1.やはり加工図は必要
墨付けとは、木材の継手や組手の加工をする時に切断線や番付けを印すことをいう。組み上げていく順に墨付けと刻みを行うことにして、土台から始めようとした。既に作成しておいた平面図や伏図という図面を見ながら一本一本の土台に墨付けをしようとしたが、頭の中が混乱して墨付けできない。家具作りの時は板材や角材の一枚一枚の図面(施工図)を作成してそれに従い墨付けするものだが、家作りではそれ程の必要もないだろうとタカをくくっていたら、とてもとても難しい。結局一本一本の加工図を作成することにした。加工図を作成する時に充分に考えておけば、あとは考えることなく機械的に加工図に従って墨付けしておけば良いし、その方が間違いない。ただ加工図の作成には部材ごとに1日~2日程も日数がかかる。それでも柱材の墨付けの時には加工図が大いに力を発揮した。上枘と下枘の他に貫穴の加工があるため、柱一本と言えど、何箇所も同じ様な加工があり、図面がなければとてもスムーズには墨付け出来なかっただろう。
加工図
2.番付け~いの一番はどこ?
第一番のことを「いの一番」と言うがこれは建築の番付けから来ている。家を真上から見た時、柱の位置を現すのに、縦横軸にいろは・・の文字と一二三の数字が用いられ「いの一番」であったり「ろの3番」であったりする。この「いの一番」の位置を左上角にすれば下がり番付け、右下角にすれば上がり番付けと言うそうで、どちらを使っても良いようである。しかしどちらもピンと来ない。これを受験勉強で悩まされた数学のXY座標と考えればとても解り易いではないか。ということなら「いの一番」は(0.0)の点の位置である左下角になる。これなら考え易い。
るの5(左~土台の柱枘穴と蟻溝、右~鎌継手)
ろの4(ネコ土台と土台へ差し込まれた長枘込栓打ち)
るの9(土台のコーナー部分 柱枘穴は片鎌となっている)
3.墨つぼ、墨さし
材木に印や文字を書くには墨つぼと墨さしを使い、直線を書くには墨糸を使う。これはすばらしい発明品であり、いかにも日本人的で私はとても好きだ。昔の大工はこの墨つぼを欅の木を使って自作したそうだが、私は残念ながらプラスチック製の市販品。いつかは立派なのを彫って見たいと思っている。墨さしだけは、自分で真竹を削って作った。線を引く方は先をヘラ状にして細く割き、文字を書く方は丸棒にして先を金槌で叩いて筆のようにする。どちらも使い易いようにするには、なかなかの工夫が必要だ。何度も削り直しては使い、ようやく手に馴染むようになったと思う頃には墨付けはもう終わる間際だった。
墨つぼ 墨さし
4.中心線は必要か?カーペンター定規の威力
建築の図面表示は土木とちがって、すべて中心線表示である。中心線がとても大事なのである。だから墨付けは先ず材木の中心線を墨糸で打つところから始まる。その中心線を基準にして、仕口の形態を描く。材の表と裏に中心線を引く作業は中々大変だ。材が反っていたら反りに合わせて中心線を途中で折る。
もし、いつでも材の中心位置を出すことのできる定規があれば、中心線を出すことも必要なくなる。そんな定規があるのか。カーペンター定規というのがそうだ。この定規を本で見た時はその仕組みにとても感動した。とても簡単な仕組みだが思いついた人は大した知恵者だ。本の写真を見ながらナラ材で自作して使ってみたら、とても便利だった。これを使うことで中心線を引く作業はやらなくて済んだ。製材した角材だけを使う限りはカーペンター定規だけで事足りる。しかし梁材にマツ丸太を使うような場合には中心線は必須であるが。
カーペンター定規
付記・妻ひろより
昨年(2005年)9月末に家の骨組の材木が搬入され、
その材木を加工後、組み始めたのは今年の(2006年)4月中旬であった。
その間実に7ヶ月間も、
夫は黙々と、材木に印を入れたり、刻んだりしていたようである。
最も、みかんの収穫や宅配があり、家作りは中断したが。
いったい夫が、7ヶ月間も、家作りの過程で何をしていたのか、
妻・ひろは何も思い出せない。
せめて写真でも見て思い出そうとしたが、
作業風景写真さえもほとんど撮っていない。
そういえば、「墨付けのため、手を真っ黒にしていたな」
と思い出す程度である。
今文字打ちをしていて、
夫が、地味で面白くない、家の下ごしらえの仕事を、延々としていた
ことがやっと解った。
ただ、「いの一番」と言われても調味料しか思い浮かばないし、
XY座標など、なんのことやら・・・・・・
墨付けとは、木材の継手や組手の加工をする時に切断線や番付けを印すことをいう。組み上げていく順に墨付けと刻みを行うことにして、土台から始めようとした。既に作成しておいた平面図や伏図という図面を見ながら一本一本の土台に墨付けをしようとしたが、頭の中が混乱して墨付けできない。家具作りの時は板材や角材の一枚一枚の図面(施工図)を作成してそれに従い墨付けするものだが、家作りではそれ程の必要もないだろうとタカをくくっていたら、とてもとても難しい。結局一本一本の加工図を作成することにした。加工図を作成する時に充分に考えておけば、あとは考えることなく機械的に加工図に従って墨付けしておけば良いし、その方が間違いない。ただ加工図の作成には部材ごとに1日~2日程も日数がかかる。それでも柱材の墨付けの時には加工図が大いに力を発揮した。上枘と下枘の他に貫穴の加工があるため、柱一本と言えど、何箇所も同じ様な加工があり、図面がなければとてもスムーズには墨付け出来なかっただろう。
加工図
2.番付け~いの一番はどこ?
