複管のインディアンフルート ~試作検討中~
複管の笛は古代から世界中のあちこちで様々なものが作られて演奏されています。
エアリード楽器に較べれば、リード楽器(シングル、ダブルとも)の方の起源がかなり古いようです。
「木管楽器とその歴史」の著者アンソニー・ベインズが複管楽器の章で、
「2本の管を同時に吹奏すれば、ちょうど歌をいっしょに歌った時のように
伴奏のない笛の音に活気と面白味と独立性が加わることになる」 と言う通り、
2本の笛がキレイにハモった時の感動は笛吹きの醍醐味です。
おまけにそれが一人で味わえるのです。
指孔のないドローン管から指孔1つから多数開いた管を2本3本4本と束ねるので、
様々な組み合わせが生まれます。
本数が多いから良いというものではなく、そこに演奏の技術の難易も加わるので、どれが良いのか迷ってしまいます。
今回は製作依頼もあり、以前から自分自身も製作してみたいと思っていたインディアンフルートの複管に挑戦しています。
☆試作品はどれも女竹製のA管です
写真右から左へ
Ⓐは ドローン管(ラとド)と ラドレミソラドのペンタトニック管
Ⓑは 低音管が(ラドレミ) 高音管が(ラ、ソラド)のペンタトニック
©は Ⓑの低音管と高音管の間にドローン管(ラ)を入れたもの
Ⓓは 低音管か(ドレミファ)、高音管が(ド、ソラシ)のダイヤトニック
自分で吹き比べて、どれにするか検討中です。
管種は、もう少し長いものもあれば面白いかな。
材は、木も良さそうです。
若松寺千年杉のインディアンフルートとオカリナ
& 薬師桜の横笛 完成です!
~仕上げ漆塗り完了~
千年杉のインディアンフルート(A管)とオカリナ(ソプラノ管とアルト管)
そして、薬師桜の横笛(B♭管)を塗り終えました。
インディアンフルートと横笛は拭漆、オカリナは植物性オイルを塗っているので、
どちらも杉や桜の木目がキレイです。
・千年杉のインディアンフルート(A管)バードはウグイス形
・薬師桜の横笛(B♭管)
・千年杉のオカリナ(ソプラノ管とアルト管)
漆が落ち着くまであと1か月程乾燥させてたら完成です。
祭笛NEWを製作中です
仕上げペーパーかけ・ひも巻き~
オリジナル横笛は、2オクターブが出ます。
管径は少し太目で、ふところ長(歌口から頭部栓までの長さ)は深めです。
またリッププレートを取り付けて、のど厚をあつくしています。
そのため、発音が易しく、低音がかすれずよく響きます。
祭笛も同様の考えで作っているのですが、低音よりも高音の響く管、
大甲音(3オクターブ目の音)が出る管が欲しいという要望が以前からありました。
G、F、LowDぐらいの長い管なら、大甲音は出るのですが、
管が短くなると(祭笛はC管)大甲音は難しくなります。
管を細くさえすれば、大甲音は出ます。
倍音笛は、細くて長い管を使い、高次倍音を楽々と出します。
そのかわり、基音や低音が出なかったり、かすれたりします。
細い管で倍音も高音も出すのはなかなか難しいのです。
今回は、管径は少し細く、ふところ長は少し浅く、管内形状のテーパーは少しゆるくと
パラメーターを少しずつ変化させて、対応させています。
なんとかファ、ソも出せます。
音色はかなり篠笛に近いものになっています。
この後、漆を塗って仕上げていきます。
~最終仕上げ 摺り漆塗り~
大甲音も低音も出る祭笛NEWの最終漆塗りが完了。
赤と黒のツートンカラーにしました。
頭部は黒呂色の上へ朱を、足部は朱の上にへ黒呂色を塗って、
仕上げに摺り漆を2度程塗っています。
根來調塗りです。
笛の長さは前のものと同じ40㎝、太さは少し細身です。
あと1か月 寝かせてて、漆を完全に乾かします。
若松寺千年杉のインディアンフルートとオカリナ & 薬師桜の横笛 製作中
ー 全形ほぼ完了 -
写真上 千年杉のオカリナソプラノ管(C管)とアルト管(G管) 真ん中 千年杉のインディアンフルート(A管) 下 薬師桜の横笛(B♭管)
千年杉のインディアンフルート(A管)と薬師桜の横笛(B♭管)は
