「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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日本産科婦人科学会のメッセージを精読してください。

2011-03-24 21:32:10 | 福島第一原発と放射能

水道水などに関しての産婦人科学会の表明です。

大手メディアは今の水道水を問題のない根拠として、この文書に基づいてニュースを作っていますが、ニュースのニュアンスと文書のニュアンスはかなり違います。今、NHKのニュースを見て、その後、確認をしてかなりびっくりしました。ご自身でご覧になって、確認してください。学問的に、安全を担保しているとはかなり言い難いと僕は読みます。

http://www.jsog.or.jp/news/pdf/announce_20110324.pdf

発生当時、かなり隠蔽されたチェルノブイリ以外に、これだけ広範囲に放射能汚染がおこったケースは世界的に一度もありません。間違わないで下さい。皆さんが直面している事態は、かってだれも経験していない事柄です。本当にこの事態でもどのような影響があるのか、はっきりわかっている人は、一人もいません。推察があたる保証は実はありません。僕は現在、一個人の立場で綴っていますから、少し前の僕とは異なり、メディアへの影響力はほぼゼロです。ゼロである以上、自己責任しかありませんが、ジャーナリストは本来、その立ち位置しかありません。というか、ジャーナリストというものは本質的にそういうものだと僕は自覚しています。メディアが全体としてジャーリズムとして機能する場合は、大本営発表にならないように、思考停止しないように、きちんとした現実把握と現状分析に基づいた上での、一定の批判精神に基づいて、この事態を伝えるべきだと思いますが、国内のほぼ全てのメディアは、その状態ではないとしか僕には思えません。大丈夫なら、本当に大丈夫なら、これほど望ましいことはありませんが、そうならない想定を立てないメディアが、「メディアとしての機能を果たした」と、何ヶ月か後に胸を張って言えるのでしょうか?僕には理解できません。

 

 


屋内退避は非現実。全面退避圏を広げなければ政府の責任は重い。

2011-03-24 20:38:05 | 福島第一原発と放射能

木下黄太です。一個人として、できる限り書き続けたいと思っています。組織ではなく、僕個人が、ジャーナリストとして戦いを続けています。何かお話がある方がいれば、電話番号を明記したメールをいただければお電話します。

今後どうなるのかということとは、全く別として、現段階で、二十キロ以上三十キロ以内を、屋内退避をさせていることには意味が無い。物資葉の搬入もままならないまま、屋内退避をさせるという感覚が全く理解できません。現況の状況のままが仮に続くという想定の場合でも、健康被害を防ぐためには、最低限50キロの全面退避をさせることが、政府には迅速に求められていると僕は考えています。(発生から外に居続けた場合、四十キロ圏で100ミリシーベルトの被曝試算を一体どう考えているのでしょうか?僕には理解できません)

今おこっていないことで、判断しろと言っている訳ではなく、現況おきている状況を考えると、避難は拡大するしかないのが僕の考えです。それは、最低五十キロです。次におこることを想定したら、百キロ圏での全面退避しか選択肢はないと僕は思います。

悪いイメージを広げたくない、パニックはおこしたくない。気持ちはわかります。「指示を出すことで危険がさらに広がったという間違ったメッセージになってはいけない。社会的な必要性を精査している。」こんなことを言うのは官房長官として事態が進んだときの言い訳にすぎません。こんな言い訳を続けることが一体国民に何のメリットがあるのでしょうか。必要があれば、必要があった時点で退避させる。事前に言い分けするメリットは僕には全く感じられません。時間は刻一刻と過ぎてゆくのです。

間に合わなければ、政府の責任は決定的になります。

 

 

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20~30キロ圏の避難検討=農家補償、政府買い取りも(時事通信) - goo ニュース

20~30キロ圏の避難検討=農家補償、政府買い取りも

2011年3月24日(木)20:03

 

 枝野幸男官房長官は24日午後の記者会見で、福島第1原発から半径20~30キロ圏内の屋内退避対象者について「長期にわたってきており、今のままのやり方で屋内退避を継続できるかどうか検証を指示している。放射線の問題とは別に社会的な要請で対応をどうするか検討はしなければいけない」と述べ、同圏内からの避難を検討する考えを示した。

 屋内退避対象地域では、既に圏外に避難した人も多く、店舗が閉店したり、生活物資が届きにくくなったりしている。24日の政府と与野党との震災対策合同会議実務者会合でも、野党から「(住民は)飢え死に寸前だ。避難勧告を出すべきだ」(斉藤鉄夫公明党幹事長代行)との意見が相次いだ。

 ただ、枝野長官は会見で、避難勧告について「そういった指示を出すことで危険がさらに広がったと間違ったメッセージになってはいけない。社会的な必要性を精査している」とも語り、慎重に判断する姿勢を強調した。

 一方、枝野長官は野菜などから放射性物質が検出され、出荷制限を受けた生産農家への補償について「あまり遅ければ、当面の生活に関わってくる。(農作物などを)買い上げるのは一つの提案だ」と述べ、政府による買い取りも選択肢との認識を示した。 

