生まれたままの格好で階段に手を着け、お尻を前に突き出している僕は、N川さんのお母さんから受けるお尻叩きを前にして、すでに充分叩かれたお尻の痛みに嗚咽していた。
「一つお願いがあるんですが」
N川さんのお母さんがヌケ子さんに言った。
「この子を私の膝の上を覆わせるような格好にしてお尻を叩きたいのですが、よろしいかしら?」
にっこりと笑ってヌケ子さんが頷く。
「ありがとうございます。昔から娘をしつける時は、こうしていたものですから」
丁重に頭を下げたN川さんのお母さんは、僕の背中を軽く叩いたり、撫でたりしながら、姿勢を変えるように促した。階段から手を放し、立て膝のままN川さんのお母さんを向く。その時に片手をおちんちんに当てていたが、あっさりその手を払われてしまった。
「まあ、可哀想に。こんなに小さく縮こまってる。お仕置きだから仕方ないもんね」
手のひらでおちんちんを軽く揉むと、すぐに僕の胸やお腹を自分の膝に押し付けるようにして倒れ込ませた。スカートの硬い布地が僕の乳首やお腹に擦れる。
「これってお母さんのお仕置きスタイルだよね」
N川さんが言うと、
「そうよ。あんたのお尻もこうして叩いたわね」
と、お母さんが笑う。
「でも、私の時はスカートかズボンの上からだったでしょ」
「そうね。裸のお尻は叩かなかったわね」
片手で僕の背中や首、耳などを撫ででいるお母さんの息遣いが肌で感じられる。何か優しい心がほのかに伝わって、おば様や先生よりも年上の感じがした。恐らく僕の母と同じくらいの年齢だと思う。この苦しいお仕置きを受けている中で、唯一安堵に似た安らぎを覚えた瞬間だった。が、突然お尻叩きが始まった。
思わず呻き声を上げる僕をN川さんが笑った。事務のおじさんに力いっぱい叩かれ、その痛みが引いていない状態での折檻だったので、おじさんほどの力ではないものの、おじさんに匹敵するほどの激痛を僕に与えた。
「随分幼い体ね。娘と同じ学年とは思えない」
「え、私と同い年だよ。ナオス君、同じクラスだし」
N川さんがお母さんにそう答えると、先生が、
「男の子は成長が遅いからね」
と、言った。
「ナオス君はクラスで一番小さいし、男の子の中でも発育が遅れてるほうだよ。裸を見て、つくづくそう思った」
あっけらかんとN川さんが放ったこの何気ない一言は、泣きながらお尻叩きを受けている僕の心を更に傷つけるものだった。悔しい気持ちでいっぱいになり、一際激しくむせび泣いた。
「さっきからピーピー泣いてうるさいね。男の子でしょ。いい加減に我慢しなさいよ」
単に肉体の痛みから僕が泣き声を上げたと思っているらしいヌケ子さんに怒鳴りつけられた。それでも不思議なくらい涙が止まらない。どうせクラスメイトの前で素っ裸にされ、お尻を叩かれているのだと思うと、今更泣き声を上げるくらいでプラスされる恥ずかしさなど、微々たるものに過ぎない。
「まあまあ、そう責めたら可哀想だよ。この子だって一人だけ真っ裸でお尻叩かれてるんだもん。恥ずかしいし、辛いと思うよ。この真っ赤なお尻を見れば、痛みも相当なものだと思うけどね」
先生が僕を弁護すると、ヌケ子さんも「ま、そうだけどさ」と答えて口をつぐんだ。
そんなやり取りとは別に、淡々とN川さんのお母さんはお尻叩きを続けていた。僕はその都度、呻き声を低く漏らした。お母さんのもう片方の手が背中から胸に回って、指が乳首をつまむ。こちらもまた、新たな痛みを僕の体にもたらした。お母さんの膝の上で体をもそもそと動かすと、
「我慢しなさい。もうすぐ20発目よ」
と、耳元で囁く。ようやく規定の20発目が終わると、お母さんは、その場に座り込んだ僕の肩を叩いて、
「お仕置きが済んだらね、立ち上がって、ありがとうごさいましたってお礼を言うのよ。これがね、私たちの家の約束なの」
と言った。が、お尻が痛くてすぐには動けない。ヌケ子さんが脇から腕を通して、僕を無理矢理立たせた。
「はい。じゃお礼を言いましょうね。みんなの方をきちっと向いて」
ヌケ子さんが手を鳴らして、僕に迅速な行動を促す。僕は泣き顔を俯かせて、ヌケ子さん、先生、事務のおじさん、N川さんのお母さん、N川さんが並ぶ方向へ体を向けた。お礼の言葉を口にしようとすると、
「ちょっと待って。きちんと気をつけの姿勢をなさい」
N川さんのお母さんが不満そうな顔をして僕を睨んだ。
「両手でおちんちんを隠している場合じゃないのよ。礼儀を疎かにしないで。さあ、早く」
お母さんがそう言うと、もっともだとばかりヌケ子さんや先生が頷いた。
「言われた通りにしなさい」
ヌケ子さんが冷やかな口調で僕に命じた。N川さんの視線が僕の両手で隠したところに集中しているので、手を外すのには抵抗を覚えたけど、まだお仕置きの途中であり、ヌケ子さんの機嫌を損ねるようなことがあってはならない。どうせ見られたおちんちんだからと諦めて、しぶしぶ両手を脇に移動した。その瞬間、N川さんがにやりと笑ったような気がした。
