この記事も木下黄太が書いています。とにかく個人として、ジャーナリストとしてぎりぎりの感覚で書いています。お話がある方は、メールに電話番号をいただければ、こちらから折り返しいたします。
週明けにドライベントを行うと仮定してみて、当局者から聞いていいるとおり、100倍の放射性物質が放散されると仮定してみます(あくまで仮定)。わからないのは、ドライベントの影響がどのくらい時間続くのかが、いまひとつ想定できないということです。仮にドライベントをおこなってから、二、三日の間にどうゆう事がおきるのか考えて見ました。これまで、東京都では3/15から3/16にかけて、一定程度は数値はあがっていますが、17日から20日にかけて平常に近いレベルまで数値は下がっています。この後21日からこれまで0.14マイクロシーベルト程度でやや高めで推移しています。若干高めの状態なのは理由はよくわかりませんが、多分世の中で報じられているほど、原子力発電所の中でうまく処理が進んでいないのだろうと解釈しています(三号機の中はジャングル状態でどうしようもないと聞いていますから、そんなイメージで考えています)。
これも仮に(本当に仮に)、発生二週間で平均して毎時0.14マイクロとしてみて×24時間×14日=積算線量47.04マイクロシーベルトとなります(勝手な計算式です)。この上にドライベントで100倍の放射量が二日間だけ続くと仮定してみました。すると、100×0.14×24時間×2日=672マイクロシーベルトになります。これで積算線量は、もちろんずっと屋外にいたという想定ではありますが、都内でもドライベントのあとには、700マイクロに達することになります。1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトですから、700マイクロシーベルトは0.7ミリシーベルトになります。公衆被曝という概念からすると、一般人の年間被曝は元々1ミリシーベルトです。放射線従事者の妊娠可能な女性は三ヶ月で5ミリシーベルトですから、都内でもドライベントは結構な感じです。東海村の臨界事故での発生二時間後より二週間の取材での僕の被曝線量は0.14~0.98ミリシーベルトの範囲内ですから、一般の都民の皆様と、東海村で長期間前線取材をした、ぼくの感じが似てくる気がします。まあ、これで全てが収まるのなら、まずは問題はないかもしれないのですが(僕は東海村の臨界事故後、最低数年間胃のレントゲンをやめました。数年間胃のレントゲンを撮らなければ線量的には考慮する必要がほぼなくなるという感覚からです。恐らく具体的に僕が問題はないかもと考えるのはそんな個人的な体験からもきています)、ただ、果たして一回で収まるのかさえも、僕は神のみぞ知る世界のような気がしています。こうして考えてみると、ドライベントを行うときに都内でさえ、妊婦や乳幼児がいるべきなのかは、僕にはかなり疑問です(少なくとも屋内退避は不可欠と思います。過剰に被曝するメリットはまるでない)。
僕はリスクコントロールは大きく構える立ち位置の人間です。このため、現在、ある周りからは「過剰だ」と、問題視されるような人間だと認識して下さい。それを踏まえて聞いていただきたいのですが、例えば妊婦や乳幼児、子供、さらに妊娠可能年齢で将来妊娠をしたいという女性には、自分の所在近くのエリアのモニタリングポストが、一時間あたり10マイクロシーベルトを超えた場合は、できるなら脱出することを個人的には薦めています(一般の皆さんに薦めているレベルの話ではありません。僕が個人的に信頼している人間にだけ話していることです。「お前は放射能を過剰に恐れすぎだ」と批判されることは承知の上です)。その時の事情で、出ることが無理でも、準備はせよと薦めています。そして、一時間あたり30マイクロシーベルトを超えた場合は、すぐに脱出しなさいと告げています。もちろん、一時的に数値が上がっただけで、数値が数時間から数十時間単位でおさまることも考えられますから、馬鹿ジャーナリストの非科学的戯言だと批判されることは、覚悟して書いています。人の安全を考える、特にこどもや女性をどう守るのかということは、社会を未来につないでいく発想からの責務だと僕は思います。この感覚だけで、書きつづけているとご認識下さい。
30キロ圏外の浪江町で一日で公衆被曝が1ミリシーベルトを超えているそうです。23日からの24時間に外でいて、1.4ミリシーベルトだということです。均すと一時間に60マイクロシーベルトでしょうか。このレベルのことを放置する菅直人氏の感性は、勿論、理解不能です。なぜ最低、50キロ圏だけでも、退避させないのでしょうか。さっき、ルモンドが書いていた記事を読んだのですが、民主党と連合が近いため、労働組合に配慮している、つまり連合傘下の組合の親企業に遠慮して対応が遅れているという批判の内容でした。東京電力労組、東芝労組、日立労組に配慮するあまり、親会社にも過剰に配慮しているという記事でした。もしも、そんなことがあったら許されない話ですが、私には本当なのかどうかは、判断がつかないです。ただ、「最悪の事態は、東日本がつぶれることも想定」という発言を菅直人首相が話した相手は、笹森清内閣特別顧問です。笹森氏は菅氏が選挙で最も頼りにする、連合の元会長です。そして東京電力労組の出身者です。なぜ、笹森氏がこの話を記者たちに、わざわざしたのかも、僕には大変訝しい事なのです。
他に気になる話があります。アメリカのパスポートをもっている人は、今週金曜日の夕方までに、都内のニューサンノーホテルで、ヨード剤を配布されていたことがわかりました。 ヨード剤は、このような甲状腺の放射性ヨードの取り込みをブロックするためのものです。大量の被曝の数時間前にとれば、甲状腺ガンは食い止められる可能性があります。アメリカは都内にいるアメリカ人にも、飲むときには指示するという前提で、やれるだけのことはやっているという現実は、日本人も認識しておくべきだと僕は考えています。
追記
なぜ米軍から提供されているグローバルホークの原子炉映像を政府が公開しないのか理解不能です。日本側が撮影したものとおなじくらいというのが政府説明ですが、だとしたら公開しない理由が判然とはしません。グローバルホークの鮮明映像を公開できない裏事情があるのか疑います。