「商売のネタ」。だから業者からの働きかけは当然強くあるでしょう。それをきちんと跳ね返すのは「個人のモラル」になるのです。
そういえばこの前、どの新聞だったかな、「ネットワーク接続できる医療機器が増えているが、どれもセキュリティー対策は脆弱」という記事を読んだ覚えがあります。いろいろと難しい時代になってきたものだと思います。便利なのは良いんですけどねえ。
アップル・ウォッチのようなウェアラブル端末では、血圧や脈拍を測定可能ですが、これらは「医療機器」ではないため「医療機器」との連携が法的に許されていません。さて、ここもどうやってクリアしたら良いでしょう?
認知症、地域医療など、ICTが役立ちそうな医療分野はいくらでもあることが本書では指摘されます。ただ「そのためにICTを使いこなさなければならない」だと、話が本末転倒になりそうです。「○○をしたいが、何か良い手はないか?」に対する回答として「ICTを使えばこんなに簡単に便利になります」でないと、ICTは普及しないでしょう。「アプリを使いたければプログラムをまず学べ」だとアプリは普及しません。それと「善意」を当然の前提とするのではなくて「悪意」に対してどう抵抗するか、も重要なテーマとなりそうです。ただ、これからの日本社会は確実にICTで変化していくので、その中で私たちも適応していくしかないでしょう。で、私は落ちこぼれてしまいそうなのですが、そこで「セイフティー・ネット」がちゃんと機能してくれるように、システム構築者の皆さん、お願いしますよ。
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