一刻も早く座り込みたい僕は、とっとと礼を述べてこの屈辱的な義務を果たそうとしたが、ヌケ子さんや先生が口ぐちに「体を真っ直ぐ伸ばしなさい」とか「顔を上げなさい」「お仕置きを受けたことについて感謝しなくてはいけない理由を述べなさい」などと注文をつけるので、おちんちん丸出しの素っ裸をしばらくみんなの目に晒し続ける羽目になってしまった。
気を付けの姿勢を取っている間は、体が微動することも許されない。体を固定させたまま「お仕置きに対する感謝の理由」を述べるのは難しく、何度もやり直しをさせられた。やっと許しが出ると、頭を下げてお母さんにお礼を述べる。
「はい、いいわよ」
お母さんがそう言い、再び僕は、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「休んでる暇はないのよ。お尻叩きはまだ終わってないんだから」
ヌケ子さんは僕の髪の毛を掴んで、最後の20発を受け持つN川さんの足元まで、引き連れて行った。髪の毛を引き抜かれるような激しい痛みを少しでも軽減するために、僕は犬のように四つん這いになって進まなければならなかった。
「はい。じゃ、よろしくね」
素っ裸の僕をN川さんの前に投げ出して、ヌケ子さんがそう言うと、N川さんが質問をぶつけた。
「ええと、お尻を叩く時、別に階段に手を着けた状態にしなくてもいいんですよね?」
「いいよ。好きな格好にさせてね。そのために、わざわざ連れて来たんだから」
ヌケ子さんの返答に満足したN川さんは、腕を組んで考え込んだ。お母さんが自分のスタイルで僕のお尻を叩いたことから、N川さんも彼女なりのやり方でお尻を叩こうと考えているのかもしれない。が、どんなやり方にしろ、僕としてはN川さんにお尻を叩かれるのは、一番恐れていたことだった。
学校の成績も悪くなく、真面目で明るい性格の女子というイメージのN川さんが、全裸に剥かれた同級生のお尻を叩くなどというのは、およそ似つかわしくない行為だ。僕は、彼女がお尻叩きを断ってくれることを願っていた。N川さんの代わりに彼女よりも腕力のある、たとえば事務のおじさんがお尻叩きをすることになっても、その結果、より僕の肉体的な痛みが増すことになったとしても、N川さんに叩かれるよりは全然よい。
散々平手打ちされてまだズキズキと激しく痛むお尻に手を当てている僕は、全裸の無防備な体を所在なく丸めて、N川さんの足元で震えていた。すぐそばにN川さんのスリッパと白い靴下があった。その足が時折軽く床を叩き、何かリズムを取っている。
「じゃあさ、とりあえず四つん這いになろうか」
不意にしゃがみ込んだN川さんが僕の腰に手を置いて、言った。
「お願い。僕を打つのは、やめて」
「そんなこと言われても困るんだよね。私が決めたことじゃないしさ。そんなに打たれたくないんなら、あの女の人に頼みなよ、ナオス君」
ぐっと声量を絞ったN川さんがヌケ子さんをちらりと見た。そんな願い、聞き入れてもらえる筈がない。N川さんもそんなに分からない人ではないだろうに、と思うと、また涙が溢れ出てきた。
「ちょっと、泣かないでよ。ナオス君、こんなにお尻真っ赤にして痛いのは分かるけどさ、これってルールじゃない。我慢しなくちゃ。ねえ、ナオス君。困ったな、泣かないでよ。分かった。じゃあさ、そんなに強く叩かないから。ね? やさしく軽くぶつだけにするから。ね? それならいいでしょ?」
背中をさすりながらN川さんが僕を説得する。軽くでも強くでも、とにかくN川さんに叩かれるのがいやだったのだけれど、これ以上駄々をこねると、またヌケ子さんの怒りを買ってしまう。僕が「分かった」と首を縦に振ると、N川さんは安心したように僕の腰をぴしゃりと叩いて、「さ、四つん這いになろうか」と、もう一度言った。
叩く人の命令は絶対ということになっているので、僕は従わざるを得ない。羞恥の念で体を熱くしながら、N川さんの見ている前で四つん這いの姿勢を取る。
と、一発目がいきなり振り下ろされた。痛い。予想外の強さに悲鳴を上げてしまった。手加減するなんて、大嘘だった。続けて2発3発、お母さんよりも全然強い力で手のひらがお尻をひっぱたいている。
抗議の意味を込めてN川さんを上目使いで見ると、彼女は顔を赤くして下唇を噛み、瞳にちょっと悲しそうな色を浮かべてお尻叩きに専念していた。その様子からは、力いっぱい叩いているのが不本意であるかのような印象を受ける。それでも僕の感ずる痛みに変わりはないので、ヌケ子さんや先生に聞こえないように配慮しながら、
「本気で叩かないって約束したのに」
と、抗議した。N川さんは少し間を置いてから、
「だって、本気で叩かないと、私が叱られるんだから」
と、弁解する。では、あの「軽くぶつだけにする」という約束はなんだったんだろう。N川さんの叩き方はまた少し変わっていて、お尻を横から叩く。頬を平手打ちするビンタと似ていて、お尻の肉を横叩きするものだった。そのため、他の人たちが叩いたよりもお尻が揺れる。
変な気休めを言ったN川さんを恨めしく思いながら、肉を打たれる痛みに苦悶の声を漏らしていると、そばでじっとその様子を眺めているヌケ子さんが、お尻の横叩きにこだわるN川さんにその理由を訊ねた。
