fernhaven rd.

狭いベランダで育てているバラのこと、趣味のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

心に残る苦み、ウディ.アレンの『女と男の観覧車』

2018-07-10 16:17:47 | 映画
何年か前にウディ.アレン監督の『ブルージャスミン』を観てから、新作上映の告知があると何となく観に行っています。

観るとすごくハッピーな気持ちになる映画と人生とは何てままならないんだろう、でもそれの半分は自分のせい?と感じてしまう映画の二通りあるような、、。

もちろん5作ほどしか観ていないので、ウディアレン監督を語れる筋合いではないのですが。

昨日見てきた映画は後部の方の映画で、後味は苦くケイト.ウィンスレット演じるジニーはきっとこれからも昔に思い描いたような人生は送れないのだろう、と辛い気持ちになりました。

〈あらすじ〉

1950年代のコニーアイランド。

遊園地のレストランでウエイトレスとして働く元女優のジニー(ケイト・ウィンスレット)は、再婚同士の夫と自分の連れ子と一緒に、観覧車の見える部屋に住んでいた。

平凡な日々に幻滅し、海岸で監視員のアルバイトをしている脚本家志望のミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)とひそかに交際するジニーだったが、

ある日久しく連絡がなかった夫の娘が現われたことで歯車が狂い始め……


その昔才能のある女優だったジニーは、最愛の夫を裏切り自殺させてしまった事とその悲しみのせいで女優を続けられなくなった事をずっと悔いながら毎日を過ごしている。

酒癖の悪い2度目の夫、放火癖のある息子(10歳くらい?)、イライラが募るばかりの日常にふと訪れたミッキーとの恋。

現実と向き合えればそんな恋などすぐに泡と消えてしまうと分かるだろうに

ミッキーが劇作家を目指す青年であることも手伝って、再び女優になる夢とミッキーと結婚する夢の両方にすがるようにしてにっちもさっちもいかない現実から目を背けるようにして生きている。


虚ろな結末が透けて見えるような話の間中流れる陽気でノスタルジックなジャズの調べ

またドラマを彩る色彩が素晴らしい、これまたノスタルジックで話を裏切るようにロマンティック。

この二つがどれだけこの映画に救いを与えているか、、監督のセンスが光ります。


自分のふとした愚かな行為でミッキーとの恋や未来、2度目の夫の娘キャロライナを失ってしまったジニー。

キャロライナを失い怒鳴り散らす夫は、そんな事とも知らずに最後はジニーに縋りつく。

ジニーはまた犯してしまった二つ目の罪をも抱えてこれからも生きていかなければならない、、。

ラストシーンの息子の放火、これは何を意味しているのでしょうか?でもこのシーンがラストに来ることがこのパズルを終えるにはぴったりと思えるのです。



窓を閉めても遊園地の雑音が漏れて聞こえてくる部屋で


美しい色彩


何とかしてミッキーの愛をつなぎ留めたいジニー


苦い思いでいっぱいになりながらも画面に釘付けになってしまいました。

80歳を過ぎて見た目はもう結構くたびれたおじいちゃまのウディ.アレン、いまだに年に一作映画を作っているし

こんなエネルギーが必要な映画を未だに作れることに驚きます。








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