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狭いベランダで育てているバラのこと、一緒に暮らす猫のこと、トールペイントのことなどなんてことない毎日を書いていきます。

簡単な読書感想〈おいしいごはんが食べられますように〉

2023-01-08 10:36:30 | 読書

この前の絵画教室でKさんが

「この本読みませんか?」と貸してくださった小説

〈おいしいごはんが食べられますように〉高瀬隼子著 芥川賞受賞作

実をいうと本を貸すのは好きだけど

借りるのは苦手

好みに合うかどうかがまず心配、読めるかな?

でも、まだ知り合って間もない絵画教室の方に、読みませんか?

と言っていただいて「借りるのは苦手で」とは言えない。

昨日、さっそく読み始めたら結構読みやすかったので3時間ほどで読み終えました。

(内容)

「二谷さん、わたしと一緒に、芦川さんにいじわるしませんか」
心をざわつかせる、仕事+食べもの+恋愛小説。

職場でそこそこうまくやっている二谷と、皆が守りたくなる存在で料理上手な芦川と、

仕事ができてがんばり屋の押尾。

ままならない微妙な人間関係を「食べること」を通して描く傑作。

(感想)

登場人物が一見普通の人に見えるけれど、どこか歪んでる。

そんな人たちが織りなす物語はだからやっぱり歪んでる。

 

か弱くて仕事に真剣に向き合っていない芦川さんは、頭痛がするからと言っては休み

プレッシャーのかかる仕事もしなくていい。

優しくていつも微笑んでいる芦川さん

なので、みんながそれを許してる「芦川さんだから仕方ないね」みたいな

 

そんな芦川さんと付き合うことにした一見普通な二谷君は

食べることに全く興味がない、あえて言えば軽く憎んでいるくらい。

なので、芦川さんが家に来て作ってくれるきちんとした夕飯の後

必ずジャンクなカップラーメンを食べてストレスを解消する。

15分で食べてしまうものに1時間も時間をかけるなんて信じられない、無意味だ。

 

仕事に対しても頑張る押尾さんは、

みんなから守られている芦川さんみたいなタイプが大嫌い。

 

そんな二谷君と押尾さんは時々一緒に美味しいものを食べに行く仲だ。

押尾さんは二谷君に芦川さんへの苦手意識を口にして

「芦川さんに意地悪しませんか?」と提案する。

そしてその意地悪から、問題が起こってしまう。

 

終始不穏な空気感

楽しい雰囲気の小説とは言いがたいけれど

実際、社会に出て働くってこんな風な人もいるだろうしそんなこともありうるでしょうね。

と、感じさせるリアル感がありました。

食べることを扱っているので食べる場面がたびたび出てきますが

そこが唯一楽しい場面かもしれません。

だって、私にとっては食べる事って大好きで重要だから。

芦川さんが作ってくるスウィーツの数々も美味しそうだった。

 

食べることが苦手な二谷君の心の底には

昔「男の子なんだからいっぱい食べて強くならなきゃ」

と何度も言われたことからの性差別に対する嫌悪感があるみたいでした。

 

信じられないことですが

食べることが苦手な人って実際いるんですよね。

昔、昔の生徒さんがそんな人で

食べられないものもいっぱい。

お友達たちとレストランに行くのもなんだか大変そうで

生き辛そうだな、と思いました。

でも、親友(懐かしい言葉だ)は同じく食べるのが苦手な人みたいで

二人で旅行に行ったりもしていたようで

それは良かった、と思ったりしました。

 

 

 


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