「横から叩くとお尻の肉が揺れて、一瞬だけどお尻の穴が見えるの。それが面白くて」
「まあ、そうなの」
予想外のN川さんの答えにヌケ子さんもまた驚いたようだった。四つん這いのまま、がっくりと首を垂らした僕の前に来てしゃがみ込むと、
「大変なもんだね、あなたも。同級生の女の子にお尻の穴まで見られちゃったんだから」
と言って、僕の頭を撫でる。
「さあ、ラスト一発。覚悟してね、ナオス君」
まるで叩くのが楽しくて仕方ないかのようにN川さんが声を張り上げる。これは、ヌケ子さんへのカモフラージュだろうか。先程からN川さんがヌケ子さんへちらちらと視線をやっているのに、僕は気付いていた。
腰を捻って腕の振りを鋭くしたN川さんの右手が僕のお尻を打った時、その指先がおちんちんの袋に当たった。N川さんの指は勢い余って、おちんちんの袋だけでなく、おちんちんの根元の部分にまで届いた。
予想外の激痛に襲われ悲鳴を上げた僕は、四つん這いで支えていた腕の力が一気に抜けて、胸を冷たい床に着けてしまった。すぐに横向きになり、体を団子虫のように丸めて痛みをやり過ごそうとする。百発叩かれたお尻もさることながら、おちんちんの袋に指が当たった痛みもキーンと下腹部から湧き上がって僕を苦しめた。最後の一発を叩く前、N川さんは僕のお尻を動かし、叩く側へ突き出すようにさせ、股も広げさせたのだが、これらもこのアクシデントによる痛みを倍増させた要因だった。
しばらく動くことができず、ひんやりと涼しい白い床に体を横たえている。じんじんと痺れるような痛みが少しでも早く引くように、熱を帯びたお尻にそっと手を当てた。僕の目に公民館の無人の暗い廊下がずっと奥まで続いている。あの奥の暗がりの中から人が出てきそうな気がした。後ろには公民館の入口があり、雨の音が聞こえなくなっていた。やんだのかもしれない。しかし、振り向いて確かめる気にはならなかった。
お仕置きを終えたヌケ子さんたちは、しゃくり上げるばかりでちっとも動こうとしない僕をここに残して、事務室に戻った。会話や笑い声がドア越しに聞こえた。なぜ、自分はこんなに酷い罰を受けなければならなかったのだろうか。いつしか僕は、そんなことを考えていた。考え事に集中すると、お尻やおちんちんの袋を打たれた痛みを紛らすことができる。
やはり、直接の原因は、僕がゴムボールをアベックに奪われたことにある。ではなぜ、アベックは僕にちょっかいを出したのか。僕が真っ裸で路上にいたから、というのがその理由だろう。みんなが裸でいるのが当たり前の世の中だったら、僕だけがこんな憂き目に遭うこともないだろうに、現実は、僕だけが服を脱がされ、裸を強制されている。
つまり、一人だけ裸でいたのがいけなかった。「一人だけ裸でいる」ことの意味は大きく、その恐ろしさが皮膚に突き刺さる感覚は、当人でなければ想像が難しいと思う。「一人だけ裸でいる」ことは、職業的なモデルでもない限り、対等である筈の人間関係を一方的に崩し、精神的な優位を相手に無条件で明け渡す行為である。これは自主的に裸になった場合でも変わらない。彼もしくは彼女は「一人だけ裸でいる」ことの意味する負を積極的に引き受けているだけで、その意味でこそ自主的なのだと思う。
もちろん、僕は「一人だけ裸でいる」状況になり得るような場所で自主的に裸になったことなんかないし、これからもないだろう。僕にとって「一人だけ裸でいる」ことは、その意味を充分過ぎる程心得ているおば様やY美によって、いつも強制されたものである。彼女たちは、僕がどんなに服を着させてくださいと懇願しても、応じてくれたためしがない。
そんなことを取りとめもなく考えていると、ドアのあく音がして足音が近づいてきた。N川さんだった。
「いつまでもいじけてないで、こっちにおいで。お菓子があるよ」
横向きにくの字になって背中を向けている僕に明るく話し掛ける。
「別に、要らないから」
「男の子のくせに、いつまでウジウジ拗ねてんのよ。また、ヌケ子さんにうんと叱られるよ」
のろのろと立ち上がった僕は、両手でしっかりおちんちんを隠し、腰を引いたまま、N川さんを見上げた。
「何か着る物が欲しいんだけど・・・」
「そうか、着る物ね。お仕置きも済んだのに素っ裸のままじゃ、さすがに辛いよね。事務室に何かあるかも」
頭から爪先までゆっくりと目を動かして、改めて僕が一糸まとわぬ裸であることを確認したN川さんは、軽く驚いたように口をぽかんと開いたまま、くるりと向きを変えて事務室へ向かった。僕ものろのろと後に従う。
「何してんの? 早く入りなさい」
ドアの前でN川さんが何か羽織る物を持ってきてくれるだろうと期待して待っていると、中からヌケ子さんの呼ぶ声がした。
仕方がないのでドアノブを回し、両手でおちんちんや乳首の辺りを覆いながら、のろのろと素足を踏み入れる。ファイルや書類が整然と並ぶ無人の仕事場を過ぎて、衝立の向こう側に回った。