第一番のことを「いの一番」と言うがこれは建築の番付けから来ている。家を真上から見た時、柱の位置を現すのに、縦横軸にいろは・・の文字と一二三の数字が用いられ「いの一番」であったり「ろの3番」であったりする。この「いの一番」の位置を左上角にすれば下がり番付け、右下角にすれば上がり番付けと言うそうで、どちらを使っても良いようである。しかしどちらもピンと来ない。これを受験勉強で悩まされた数学のXY座標と考えればとても解り易いではないか。ということなら「いの一番」は(0.0)の点の位置である左下角になる。これなら考え易い。
るの5(左~土台の柱枘穴と蟻溝、右~鎌継手)
ろの4(ネコ土台と土台へ差し込まれた長枘込栓打ち)
るの9(土台のコーナー部分 柱枘穴は片鎌となっている)
3.墨つぼ、墨さし
材木に印や文字を書くには墨つぼと墨さしを使い、直線を書くには墨糸を使う。これはすばらしい発明品であり、いかにも日本人的で私はとても好きだ。昔の大工はこの墨つぼを欅の木を使って自作したそうだが、私は残念ながらプラスチック製の市販品。いつかは立派なのを彫って見たいと思っている。墨さしだけは、自分で真竹を削って作った。線を引く方は先をヘラ状にして細く割き、文字を書く方は丸棒にして先を金槌で叩いて筆のようにする。どちらも使い易いようにするには、なかなかの工夫が必要だ。何度も削り直しては使い、ようやく手に馴染むようになったと思う頃には墨付けはもう終わる間際だった。
墨つぼ 墨さし
4.中心線は必要か?カーペンター定規の威力
建築の図面表示は土木とちがって、すべて中心線表示である。中心線がとても大事なのである。だから墨付けは先ず材木の中心線を墨糸で打つところから始まる。その中心線を基準にして、仕口の形態を描く。材の表と裏に中心線を引く作業は中々大変だ。材が反っていたら反りに合わせて中心線を途中で折る。
もし、いつでも材の中心位置を出すことのできる定規があれば、中心線を出すことも必要なくなる。そんな定規があるのか。カーペンター定規というのがそうだ。この定規を本で見た時はその仕組みにとても感動した。とても簡単な仕組みだが思いついた人は大した知恵者だ。本の写真を見ながらナラ材で自作して使ってみたら、とても便利だった。これを使うことで中心線を引く作業はやらなくて済んだ。製材した角材だけを使う限りはカーペンター定規だけで事足りる。しかし梁材にマツ丸太を使うような場合には中心線は必須であるが。
カーペンター定規
付記・妻ひろより
昨年(2005年)9月末に家の骨組の材木が搬入され、
その材木を加工後、組み始めたのは今年の(2006年)4月中旬であった。
その間実に7ヶ月間も、
夫は黙々と、材木に印を入れたり、刻んだりしていたようである。
最も、みかんの収穫や宅配があり、家作りは中断したが。
いったい夫が、7ヶ月間も、家作りの過程で何をしていたのか、
妻・ひろは何も思い出せない。
せめて写真でも見て思い出そうとしたが、
作業風景写真さえもほとんど撮っていない。
そういえば、「墨付けのため、手を真っ黒にしていたな」
と思い出す程度である。
今文字打ちをしていて、
夫が、地味で面白くない、家の下ごしらえの仕事を、延々としていた
ことがやっと解った。
ただ、「いの一番」と言われても調味料しか思い浮かばないし、
XY座標など、なんのことやら・・・・・・