管内にさび漆を塗って下地を整えてから、筒音決めや指孔開け調律を実施。
その後管内に朱漆を塗ってから、インディアンフルートはバードを取付け、
横笛は頭栓を入れ込んで笛頭を丸く整形したところです。
この後、外面に摺り漆を施して完了です。
千年杉のオカリナは残材から
ソプラノ管(C管)とアルト管(G管)を製作しました。
この後オイルを塗って仕上げます。
千年杉でインディアンフルートを製作中 1
先日、山形県米沢市で神職をされているきさらぎ深雪さんから依頼をうけて、 樹齢1000年の杉材や1300年の桜の枝材で笛を製作中です。
杉材は、天童市鈴立山若松寺の千年杉で、2012年4月爆弾低気圧で倒れたものです。
桜材は、西置賜郡白鷹町の薬師桜で樹齢1300年とも言われて今も健在し、20年前に折れた枝を保存してあったものです。
(・写真上 杉材 写真下 桜枝材)
杉材は茶色く油分を含み、虫喰いもなく、緻密な年輪は間隔が0.4㎜程で比重は0.34。
刃当りはとても良く、切削は容易です。
(写真・杉材の外形仕上ターニング中 ・杉材の木目が美しい)
桜材は、エドヒガン系の直径80㎜程の枝材で年輪数は25年程、比重は0.62です。
外観からも虫喰いがひどく、旋盤で挽いて行くとボロボロと虫喰い部がはがれて行き、全部ダメかと思われましたが、
芯近くは笛にするほどは残りました。十数か所の虫穴は樹脂と木粉で埋めることにします。
(・桜枝材の曲がりを取るため、鉈ではつったところ 虫喰いが激しい。 ・桜枝材を荒ターニングしても、虫喰いが深い。この後、かなり削って虫喰いはほぼなくなった。)
杉材からは、インディアンフルートのA管、バードはウグイス形。
桜材からは、横笛B♭管。どちらも管内は朱漆、外面は拭漆仕上です。
うまくいくかどうかの鍵をにぎる最初の筒穴通し(直径8㎜のオーガリング)はどちらもうまく行きました。
10本に1~2本は必ず失敗しますから、失敗が許されない今回の分は大変緊張して、作業を進めましたが、御加護があったようで、うまくいきました。
(・芯通しのオーガリングは両押しでうまくいった。 ・オーガリング後 筒穴を広げてテーパー削りを行った。)
その後筒穴広げ、テーパー削り、外形仕上ターニング、歌口穴あけと出来ています。
(・上が杉材 下が桜枝材 荒ターニング後 ・上が杉材のインディアンフルートA管 下が桜枝材の横笛B♭管の歌口穴を開けたところ) ・
出来上がった笛は、神社や寺院での奉納演奏や講演会で使用されるそうです。
完成まで まだまだ気が抜けません。
note 七曜工房 「笛の楽しみ方」を始めました。
皆様からのご質問やご要望を参考にして、
七曜工房の笛を使って、楽しく易しく吹く方法を、
笛製作者の立場から考えてみました。
順次更新していきますので、お読みください。
笛の楽しみ方 目次
ーはじめにー
1 七曜工房の笛
1)構造
2)素材
3)塗り
4)管種と指孔
2 6孔笛を吹く
3 5線麩と絶対ドレミ、相対ドレミ
4 実音で吹く
5 実音で吹かない
6 でもやっぱり実音で吹きたい(移調)
7笛の重奏がした
1)同一音
2)協和音
8 ピアノ等の実音楽器と一緒に吹きたい
9 移調の方法
10調名と譜
ーおわりにー
蒼空の笛 "Soukuu" 真竹製インディアンフルート C管製作いたしました。
蒼空の笛はC管とG管の2種類となりました。
ウィンドウェイの手前にチェンバー(空気室)を持つ
7音階のドレミ調呼子笛です。
音数が少ないので、どんな曲でもふけるという訳にはいきません。
インディアンフルートは 管内径が太いので吹越しの倍音が出ません。
倍音を出易く、音域を拡張し、ドレミ調にしたのが、
ドレミ調インディアンフルート「蒼空の笛」 "Soukuu" です
これならたいていの楽曲が吹けます。
息の強弱をうまく使って低音から高音まできれいに響かせてください。
管径内を太くして歌口部を改良し、これまで以上に大きな滑らかな音で、
インディアンフルートらしい響きを出すことができます。
