長唄三味線/杵屋徳桜の「お稽古のツボ」

三味線の音色にのせて、
主に東経140度北緯36度付近での
来たりし空、去り行く風…etc.を紡ぎます。

勧進帳

2010年03月25日 01時38分38秒 | お稽古
 太陽暦の暦だと、どうも長唄の歌詞の説明をしづらいので、太陰太陽暦の暦を取り寄せて使っている。
 明治5年に日本の暦は太陽暦に変わってしまったから、どう考えたって、和歌や俳諧、古典文学の季節感がしっくりくる日本人というのは、だいぶ前にいなくなってしまっているわけで、実際に旧暦の暦が手近にあると、想いを致し易くたいへん有難い。
 聞くところによると、農業に携わる方々は、今でも旧暦を基準にして作付けをしているらしい。そのほうが、気候に合って、思いがけない遅霜などの冷害にあわずにすむということだ。さすが、太陰太陽暦は農耕民族の知恵の結集なのだ。太陽暦は、遊牧民族のものだもの。
 旧暦の暦は、閏月があったりして、何かと面白い。
 何年前だったか、慶応4年と同じ4月が閏月だった年があって、これだけ暑くなれば戦のあとの上野山のむくろはさぞや凄惨な状況だったのでしょうね…とか、いにしえの出来事を改めてなぞると、実に真に迫ってしみじみする。梅雨は梅雨でも末期の大雷夜雨だから、この奇襲戦法が功を奏したんだなとか、やっぱり、ここで降り積む雪を踏み分けて、討ち入ったのは当然でしょうとか、実感できて興味深いのだ。
 で、本日、2010年3月25日は、旧暦だと平成廿二年の二月十日。
 如月の十日である。
 この夜、奥州へ落ちる義経主従が都を出立する。勧進帳の幕明きである。

コメント (2)
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