日々、思うことをサラサラと。

日頃、イイな、とかおかしいゾ、とかキレイだなと思うことをサラサラと書き出してみたい。

穏やかに鎮まる・・・出光美術館

2011年05月28日 | 美術展・本
その作品は特等席にドカンと設えてあった。
「四季花鳥図屏風」山本梅逸
156×361と大きな屏風絵の中で、草花や鳥たちが平凡な日常を歓んでいる。
鳥たちの体表情の豊かなこと。奇を衒った動作を描いているわけではないが
何事も心配のない住環境の中で、健やかに、適度な野生感もって生きている。
草花は清潔でまろやかな陽差しを浴び、無造作に大らかに咲いている。
葉っぱが花々がうららかに歓んでいる。
解説の一説に「白昼夢を見ているような・・」と表現されていたが、まさに
そんな体感を得た。
3/11以来の”今”に交差して、平凡な日常の繰り返しがどれほど貴重な営み
であったかを改めて思う。すーっと、夢見心地な境地に置かれる心地よさを
愉しんだ。

他に
「月兎双鵲文鉢花鏡」中国・唐時代
これ、月の兎と鵲(かささぎ)がとても可愛い。
ここにこんな可愛いモノが?って感じです
ベタつきのない可愛さに緑青の緑が加わり、いにしえの素の感性にときめく。

他逸品多数あり。


「花鳥の美」 出光美術館
 ~6/19まで
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修ちゃん、その後・・・傷だらけの天使

2011年05月17日 | 美術展・本
オサム(ショーケン:萩原健一)とアキラ(水谷豊)のコンビが30年後帰ってきた。
と、いってもアキラは死んだはず?

「傷だらけの天使ー魔都に天使のハンマーをー」 矢作俊彦

当時、このコンビにハマった人は多かった。
飄々とした風情がこの人ほど違和感なく似合ってしまう人を未だ知らない。
軽く、程よく冷たく、ぎこちない優しさでアキラを引っ張っていく。
頭が弱いアキラは「兄きぃ~」と、どこまでも愚直にオサムに付いていく。
だが、時々哲学的なセリフを吐くところが”アキラ”なのだ。
危ういヤバイ場面を何度も突破してきた二人の終章は呆気なかった。
風邪をこじらせたアキラが高熱で死んでしまう。オサムは彼なりに不器用
に看たつもりだったが(オサムには緊急に逃亡する事情があった)結局、
あまりに弔い方が不器用すぎて殺人の嫌疑がかかってしまう・・・・

あれから30年後のコグレオサムの現在を矢作俊彦さんが書いている。
「ららら科学の子」以来この人が気になっていたが、中々「傷だらけの天使」の
イメージと結びつかなかった。だが、読み進めて行くうちにこの人らしさの匂いが
感じられ俄然面白くなってくる。あのオサムが50才過ぎて面白いのだからその
筆力は相当なもの。軽妙洒脱な世界だ。
オサムは現在ホームレス。相変わらず飄々とイカサマしながら暮らしている。
時々、短い言葉で放つセリフの中にオサムが積み重ねてきた人生の深みが
さり気なく入るあたりが好ましい。このさり気なさが本当にかっこいいんだなぁ。

市役所職員の”シャークショ”が生活を改善するために何かとオサムに
関わってくるのだが、どうやら彼はオサムファンのようだ。この真面目だけど
破天荒なショークシャがオサムを食うほどの存在感だ
誠実でヤワなようで結構タフ。IT技術を駆使し、何故か?バーチャルな世界の
ヒーローとなっているコグレオサムを追求していく。
随所に石山都知事なるものを登場させ、強烈に皮肉るあたり矢作さん大丈夫?と
ハラハラする。

そうそう、アキラはバーチャルな世界で生きていたのです。
520ページと長編だが止まらない面白さがある。
解説からの引用だが、一時映画化の話が出て立ち消えとなったそうだが、
シャークショ役は矢作さん草薙くんを想定していたそうだ(なるほどぉ)
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”拘る”ということ・・・・埼玉県立近代美術館

2011年05月15日 | 美術展・本
この企画展、観ているうちに”拘る”ということを強く意識してしまう。
埼玉県立近代美術館企画展
「アール・ブリュット・ジャポネ展」~5月15日まで
(アール・ブリュットとは生(き)の芸術という意味だという)

この拘りは時に愉しそうだったり、辛そうだったりする。

愉しんで創り上げたであろう作品は、自由奔放であらゆる”制限”を
感じさせない豊かな創造の世界が広がっている。
荻野トヨさんの刺し子「ちゅーりっぷ」は見事に愉しい気持ちを謳歌しているようだ(好きだナ、このちゅーりっぷ!)

