【ただいま読書中】

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

虫歯/『三丁目が戦争です』

2009-07-06 18:57:58 | Weblog
 私は子どもの時から近視と虫歯につきまとわれています。特に一本の歯が、大体5~6年ごとに調子が悪くなります。今回も金属のかぶせと歯の間にちょっと隙間ができてきたな、と思っていたら突然ぽこりとはずれてしまいました。前回処置してもらった近所の歯医者に行くと、再利用できるかどうか一度合わせてくれましたが、やはり隙間があるのとそこに虫歯ができている、ということで結局やり直しに。それは覚悟して行ったので驚きません。ついでに歯石も取ってもらいました。毎回取ってもらった直後は「わ~い、気持ちがいい。よし、これを維持するぞ」と思うのですが、すぐに初心を忘れちゃうんですよねえ。困ったもんです。歯ブラシで歯石を取れるものがあれば……って、素人がごしごしやったら歯茎や歯のエナメル質も削ってしまいそうですね。
 5年前よりも歯磨きは上手にできているそうです。ただし、力がちと入りすぎだそうで、もうちょっと軽く磨くようにしなければなりません。なかなか難しいものです。

 隣では小学校の低学年の子が処置を受けていました。学校検診で引っかかったらしいのですが、まだこれは生え替わるから処置は急がなくて良い、なんて説明をされています。ただ、歯石があるのでこれは取った方がよい、と。するとその子は泣き始めてしまいました。せっかく帰れると思ったのに「シセキノショチ」とやらをされることになったので怯えてしまったのでしょう。だいじょぶだいじょぶ痛くないよ、私もまさにその処置を受けている最中だけど、泣いてないでしょ?と言って上げたかったけれど、こちらもお口あんぐり状態だったので何も言って上げられませんでした。残念。

【ただいま読書中】
三丁目が戦争です(新装版)』筒井康隆 著、 永井豪 画、洋泉社、2004年、2200円(税別)

 三丁目は、巨大な団地とその周辺を開発してできた住宅地とでできていました。団地の部屋はせまく、住民たちはいつかそこから出て住宅地に「わが家」を持つことを夢見ていました。逆に住宅地の住民は、団地に対して優越感を持っていました。
 事件のきっかけは些細なことでした。団地の公園をめぐって、団地の子どもたちと住宅地の子どもたちが喧嘩になったのです。はじめはささいな子どもの喧嘩でしたが、やがて「子どもの喧嘩に親が出る」状態となり、とうとう親同士の対立となります。
 しかしこれは、三丁目だけの問題ではありませんでした。実は日本のあちこちで同様の「町内戦争」が行われるようになっていたのです。三丁目でも、嫌がらせから実力行使が始まり、ついには武器を持ちだしての本格的な「戦争」が始まってしまいます。

 本書は徹頭徹尾小さい男の子の目線で見た「三丁目の戦争」が語られます。本当に些細なことからだんだん引っ込みがつかなくなり、売り言葉に買い言葉からそもそもの発端を忘れての狂騒へと。筒井さんはやはり子ども向けということでしょう、ずいぶん押さえた筆致で書いていますが、そうすることで一般小説の筒井節のはちゃめちゃな熱狂ぶりが押さえられ、むしろ淡々とした怖さがこちらに迫ってきます。そして最後はやはり筒井さんらしくダイナマイトがどんどんどんと……人体はばらばらばらと……

 本書を読んで「戦争は怖いと思いました。絶対に戦争には反対です」と子どものような感想を書くのは簡単です。というか、子どもにはそんな感想を書いて欲しいとは思います。だけど筒井さんと永井さんですよ、彼らの今までの所業(?)を思うと、そんな素朴な感想を彼らが求めているとは私には思えません。というか、私自身がもしこの団地の(あるいは住宅地の)住人だったら、その流れに抗することができるだろうか、と思わずじっと我が手を見てしまいました。
 ……実は、あまり自信がありません。




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