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可笑しくて哀しい上質のユーモア・・・杉田成道

2011年01月23日 | 美術展・本
杉田さんは、あの不動の視聴率を誇った「北の国から」の演出者だ。
話の引き出しをいっぱい持っている人が巧みな筆致で私生活を描いている。

  「願わくは 鳩のごとくに」ー扶桑社ー

前奥様を癌で亡くされた後、57才で再婚(30才年下)。
その後、なんと3人の1男2女の子宝を授かることになった。
ここで杉田さんのために念を押しておくが、若き相手に”惚れられて”
積極的な攻勢に陥落して結婚したのである。
式場での”犯罪者”意識で縮こまる杉田さんの人の良さが好きだ。

30才差の年齢をものともせず飛び込んできた若妻ももちろん只者ではない。
あっけらかん度が笑っちゃうくらい凄い。
27才、杉田さんとの結婚が想定内にある頃、医師への志を決意し
医大に入学後3人の子を産む。
こうなると杉田さんも当然、子育てに巻き込まれる。
初老の男の子育てって文章の上に載ると愉しい。
どうして夜鳴きをするのか?理論的に考察する杉田さんと、泣く赤ん坊を
背負い外であやす医大生の若妻、とこんな構図がなんとも可笑しいのである。
年を経てから得る子どもへの目線は程よく緩い。
若い頃には見過ごされてしまうような何気ない幼い動作が胸にグっとくるのである。
この個性豊かな子どもら(一道、有、窓子)の動き、言葉、それに対する両親の反応
が愉しくて、声を押し殺して笑いを抑えるのに苦労した。

もちろん話の引き出しの多い人なので話題は多岐に広がっている。
「北の国から」の知られざるエピソード、数奇な家系の話など
映画の画面を見ているような文章の巧みさだ。さすが優れた演出者の書く本だと思う。
大変であろうことをさらりと曝け出し、上質のユーモアにくるんで差し出してくれる。
お子様たちの行く末をなるべく長く見守っていられるよう、願っています。
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