この話は、僕は東電を責めようが、政府を責めようが、根本的解決策はない状態に突入しつつある感覚があります。
原則論としては、トリチウムは極力外部に放出すべきではないし、どれだけでも健康被害がないと言い張る根拠が本当にどこまであるのかと疑問を強く感じます。
しかし、問題はトリチウムの除去をする方法がないことです。
地中に置くとか、地層処分するとか、蒸発させるとかの方法を用いても、いずれにしろ環境放出に近い対応しか存在しないのですから、究極的に同じ話になります。
コスト面というよりも、それなら海に放出したほうが話が早いと考えるのは、残念ながら合理的な話です。
ただし、放出される量は、タンクなどに貯蔵されているトリチウム汚染水などで200億ベクレル程度は存在します(デブリ周辺は1800億ベクレル程度という推定データもありますが不明)。これは通常の年間最大放出量のおよそ10倍はあります。希釈して放出するとしても、相当な負荷が海洋にかかると思います。
ただしそもそも、政府が話していることとは異なり、放射性物質は原発事故後に相当量既に海洋に出ている状態です。今回は、目に見える形で貯めこんだものを放出するから目立つだけで、元々は同じような話でしかありません。
勿論、これはリスクが減る話でなく、ただ増える話です。
リスクが増えるのですから、近隣周辺海域の魚介類などを食べることは更に回避すべきであると、僕は思います。風評などと更に誤魔化すのは話になりません。
もちろん、福島近海の魚介類(というか東日本の太平洋沿岸部の魚介類)を食べない選択をしている被曝回避感覚からすると、大きな変化は何もないですが。
ただし、今回この話を、日立から東電会長となった川村氏が、就任早々に話したことは重要です。
川村氏は原発を維持することに最も強い意向がある日立出身の人ですから。
そしてコストカッターとして著名な経済人。
こういう人物が、東電会長となって、トリチウム水放出方針をメディアにまず言うという感覚そのものが、原発推進側の傲慢不遜な意識が見え隠れするという事です(東電側は後で慌てて否定していますが)。
でも、新しいトップはそういう感覚の持ち主ということです。まあ、この方は誤魔化さない意識は強い方と思います。ただ、どうしても原発を維持し、推進することに、固執されていることは明らかで、そういう人物がこの状況下で新たに東電会長となるのが、日本という国ということです。
そこでまずはマスコミ相手に、わざわざトリチウム汚染水放出を口走っているのですから。
先行きは暗いと思います。
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8月19日に札幌で講演会を予定しています。
被曝回避や放射能防御を踏まえて、更に安倍政権や国際情勢の政治的な緊迫度が強まっている状況で、どういうことを考えて行動するべきなのか、話したいと思います。
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