受付窓口のガラス板から見える位置に横長の作業用机があり、衝立に接していた。お菓子やお茶、缶ビールなどが散らばっている。机の奥におじさん、N川さんのお母さん、N川さん、手前に先生、ヌケ子さんが座っていて、ヌケ子さんが首をひょいと曲げて僕に座る場所を指図した。5人の視線が僕に集中して、自分が相変わらず全裸であることを意識せざるを得ない。僕が指定されたのは、衝立に接している面の向かい側だった。
背もたれのない丸い椅子に腰を下ろす。僕のすぐ左側でN川さんがビスケットを頬張りながらしげしげと見るので、一時もおちんちんから手を放せなかった。ヌケ子さんが紙コップを差し出してくれた。
「ごめんね。絞りたてのおいしいオレンジジュースがあったんだけど、切れちゃった。水だけど飲んで」
一口啜ると、確かに生温い水だった。別に水で結構ですという意味でこくりと頷く。N川さんのガラスのコップには氷とオレンジジュースが入っていて、氷の間にサクランボが一つ見えた。N川さんがピンクのストローをつまんで優雅に氷をかき回す。
ビスケットに手を伸ばした僕は、いきなりヌケ子さんに手の甲を叩かれた。
「これはこちらの方のご厚意で私たちが頂いたものだから、あなたは食べたらいけないの」
と僕を叱ってから、ヌケ子さんらしい大袈裟な仕草で事務のおじさんに頭を下げる。事務のおじさんは、黙って笑顔を向けていた。食べてもいいとは言ってくれない。
みんなは世間話に興じて、僕と同い年のN川さんまで普通に大人たちの会話に加わっていた。僕はと言えば、紙コップの生温い水を時折思い出したように口に運ぶ以外はずっと項垂れている。なぜ自分だけが素っ裸でここにいるのだろうかという疑問を頭から拭い去ることができなかった。
「すみません。僕のパンツを・・・」
会話が途切れた頃合いを計って、おずおずとお願いをしてみる。千切られたパンツの布切れでもいいから、肌に当てたかった。
「あなたの破られたパンツね、あれはもう使い物にならんでしょ。だからほら、この事務室で雑巾として活用させてもらうことにしたから。ほら」
事務のおじさんが僕に見せたのは、白い四角い布巾だった。二つに裂けたパンツを縫い合わせて、きれいに切り揃えている。おじさんはにこにこ笑いながら、かつては僕のパンツだった布切れをぶんぶん振ると、隅のポリバケツへ放り投げた。
「よかったじゃない。あなたのパンツも生まれ変わったのよ」
ヌケ子さんが僕の頭を撫でた。
「でも、この子、あの白い小さなパンツしか身に着ける物がなかったんでしょ。これでもう、丸裸でいるしか、なくなっちゃったんじゃないの?」
ちらちらと僕を見ながら先生が言う。
「そうね。困ったことだわね」
言葉とは裏腹に、少しも困った様子ではないヌケ子さんが僕の肩を勢いよく叩いて、立つように命じた。ヌケ子さんと先生の間に移動させられた僕に、すかさずヌケ子さんが両手を腰に回して組むように命じる。僕の正面には作業机を挟んでN川さんのお母さんがいて、事務のおじさんと話をしながら、何事が起こるのかと注意を怠らない視線を向けている。またもや晒し者にされる恥ずかしさに体を小さく震わせていると、ヌケ子さんに「早く」とお尻を叩かれた。おちんちんを隠していた両手が重かった。のろのろと腰に回して、左手で右手首を掴んだ。
「さっき先生が言ってた皮被りって、このこと?」
丸出しにさせられたおちんちんに手を伸ばして、ヌケ子さんが先生に訊ねた。
「そう。包茎ってやつ。皮が長いでしょ」
椅子を横に向けて座る先生が、だらしなく背もたれに背中を押しつけたまま、手をおちんちんへ伸ばしてきた。
二人の女性におちんちんをいじられ、思わず声が出てしまった。N川さんのお母さんには丸見えの状態だが、幸い、ヌケ子さんの頭が遮ってくれて、N川さんには、彼女が体を左に寄せない限り、見られることはなかった。しかし、事務のおじさんの視線を遮るものは無かった。先生が椅子ごと横を向いているのがその原因だった。
おちんちんの皮の先をつまんだ先生が、ゆっくりと引っ張り始めた。
「痛い。やめて。痛いです」
机の向かい側の3人には聞こえないように哀願する僕を全く無視して、先生がヌケ子さんに話し掛ける。
「ほら、こんなに伸びるでしょ」
「これが全部余った皮なのね。切った方がいいのかしら」
珍しい物を見る興奮に目を輝かせたヌケ子さんは、皮を被った無毛のおちんちんをこんなにじっくり見たりいじったりするのは初めての体験だと言って、嬉しそうな声を上げる。
おちんちんの皮を引っ張られても、じっとしていなければならない僕は、腰に回して組んでいた手を何度も組み直して、痛みに耐えた。おちんちんの袋を引っ張っていたヌケ子さんの手が放れ、今度は僕の乳首へと向かった。
「男の子の乳首って、やっぱり感じるものかしら」
「それは開発すればいいだけの話よ」
皮を引っ張る手を少しも緩めずに、こともなく先生が答えると、ヌケ子さんは「開発しちゃおうか」と、いたずらっ子のような笑みを浮かべて指に唾液を付けた。そして、乳首の回りからゆっくりと唾液を塗り込めてゆく。くすぐったいような、変な感触がして体を揺する僕を「動かないの」とたしなめて、ヌケ子さんは乳首の先端に向けて、唾液に濡れた指先を軽く圧し付けてくる。
