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蘇った本

2019年07月20日 | 美術展・本
「ジャージの二人」長島侑 2003年発行
この本は最近、新聞記事のあるコーナーで紹介されていて気になっていた。
「あれ、読んでないけど?このタイトル知ってるなぁ」と。
迂闊にも映画化(2008年)された方を先に見てしまっていたというか、当時原作の存在を知らなかった。
そして、今、その本を読んでみたら・・・とてもいいのだ

訳あって仕事を辞めてボロ家屋の軽井沢で夏のひと時を暮らしている息子(35才~かな)と父が居る。
ふたりのポツポツと交わす緩い会話が好きだ。
自然を撮るカメラマンだっただけに父の言葉が達観している。まるでふざけているような緩さなんだけど
短い言葉の中の感性が澄んでいる。息子しかり(小説家志望)
息子の妻も、父の娘(花ちゃん)もそれぞれそんな感じ。

これは、映画化は無理でしょう。
短い会話の(しかもゆるゆるの)中で読み手が余白を探る時間にこそ描かれる真理がある。
父の、息子の会話が素敵な作品です。
繰り返しますが、これは画面上(映画)の速さでは気付きにくいでしょう(父役のイメージがまるで違う)
良かった、本当に良かった原作が読めて。取りこぼすところだった


「神様」川上弘美 2001年発行
2001年に発行し、その後約10年の間に18刷されている。
川上ファンならば読んでいて当然、の本ながら私は当時購入するも途中で辞めた本です
川上さんの作風はとても好みなのだけど、当時の私の状況ではすんなり入ってこなかった。
年数を経て・・冒頭の「くまにさそわれて散歩に出る」でまた数日置きやっと読んでいると、
今度はじゅわじゅわと気持ちに浸潤してくるものがある。なんだ、これは。気持ちいいのだ、世間離れした独特の展開が。
僅か190ページの本がアっという間に終わってしまった。
(最後の短編では読了してしまうのがもったいなくてグズグズと先延ばしにしていた)

やはり、本を読む、映画を観るには自分の時期との相性が大事だなとつくづく思うのでした。



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