刺繍作品で近づいてアっと驚いたのは佐々木早苗さんの作品。
膨大な量の刺繍を施したため作品がでこぼこになっている。それが作品に不思議な
趣を与え一瞬にして虜になる。


方眼紙に設計図のような作品を残したのは山崎健一さん。
画像のような作品がズラリと並ぶとその精錬さに姿勢を正す。


ダンボールをキャンパスに見立て朱を背景に描かれた人物像その他のデザインは
ポップでありながら宗教絵のような厳かさがある。

全ての方の作品が素晴らしかった
作品に添えられた制作過程の解説を読むと更にその凄さが
倍増されて映ってくる。

「ちゃぐちゃぐ馬コ」


→「どらえもん」どらえもんどらえもん・・・と青の色彩で字のみで描く。
こういう作品が数枚並ぶとその場が一枚の素晴らしいアートとなる。

見ていて辛くなるような強い磁場を持った作品が多々ある。
この拘りはキツいだろうな、と見事な作品に驚くと同時に
人間の深さ、複雑さに対する畏怖も感じる。
我あるがままの気持ちを放出する・・凄い事だね。


下記に↓企画展の概要をそのまま転載させていただきました。
アカデミックな美術教育を受けていないひとたちが生み出すかたち。自由な発想と創るよろこびに充ちた作品には、人間の純粋な創造性を垣間見ることができます。文化の違いを超えて観るひとの心をとらえるアート、それが「アール・ブリュット(生〈き〉の芸術)」。2010年に国内から63人の作家が参加してパリのアル・サン・ピエール美術館で開催された好評の展覧会が日本に凱旋。本展は第11回全国障害者芸術・文化祭埼玉大会のオープニング企画です。

追記:
こちらの美術館は閑静な北浦和公園の中に在り、夏場などは大きな人工池で
水遊びさせたり(禁止じゃないよね?)木々の中を駆けたりと大人も子どもも楽しめそう。



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”奇”・・府中市美術館

2011年05月06日 | 美術展・本
この美術展は”掘り出しもの”という感がある。

江戸の人物画ー姿の美・力・奇ー
  府中市美術館~5/8

~5月8日までなので急いでUP。
蕭白がメインにどんと来て、仙涯・北斎・鈴木春信・・等々名だたる作者の
比較的マイナーな作品がちょくちょく現れ、そのベタな感じがにんまり
笑いを誘う。
”人の営み”編はやはり断トツ私好みだ。人の暮らしの中でのありふれた日常の
一角を掬いとる。例えば、夕暮れに佇む人の長い影に人生の澱を感じ、
盥で洗濯する女をメインに小さく置く余白の面白さ。
英一蝶の小品2点はまさに江戸版アニメだ(ここで大好きな作品に出会えるとは
想定外の僥倖)
前期に続き後期もかなり愉しめました

散策が好きな方のアクセス方法は
東府中駅で降りて徒歩(スローペースで20分位)をお奨めする。
府中の森劇場が見えたら右折し、広大な府中の森公園をのんびり横断
した先に美術館が見えてくる。
この公園入り口近くに「カラス」の彫刻がデンとあるのだが、間近に
接近してみるまではナニやら分からない?で、カラスだと気付くと
その動きのある放埓な造形に驚かされる。ここに来るたび、このカラスに
出会えることが楽しみだ。
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川口ペアの桜舞う・・・世界選手権エキシビション

2011年05月02日 | フィギュアスケート
世界選手権エキシビション。
川口悠子・スミルノフペアの「千と千尋の神隠し」の曲に寄せた舞いに
落涙する。震災被害者への静かな深い思いを「千と千尋の神隠し」の
中に込め、可憐にステップを踏む。

照明を抑えた背景の中で二人周辺だけにスポットが当たり、
薄い桜色の衣装を身につけた川口さんがひらひら桜の花びらが
舞うようにステップを踏んでいく。華奢なボディにその桜色の衣装と
空中を舞うようなスケーティングはまさに桜の花弁と同一化された
ような美しい風情だった。
そして、曲目の優しく厳かなメロディと美しい声が彼女のステップに
見事に調和して会場が鎮まる。
(ユーチューブよりリンクさせていただきました↓)
川口・スミルノフペア エキシビション


瓦礫の廃墟の中で桜が咲いたという。
灯のように、人の気持ちに寄り添うように
健気にそっと咲いた被災地の桜に思いをリンクする。
会場内へ視聴者へそっと気持ちを被災地へ傾けさせてくれた静かで
確かなメッセージだった。



   「千と千尋の神隠し」挿入歌
     ・
     ・
     ・
   呼んでいる 胸のどこか奥で
   いつも何度でも 夢を描こう
     ・
     ・
   閉じていく思い出の そのなかにいつも
   忘れたくない ささやきを聞く
   こなごなに砕かれた 鏡の上にも
   新しい景色が 映される


   はじまりの朝の 静かな窓
   ゼロになるからだ 充たされてゆけ
     ・
     ・



世界選手権2011フィナーレの演出は
ロシアの日本への温かい配慮が感じられた。
この部分をあっさりと通過したフジTVはズれている。
膨大な時間を費やしておきながらココを外すなんて
(せめて、最後のロシア連盟からのメッセージは急遽開催を引き受けて
くださった国への礼儀として外すべきではない)
フィナーレをしっかり見たい方はユーチューブで↓
どうか最後のロシア連盟からの素晴らしい詩篇を聴くような
メッセージをお聞き逃しなく。
世界選手権2011フィナーレ
ありがとう、ロシア。



   

   


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