「このまま皮を引っ張って、ズルズルと引っこ抜けるといいね」
引っ張る皮の長さに感心して、先生が無邪気な笑顔を見せる。僕は、おちんちんの皮を引っ張られる千切れるような痛みと、乳首を撫で回される、くすぐったいような、ツンと電気が走るような感触に苛まれて、足をがくがく震わせながら、苦悶の声を漏らしていた。腰に回すように命じられた手首が汗で滑って掴みにくい。
机の向かいのN川さんのお母さんと事務のおじさんは、ヌケ子さんと先生が繰り広げている光景に対して、見て見ぬふりをしていた。N川さんだけがヌケ子さんに遮られて、僕が今どんな目に遭っているのか知ることができない。N川さんは、お母さんとおじさんを相手に、学校の先生の噂話に興じていた。僕は、彼女に気づかれないのが唯一の救いだと観じて、恥ずかしさと痛みに耐えるのだった。
二人の女性による悪戯は、程なくエスカレートした。先生は、おちんちんの皮を更に強く引っ張っり、前後左右に振り始めた。「はい右、はい左、はい上、はい下」と先生自らの掛け声で、おちんちんの引っ張った皮をきびきびと動かしている。それだけではない。ヌケ子さんは僕の二つの乳首をつまんで、ぐっと力を加え始めた。
これには僕も一際大きな声を上げてしまったが、それがためにN川さんに気づかれたのではない。ぴんと伸ばされたおちんちんの皮が前後左右に動いているのを見て、N川さんのお母さんが声を上げて笑い、自分の話に明らかに興味をなくしたことを不審に思ったN川さんが首を少し横に曲げて、机の向こうで行なわれていることを目にしたのだった。
さっとN川さんの顔が赤く染まった。しかし、顔はそむけず、半分ひらいた口に手を当てただけだった。目の前で同級生の男の子が全裸のまま、女の人に弄ばれている、おちんちんの皮をうんと引っ張られているという事実を飲み込むのに、大した時間はかからないようだった。
「はい右、はい左、はい上、はい下」
僕の背後に立って乳首を引っ張るヌケ子さんも先生の掛け声に唱和して、同じように引っ張り回す。涙を流しながら許しを乞う僕の声は、元気な掛け声にむなしく呑まれた。お母さんの横でN川さんもまた、じっと見つめている。
「すごい。おちんちんの皮って、こんなに伸びるんだ」
感心したように呟く声が聞こえた。
「乳首だってこれだけ引っ張れば、今に女の子のように胸が出てくるかもよ」
背後からヌケ子さんがそんなことを言って、周囲の笑いを誘った。
電話が鳴って、先生のお迎えの車がまもなく到着するとの知らせが入らなければ、二人の女性は、まだまだ僕をいじめ続けたかもしれない。雨はだいぶ弱まったようだった。
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「一つお願いがあるんですが」
N川さんのお母さんがヌケ子さんに言った。
「この子を私の膝の上を覆わせるような格好にしてお尻を叩きたいのですが、よろしいかしら?」
にっこりと笑ってヌケ子さんが頷く。
「ありがとうございます。昔から娘をしつける時は、こうしていたものですから」
丁重に頭を下げたN川さんのお母さんは、僕の背中を軽く叩いたり、撫でたりしながら、姿勢を変えるように促した。階段から手を放し、立て膝のままN川さんのお母さんを向く。その時に片手をおちんちんに当てていたが、あっさりその手を払われてしまった。
「まあ、可哀想に。こんなに小さく縮こまってる。お仕置きだから仕方ないもんね」
手のひらでおちんちんを軽く揉むと、すぐに僕の胸やお腹を自分の膝に押し付けるようにして倒れ込ませた。スカートの硬い布地が僕の乳首やお腹に擦れる。
「これってお母さんのお仕置きスタイルだよね」
N川さんが言うと、
「そうよ。あんたのお尻もこうして叩いたわね」
と、お母さんが笑う。
「でも、私の時はスカートかズボンの上からだったでしょ」
「そうね。裸のお尻は叩かなかったわね」
片手で僕の背中や首、耳などを撫ででいるお母さんの息遣いが肌で感じられる。何か優しい心がほのかに伝わって、おば様や先生よりも年上の感じがした。恐らく僕の母と同じくらいの年齢だと思う。この苦しいお仕置きを受けている中で、唯一安堵に似た安らぎを覚えた瞬間だった。が、突然お尻叩きが始まった。
思わず呻き声を上げる僕をN川さんが笑った。事務のおじさんに力いっぱい叩かれ、その痛みが引いていない状態での折檻だったので、おじさんほどの力ではないものの、おじさんに匹敵するほどの激痛を僕に与えた。
「随分幼い体ね。娘と同じ学年とは思えない」
「え、私と同い年だよ。ナオス君、同じクラスだし」
N川さんがお母さんにそう答えると、先生が、
「男の子は成長が遅いからね」
と、言った。
「ナオス君はクラスで一番小さいし、男の子の中でも発育が遅れてるほうだよ。裸を見て、つくづくそう思った」
あっけらかんとN川さんが放ったこの何気ない一言は、泣きながらお尻叩きを受けている僕の心を更に傷つけるものだった。悔しい気持ちでいっぱいになり、一際激しくむせび泣いた。
