突然に亡くなった、西武・森コーチ死因をご遺族が明らかにされました。
溶連菌の感染症によっての敗血症が急速に進んで亡くなったということです。
溶連菌というのはごく普通に存在している菌で、身近にあります。
これは、ほぼ常在菌として存在し、通常は咽頭炎などの症状をおこすものです。
溶連菌は、主としてA群溶血性レンサ球菌です。
しかし、この溶連菌のある部分が何らかの原因(特定されていない)によって突然変異し、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、いわゆる「人食いバクテリア」を引き起こすものになっているということです。
これで敗血症になって亡くなるケースや、体が壊死して亡くなるようなケースが一定数あります。
「人食いバクテリア」という異名どおりに、まさに人間を食い尽くすように外見上は見えるような場合もある病気で、助かっても身体の部分切断などの処置となるケースが多いとも聞きます。この病名で画像検索するとショッキングな画像が多数出てきますので、注意されてください。
国立感染症研究所は、こうした症状が初期にどのように顕現し、どういう進行状態に至るのかをこう記しています。
「初期症状としては四肢の疼痛、腫脹、 発熱、血圧低下などで、発病から病状の進行が非常に急激かつ劇的で、発病後数十時間以内には軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群 (ARDS)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)を引き起こし、ショック状態から死に至ることも多い。」
致死率は30%を超えるともいわれ、極めて危険なものです。
気になるのが、この「人食いバクテリア」で感染した症例数が、近年の日本で急増しているという事です。
最初の日本での報告は90年代前半です。
全国での患者報告数2008年から2010年までは100から120程度で推移していました。
それが福島第一原発事故があった2011年に、前年のおよそ倍になる200例ほどに増えています。
そして現在では年間におよそ500例ほどに増えています。
今年は半年で300例ほどもになっていて、更に増加ペースは増している可能性があります。
感染報告例数は、国立感染症研究所やそれから引用している札幌市のデータで記載しましたが、症例数のカウントの仕方が変化することもあり、データがわずかに違っている可能性があることは御含み下さい。
おおよその傾向把握として考えて下さい。
2011年198例
2012年243例
2013年209例
2014年280例
2015年434例
2016年495例
2017年297例(6月最終週までの最新値)
勿論、どうしてこのような部分的突然変異がおきているのか、更になぜ2011年以降に急速に拡大しているのかという事について、確定的知見は現在も存在していません。
ただし、はっきりと分かることは、人体側で何らかの免疫力低下があることで、この劇症型溶血性レンサ球菌感染症が発症するリスクも間違いなく増大することです。この意味では、免疫が全体的に低下している被曝国家日本において、まことに怖ろしい疾患の一つになっていると考える方が、妥当な話と思われます。溶連菌というあれふれた常在菌(部分的突然変異があるにしても)による感染ですから、危険は常に身近な存在とも考えられますから。
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