昨年は原油高騰、今年は「高速道路1000円ぽっきり」の影響で、フェリー業界は苦境だそうです。あちこちで航路廃止も聞きます。原油のことは仕方ないにしても、「1000円ぽっきり」の方は永遠に続くものとは思えません。で、しばらく経って政府が「やっぱりこの政策は、CO2排出量が増えるし、交通渋滞もひどくなるから、やーめた」となってしまったら、私たちに残されるのは一体何なんでしょう。
【ただいま読書中】
『ライト、ついてますか ──問題発見の人間学』ドナルド・C・ゴース 、 G・M・ワインバーグ 著、 木村泉 訳、 共立出版、1987年、2000円(税別)
奇妙なタイトルですが、著者の一人ワインバーグは、システムエンジニアの間では一種の教祖のような扱いなんだそうです。ビジネスでなんらかの問題にぶつかったとき、それにどう対処するか、の本です。ただし、「固い本」ではありません。たとえば4行の序文はこんなものです。
問題 誰も序文なんか読まない。/解答 序文を第1章と呼んだらいい。/解答によって作り出された新問題 第1章はたいくつだ。/解答 第1章なんかやめて、第2章を第1章と呼んだらいい。
実はここに本書のエッセンスが示されています。それと、ひねくれたユーモアも。そうそう、本書のどこかには「ユーモアのセンスがない人のために問題を解こうとするな」なんてことまで書いてあります。
で、最初に提示されるのは、大きなビルでのエレベーター問題。エレベーターの運行が遅くて、長く待たされるテナントの従業員たちが困っている。さて、どうするか、です。以後も具体的な「問題」が提示され、それに対する「考え方」が示され続けます。まとめると……
「この問題はどこから来たのか」「問題を抱えているのは誰か(それは誰の問題か)」「あなたの問題の本質は何ですか?」「問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である」「すべての解答は次の問題の出所」「不適合とは、その解決策と付き合わなければならない人間と上手く合わないような解決策のこと」「変化のために自分を責めてみよう、たとえほんの一瞬でも」「本当にその問題を解きたいと思っているのか?」
「本書を読んだら、さまざまな問題がすらすら解けるようになる」と思ったら、大間違いです。本書自体が実は一つの「ナゾ」になっていて、素直には解けないようになっているのです。ですから、人生に対する安易な基本態度(問題を見たら何が問題かを把握する前に解き始めるとか、困ったら誰かに助けてもらおう、とか、本に「正解」が載っていると期待する、とか)を持った人には向かないかもしれません。ただ、本当はそういった人のための本なのですが。
本書では、学校教育で人が「与えられた問題を即座に解く」訓練を受けていることの問題点が指摘されます。学校の試験では「問題」は与えられるものであり、正解を出すことのみが求められます。しかし現実社会はそんな単純なものではありません。人々の利益は相反し、表面的な「問題」が真の問題であることは少なく、解決は新たな問題を生み、さらに「解決そのもの」が求められていないことさえあります。
ならばどうすればいいのか。
本書では「簡単な解答」は与えられません。例示されている例題はどれもシンプルですが、それをどのくらい深く“掘る”ことができるかは、読者次第です。アマゾンのレビューも読んでみましたが、一読で本書のキモをつかんで自分のものにしている人と、「正解」が提示されないことに戸惑っている人とにきれいに分かれていることが印象的でした。
実は本書の中にしっかり書かれていますが、タイトルの「ライト、ついてますか」は、車のライトのことだけではなくて「あなたの頭の中、ライト、ついてますか」の意味なのです。
【ただいま読書中】
『ライト、ついてますか ──問題発見の人間学』ドナルド・C・ゴース 、 G・M・ワインバーグ 著、 木村泉 訳、 共立出版、1987年、2000円(税別)
奇妙なタイトルですが、著者の一人ワインバーグは、システムエンジニアの間では一種の教祖のような扱いなんだそうです。ビジネスでなんらかの問題にぶつかったとき、それにどう対処するか、の本です。ただし、「固い本」ではありません。たとえば4行の序文はこんなものです。
問題 誰も序文なんか読まない。/解答 序文を第1章と呼んだらいい。/解答によって作り出された新問題 第1章はたいくつだ。/解答 第1章なんかやめて、第2章を第1章と呼んだらいい。
実はここに本書のエッセンスが示されています。それと、ひねくれたユーモアも。そうそう、本書のどこかには「ユーモアのセンスがない人のために問題を解こうとするな」なんてことまで書いてあります。
で、最初に提示されるのは、大きなビルでのエレベーター問題。エレベーターの運行が遅くて、長く待たされるテナントの従業員たちが困っている。さて、どうするか、です。以後も具体的な「問題」が提示され、それに対する「考え方」が示され続けます。まとめると……
「この問題はどこから来たのか」「問題を抱えているのは誰か(それは誰の問題か)」「あなたの問題の本質は何ですか?」「問題とは、望まれた事柄と認識された事柄の間の相違である」「すべての解答は次の問題の出所」「不適合とは、その解決策と付き合わなければならない人間と上手く合わないような解決策のこと」「変化のために自分を責めてみよう、たとえほんの一瞬でも」「本当にその問題を解きたいと思っているのか?」
「本書を読んだら、さまざまな問題がすらすら解けるようになる」と思ったら、大間違いです。本書自体が実は一つの「ナゾ」になっていて、素直には解けないようになっているのです。ですから、人生に対する安易な基本態度(問題を見たら何が問題かを把握する前に解き始めるとか、困ったら誰かに助けてもらおう、とか、本に「正解」が載っていると期待する、とか)を持った人には向かないかもしれません。ただ、本当はそういった人のための本なのですが。
本書では、学校教育で人が「与えられた問題を即座に解く」訓練を受けていることの問題点が指摘されます。学校の試験では「問題」は与えられるものであり、正解を出すことのみが求められます。しかし現実社会はそんな単純なものではありません。人々の利益は相反し、表面的な「問題」が真の問題であることは少なく、解決は新たな問題を生み、さらに「解決そのもの」が求められていないことさえあります。
ならばどうすればいいのか。
本書では「簡単な解答」は与えられません。例示されている例題はどれもシンプルですが、それをどのくらい深く“掘る”ことができるかは、読者次第です。アマゾンのレビューも読んでみましたが、一読で本書のキモをつかんで自分のものにしている人と、「正解」が提示されないことに戸惑っている人とにきれいに分かれていることが印象的でした。
実は本書の中にしっかり書かれていますが、タイトルの「ライト、ついてますか」は、車のライトのことだけではなくて「あなたの頭の中、ライト、ついてますか」の意味なのです。
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