「さっきからピーピー泣いてうるさいね。男の子でしょ。いい加減に我慢しなさいよ」
単に肉体の痛みから僕が泣き声を上げたと思っているらしいヌケ子さんに怒鳴りつけられた。それでも不思議なくらい涙が止まらない。どうせクラスメイトの前で素っ裸にされ、お尻を叩かれているのだと思うと、今更泣き声を上げるくらいでプラスされる恥ずかしさなど、微々たるものに過ぎない。
「まあまあ、そう責めたら可哀想だよ。この子だって一人だけ真っ裸でお尻叩かれてるんだもん。恥ずかしいし、辛いと思うよ。この真っ赤なお尻を見れば、痛みも相当なものだと思うけどね」
先生が僕を弁護すると、ヌケ子さんも「ま、そうだけどさ」と答えて口をつぐんだ。
そんなやり取りとは別に、淡々とN川さんのお母さんはお尻叩きを続けていた。僕はその都度、呻き声を低く漏らした。お母さんのもう片方の手が背中から胸に回って、指が乳首をつまむ。こちらもまた、新たな痛みを僕の体にもたらした。お母さんの膝の上で体をもそもそと動かすと、
「我慢しなさい。もうすぐ20発目よ」
と、耳元で囁く。ようやく規定の20発目が終わると、お母さんは、その場に座り込んだ僕の肩を叩いて、
「お仕置きが済んだらね、立ち上がって、ありがとうごさいましたってお礼を言うのよ。これがね、私たちの家の約束なの」
と言った。が、お尻が痛くてすぐには動けない。ヌケ子さんが脇から腕を通して、僕を無理矢理立たせた。
「はい。じゃお礼を言いましょうね。みんなの方をきちっと向いて」
ヌケ子さんが手を鳴らして、僕に迅速な行動を促す。僕は泣き顔を俯かせて、ヌケ子さん、先生、事務のおじさん、N川さんのお母さん、N川さんが並ぶ方向へ体を向けた。お礼の言葉を口にしようとすると、
「ちょっと待って。きちんと気をつけの姿勢をなさい」
N川さんのお母さんが不満そうな顔をして僕を睨んだ。
「両手でおちんちんを隠している場合じゃないのよ。礼儀を疎かにしないで。さあ、早く」
お母さんがそう言うと、もっともだとばかりヌケ子さんや先生が頷いた。
「言われた通りにしなさい」
ヌケ子さんが冷やかな口調で僕に命じた。N川さんの視線が僕の両手で隠したところに集中しているので、手を外すのには抵抗を覚えたけど、まだお仕置きの途中であり、ヌケ子さんの機嫌を損ねるようなことがあってはならない。どうせ見られたおちんちんだからと諦めて、しぶしぶ両手を脇に移動した。その瞬間、N川さんがにやりと笑ったような気がした。
一刻も早く座り込みたい僕は、とっとと礼を述べてこの屈辱的な義務を果たそうとしたが、ヌケ子さんや先生が口ぐちに「体を真っ直ぐ伸ばしなさい」とか「顔を上げなさい」「お仕置きを受けたことについて感謝しなくてはいけない理由を述べなさい」などと注文をつけるので、おちんちん丸出しの素っ裸をしばらくみんなの目に晒し続ける羽目になってしまった。
気を付けの姿勢を取っている間は、体が微動することも許されない。体を固定させたまま「お仕置きに対する感謝の理由」を述べるのは難しく、何度もやり直しをさせられた。やっと許しが出ると、頭を下げてお母さんにお礼を述べる。
「はい、いいわよ」
お母さんがそう言い、再び僕は、その場にへなへなと座り込んでしまった。
「休んでる暇はないのよ。お尻叩きはまだ終わってないんだから」
ヌケ子さんは僕の髪の毛を掴んで、最後の20発を受け持つN川さんの足元まで、引き連れて行った。髪の毛を引き抜かれるような激しい痛みを少しでも軽減するために、僕は犬のように四つん這いになって進まなければならなかった。
「はい。じゃ、よろしくね」
素っ裸の僕をN川さんの前に投げ出して、ヌケ子さんがそう言うと、N川さんが質問をぶつけた。
「ええと、お尻を叩く時、別に階段に手を着けた状態にしなくてもいいんですよね?」
「いいよ。好きな格好にさせてね。そのために、わざわざ連れて来たんだから」
ヌケ子さんの返答に満足したN川さんは、腕を組んで考え込んだ。お母さんが自分のスタイルで僕のお尻を叩いたことから、N川さんも彼女なりのやり方でお尻を叩こうと考えているのかもしれない。が、どんなやり方にしろ、僕としてはN川さんにお尻を叩かれるのは、一番恐れていたことだった。
学校の成績も悪くなく、真面目で明るい性格の女子というイメージのN川さんが、全裸に剥かれた同級生のお尻を叩くなどというのは、およそ似つかわしくない行為だ。僕は、彼女がお尻叩きを断ってくれることを願っていた。N川さんの代わりに彼女よりも腕力のある、たとえば事務のおじさんがお尻叩きをすることになっても、その結果、より僕の肉体的な痛みが増すことになったとしても、N川さんに叩かれるよりは全然よい。
散々平手打ちされてまだズキズキと激しく痛むお尻に手を当てている僕は、全裸の無防備な体を所在なく丸めて、N川さんの足元で震えていた。すぐそばにN川さんのスリッパと白い靴下があった。その足が時折軽く床を叩き、何かリズムを取っている。
「じゃあさ、とりあえず四つん這いになろうか」
不意にしゃがみ込んだN川さんが僕の腰に手を置いて、言った。