2オクターブ目のラまでの音を出せます今回製作は G管とC管の2種類です。
このあと カシュ―を塗って完成です。
蒼空の笛(6孔 ドレミ調タイプ)"Soukuu" 演奏いろいろ
「海」 唱歌 演奏 蒼空の笛C管真竹製インディアンフルート)
「夏は来ぬ」 唱歌 演奏 蒼空の笛C管真竹製インディアンフルート)
「雨降りお月」 中山晋平作曲 演奏 蒼空の笛C管真竹製インディアンフルート)
「この道」 山田耕作作曲 演奏 蒼空の笛C管真竹製インディアンフルート) ー
七曜工房の初夏のハーブ畑「スカボロフェア」イングランド民謡 演奏 蒼空の笛G管
「中国地方の子守唄」中国地方民謡 演奏 蒼空の笛G管真竹製インディアンフルート) 2
蒼空の笛の詳細は HP「木のクラフト笛 七曜工房」をご覧ください。
ジャパンホイッスル LowD管製作いたしました
LowD管~G管~C管~highD管 4種類となりました。
ジャパンホイッスルは竹に漆を塗ったティンホイッスルです。
漆器をジャパンと呼ぶところから ジャパンホイッスルと名付けています。
これまで HighD管、C管、G管の3種を女竹で製作販売しておりましたが、
このたび真竹で LowD管を新たに製作しました。
管径を少し太くしウインドウェイ幅や歌口を少し小さくして、
低音が良くひびき、大きな音で、艶のある、明瞭な音が出るようにしています。
和洋いろいろな楽曲が楽しめます。
また アイリッシュのローホイッスルとしてもお使いいただけます。
素材には、竹を使い、指孔は6孔で、塗装は本漆仕上げです。
ホイッスルは,
エアリード楽器の中でも呼子笛(whistles)に分類され、小学校で習うリコーダーや世界各地のみやげものの呼子笛、
また有名な映画「タイタニック」の挿入歌で吹かれていたティンホイッスルなどがあります。
音出しが幾分むずかしい横笛などに比べて、誰でも吹けば鳴る ところがとっつき易い笛と言えます。
音出しの点では、ホイッスルが最も易しいのですが、製作の点では最も難しい笛になります。
吹き方の強弱だけで、正確な2オクターブを無理なく出せるように作るのはとても難しいです。
横笛や尺八は、唇の使い方や角度で音程を調整することができて、
これが難しくもあり、おもしろくもあるのですが、呼子式の笛は、それができません。
正確な音を出せるかどうかは、ほとんど楽器の性能に支配されます。
ジャパンホイッスルの仕上げ色は、これまでは朱色だけでしたが、
今回、黒色仕上げも製作しています。
ホイッスルの音出しの中心部は、歌口とウインドウェイであり、
微妙な加工や調整を可能にするため、歌口部分は本体の竹とヒバ材で製作しています。
指孔は、前面6穴のドレミ笛です。
基本形状は、ティンホイッスルと同様です。
塗装は、本漆の黒呂色漆や朱漆を塗り重ねて根来調塗り としています。
管楽器は、素材によって響きが変わると言われていますが、この違いを聴き分けるのは、なかなか難しいものです。
しかし、ジャパンホイッスルは、素材の竹の厚みが薄いからか、響きに竹の響きや和の響きが強く感じられます。
管の種類は LOWD管~ G管~C管~highD管 の4種類です。
リコーダーやティンホイッスルよりも、管内径を太く、ウィンドウェイ幅を狭くすることなどにより、
低音も高音も艶と張りのある大きな音を出すことができる独奏に向く歌える笛です。
なにか楽器を始めてみたい、早く上手になって楽曲を楽しみたい方へは、最適の笛です。
ジャパンホイッスル Japan Whistle LowD管 演奏いろいろ
「ホトトギス」2 ライトン作曲 演奏 ジャパンホイッスルLowD管2
「宵の明星」 ドイツ民謡ヴェストファーレン地方) 演奏 ジャパンホイッスルLowD管
「雨の中の白いサギ」堀之内簫曲 演奏 ジャパンホイッスルLowD管
「もみすり唄」 山形県民謡 演奏 ジャパンホイッスルLowD管
ジャパンホイッスルの詳細は HP「木のクラフトと笛 七曜工房」をご覧ください。