[時事通信社]


原子力安全委員会は国民の安全を守れる可能性があるのか。

2011-03-24 10:16:01 | 福島第一原発と放射能

 木下黄太です。一個人として、できる限り書き続けたいと思っています。組織ではなく、僕個人が、ジャーナリストとしてぎりぎりの戦いを続けています。少しでも、わかっていただける方がいれば嬉しいです。何かお話がある方がいれば、電話番号を明記したメールをいただければお電話します。

 原子力安全委員会の班目委員長の夜の会見は気になるポイントはやはり原子炉です。彼は1号機はかなり溶融している可能性を指摘し、、最も危険な状態が継続という認識のようです。圧力の上昇と温度上昇が続いています。もともとの設計だと大体300度想定なのが、すでに一時は400度を上回ったそうです。「炉の破壊を防ぐ検討」という言葉からしても、実はかなりの危険がありうると想定すべきです。圧力もかなり不安定です。というか圧力は上がっています。圧力を下げるためには圧力容器の弁を開けざるおえず、本日中にもその決断をせざる終えないのかもしれないようです。圧力容器が大きく破損する事態になったら、大変な状況ですから、開ける以外の方法はないのでしょう。それは理解できます。しかしながら、当然のことですが、水蒸気に混じってある程度、濃度の高い放射性物質が多く出ることは間違いありません。きのう書いた、水道水や食品にまつわる危惧は、良い方向に動く可能性はさらに低くなったと私は思います。多分、きょうの作業はぎりぎりの判断なのだろうと僕は思います。うまくいけばよいのですが。現在のところ先ほどの保安院の会見によれば、一号機はかなり圧力が変化し始めているようですので、少し様子を見るのかもしれません。ただし安心は出来ないと思います。温度と圧力の微妙なバランスは続いています。ちなみに、三号機は黒煙がとまっているようです。こちらも微妙な状況です。

原子力安全委員会の委員長が今回の事態を受けて、これまで公の場で発言を初めてです。本当なら事態が掌握されつつあるので、委員長が出てきたと好意的に解釈したいところですが、会見の内容を聞いていると、原子力政策全体が、元々大きく間違えていたのではないのかという思いを強くするばかりです。国民に対して安全を説くこともろくに出来ず、どうやら混乱する官邸とともになすべきことを見失っている様子がよくわかります。原子力の政策にまつわる知見を決定的に有しているという人々が、このレベルで絶対安全というワードを錦の御旗に掲げ続けていたことに驚愕するばかりです。

 さらに注意しなければならないのは、この人たちがきちんとした形で最悪想定をたてているのか。さらに、たてている最悪想定をきちんと国民にオープンにする担保があるかどうかが、きちんとわからないということです。原子力安全委員会は、昨夜、はじめて放射性物質の拡散予測の試算を公表しています。被曝線量を予測する「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」によるものですが、半径30キロの屋内退避の外、おそらく40キロのエリアでも、100ミリシーベルトを超える内部被曝の可能性を示唆しました。下記に文書のリンクをはっています。もちろんきわめて厳しい条件(発生からずっと外に居る)で計算しているので、通常はこうはならないと話していますが、厳しい条件とはいえ、100ミリシーベルトという被曝線量が、あわせてですが、カウントできる状況というのはというのは僕には、驚きです。僕は東海村の臨界被曝事故の際に、発生二時間後から現地入りをして、夕方まで東海村周辺で取材し、夜は一旦水戸まで退避しましたが、翌日すぐに、東海村に戻り、二週間以上現地におりました。僕の被曝総量は、政府による後の推測計算でも、総量は1ミリシーベルトにも満たないものでした。このときは、このくらいでもぎりぎりの判断を迫られた記憶があります。僕は元々、緊急事態を踏まえて全面的に100キロ圏外に退避することを主張していますが、この被曝のような状況があるのであれば、今すぐに、50キロ圏の住民をなぜ政府が退避させないのか、僕には全く理解できません。思っている以上に周辺にも被曝は広がっています。ただちに健康被害は出ないということと、将来にわたっても大丈夫だと政府が担保しているわけではないということです。事態が本当に切迫して、どうにもならなくなるまで、恐らくは、明確に全ての情報がオープンにされる訳ではありません。政府が判断していることが、絶対に大丈夫といえることは無いと思います。官房長官が自らが、楽観的な報道をしている向きもあるが今後の推移はわからないと発言しているのは、ぎりぎりの感覚の中で、枝野氏は発言しているとは思います。ある意味、「思考停止」していて、国民本位の感覚を喪失しているマスメディアよりもまともかもしれませんが。もちろんだからといって現政府がまともとはいいません。特に「山は越えた」発言の菅総理は論外です。

http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf#search='SPEEDI'

後、気になるのは正門付近で、中性子線が、12日から14日に計13回検出されていたそうです。東電は観測データの計算ミスで、わずかな量だったと説明はしていますが、中性子線は決定的なメルクマークなのでさらに注意したいと考えています。