「お願い。僕を打つのは、やめて」
「そんなこと言われても困るんだよね。私が決めたことじゃないしさ。そんなに打たれたくないんなら、あの女の人に頼みなよ、ナオス君」
ぐっと声量を絞ったN川さんがヌケ子さんをちらりと見た。そんな願い、聞き入れてもらえる筈がない。N川さんもそんなに分からない人ではないだろうに、と思うと、また涙が溢れ出てきた。
「ちょっと、泣かないでよ。ナオス君、こんなにお尻真っ赤にして痛いのは分かるけどさ、これってルールじゃない。我慢しなくちゃ。ねえ、ナオス君。困ったな、泣かないでよ。分かった。じゃあさ、そんなに強く叩かないから。ね? やさしく軽くぶつだけにするから。ね? それならいいでしょ?」
背中をさすりながらN川さんが僕を説得する。軽くでも強くでも、とにかくN川さんに叩かれるのがいやだったのだけれど、これ以上駄々をこねると、またヌケ子さんの怒りを買ってしまう。僕が「分かった」と首を縦に振ると、N川さんは安心したように僕の腰をぴしゃりと叩いて、「さ、四つん這いになろうか」と、もう一度言った。
叩く人の命令は絶対ということになっているので、僕は従わざるを得ない。羞恥の念で体を熱くしながら、N川さんの見ている前で四つん這いの姿勢を取る。
と、一発目がいきなり振り下ろされた。痛い。予想外の強さに悲鳴を上げてしまった。手加減するなんて、大嘘だった。続けて2発3発、お母さんよりも全然強い力で手のひらがお尻をひっぱたいている。
抗議の意味を込めてN川さんを上目使いで見ると、彼女は顔を赤くして下唇を噛み、瞳にちょっと悲しそうな色を浮かべてお尻叩きに専念していた。その様子からは、力いっぱい叩いているのが不本意であるかのような印象を受ける。それでも僕の感ずる痛みに変わりはないので、ヌケ子さんや先生に聞こえないように配慮しながら、
「本気で叩かないって約束したのに」
と、抗議した。N川さんは少し間を置いてから、
「だって、本気で叩かないと、私が叱られるんだから」
と、弁解する。では、あの「軽くぶつだけにする」という約束はなんだったんだろう。N川さんの叩き方はまた少し変わっていて、お尻を横から叩く。頬を平手打ちするビンタと似ていて、お尻の肉を横叩きするものだった。そのため、他の人たちが叩いたよりもお尻が揺れる。
変な気休めを言ったN川さんを恨めしく思いながら、肉を打たれる痛みに苦悶の声を漏らしていると、そばでじっとその様子を眺めているヌケ子さんが、お尻の横叩きにこだわるN川さんにその理由を訊ねた。
「横から叩くとお尻の肉が揺れて、一瞬だけどお尻の穴が見えるの。それが面白くて」
「まあ、そうなの」
予想外のN川さんの答えにヌケ子さんもまた驚いたようだった。四つん這いのまま、がっくりと首を垂らした僕の前に来てしゃがみ込むと、
「大変なもんだね、あなたも。同級生の女の子にお尻の穴まで見られちゃったんだから」
と言って、僕の頭を撫でる。
「さあ、ラスト一発。覚悟してね、ナオス君」
まるで叩くのが楽しくて仕方ないかのようにN川さんが声を張り上げる。これは、ヌケ子さんへのカモフラージュだろうか。先程からN川さんがヌケ子さんへちらちらと視線をやっているのに、僕は気付いていた。
腰を捻って腕の振りを鋭くしたN川さんの右手が僕のお尻を打った時、その指先がおちんちんの袋に当たった。N川さんの指は勢い余って、おちんちんの袋だけでなく、おちんちんの根元の部分にまで届いた。
予想外の激痛に襲われ悲鳴を上げた僕は、四つん這いで支えていた腕の力が一気に抜けて、胸を冷たい床に着けてしまった。すぐに横向きになり、体を団子虫のように丸めて痛みをやり過ごそうとする。百発叩かれたお尻もさることながら、おちんちんの袋に指が当たった痛みもキーンと下腹部から湧き上がって僕を苦しめた。最後の一発を叩く前、N川さんは僕のお尻を動かし、叩く側へ突き出すようにさせ、股も広げさせたのだが、これらもこのアクシデントによる痛みを倍増させた要因だった。
しばらく動くことができず、ひんやりと涼しい白い床に体を横たえている。じんじんと痺れるような痛みが少しでも早く引くように、熱を帯びたお尻にそっと手を当てた。僕の目に公民館の無人の暗い廊下がずっと奥まで続いている。あの奥の暗がりの中から人が出てきそうな気がした。後ろには公民館の入口があり、雨の音が聞こえなくなっていた。やんだのかもしれない。しかし、振り向いて確かめる気にはならなかった。
お仕置きを終えたヌケ子さんたちは、しゃくり上げるばかりでちっとも動こうとしない僕をここに残して、事務室に戻った。会話や笑い声がドア越しに聞こえた。なぜ、自分はこんなに酷い罰を受けなければならなかったのだろうか。いつしか僕は、そんなことを考えていた。考え事に集中すると、お尻やおちんちんの袋を打たれた痛みを紛らすことができる。
やはり、直接の原因は、僕がゴムボールをアベックに奪われたことにある。ではなぜ、アベックは僕にちょっかいを出したのか。僕が真っ裸で路上にいたから、というのがその理由だろう。みんなが裸でいるのが当たり前の世の中だったら、僕だけがこんな憂き目に遭うこともないだろうに、現実は、僕だけが服を脱がされ、裸を強制されている。
つまり、一人だけ裸でいたのがいけなかった。「一人だけ裸でいる」ことの意味は大きく、その恐ろしさが皮膚に突き刺さる感覚は、当人でなければ想像が難しいと思う。「一人だけ裸でいる」ことは、職業的なモデルでもない限り、対等である筈の人間関係を一方的に崩し、精神的な優位を相手に無条件で明け渡す行為である。これは自主的に裸になった場合でも変わらない。彼もしくは彼女は「一人だけ裸でいる」ことの意味する負を積極的に引き受けているだけで、その意味でこそ自主的なのだと思う。
もちろん、僕は「一人だけ裸でいる」状況になり得るような場所で自主的に裸になったことなんかないし、これからもないだろう。僕にとって「一人だけ裸でいる」ことは、その意味を充分過ぎる程心得ているおば様やY美によって、いつも強制されたものである。彼女たちは、僕がどんなに服を着させてくださいと懇願しても、応じてくれたためしがない。
そんなことを取りとめもなく考えていると、ドアのあく音がして足音が近づいてきた。N川さんだった。
「いつまでもいじけてないで、こっちにおいで。お菓子があるよ」
横向きにくの字になって背中を向けている僕に明るく話し掛ける。
「別に、要らないから」
「男の子のくせに、いつまでウジウジ拗ねてんのよ。また、ヌケ子さんにうんと叱られるよ」
のろのろと立ち上がった僕は、両手でしっかりおちんちんを隠し、腰を引いたまま、N川さんを見上げた。
「何か着る物が欲しいんだけど・・・」
「そうか、着る物ね。お仕置きも済んだのに素っ裸のままじゃ、さすがに辛いよね。事務室に何かあるかも」
頭から爪先までゆっくりと目を動かして、改めて僕が一糸まとわぬ裸であることを確認したN川さんは、軽く驚いたように口をぽかんと開いたまま、くるりと向きを変えて事務室へ向かった。僕ものろのろと後に従う。
「何してんの? 早く入りなさい」
ドアの前でN川さんが何か羽織る物を持ってきてくれるだろうと期待して待っていると、中からヌケ子さんの呼ぶ声がした。
仕方がないのでドアノブを回し、両手でおちんちんや乳首の辺りを覆いながら、のろのろと素足を踏み入れる。ファイルや書類が整然と並ぶ無人の仕事場を過ぎて、衝立の向こう側に回った。
受付窓口のガラス板から見える位置に横長の作業用机があり、衝立に接していた。お菓子やお茶、缶ビールなどが散らばっている。机の奥におじさん、N川さんのお母さん、N川さん、手前に先生、ヌケ子さんが座っていて、ヌケ子さんが首をひょいと曲げて僕に座る場所を指図した。5人の視線が僕に集中して、自分が相変わらず全裸であることを意識せざるを得ない。僕が指定されたのは、衝立に接している面の向かい側だった。
背もたれのない丸い椅子に腰を下ろす。僕のすぐ左側でN川さんがビスケットを頬張りながらしげしげと見るので、一時もおちんちんから手を放せなかった。ヌケ子さんが紙コップを差し出してくれた。
「ごめんね。絞りたてのおいしいオレンジジュースがあったんだけど、切れちゃった。水だけど飲んで」
一口啜ると、確かに生温い水だった。別に水で結構ですという意味でこくりと頷く。N川さんのガラスのコップには氷とオレンジジュースが入っていて、氷の間にサクランボが一つ見えた。N川さんがピンクのストローをつまんで優雅に氷をかき回す。
ビスケットに手を伸ばした僕は、いきなりヌケ子さんに手の甲を叩かれた。
「これはこちらの方のご厚意で私たちが頂いたものだから、あなたは食べたらいけないの」
と僕を叱ってから、ヌケ子さんらしい大袈裟な仕草で事務のおじさんに頭を下げる。事務のおじさんは、黙って笑顔を向けていた。食べてもいいとは言ってくれない。
みんなは世間話に興じて、僕と同い年のN川さんまで普通に大人たちの会話に加わっていた。僕はと言えば、紙コップの生温い水を時折思い出したように口に運ぶ以外はずっと項垂れている。なぜ自分だけが素っ裸でここにいるのだろうかという疑問を頭から拭い去ることができなかった。
「すみません。僕のパンツを・・・」
会話が途切れた頃合いを計って、おずおずとお願いをしてみる。千切られたパンツの布切れでもいいから、肌に当てたかった。
「あなたの破られたパンツね、あれはもう使い物にならんでしょ。だからほら、この事務室で雑巾として活用させてもらうことにしたから。ほら」
事務のおじさんが僕に見せたのは、白い四角い布巾だった。二つに裂けたパンツを縫い合わせて、きれいに切り揃えている。おじさんはにこにこ笑いながら、かつては僕のパンツだった布切れをぶんぶん振ると、隅のポリバケツへ放り投げた。
「よかったじゃない。あなたのパンツも生まれ変わったのよ」
ヌケ子さんが僕の頭を撫でた。
「でも、この子、あの白い小さなパンツしか身に着ける物がなかったんでしょ。これでもう、丸裸でいるしか、なくなっちゃったんじゃないの?」
ちらちらと僕を見ながら先生が言う。
「そうね。困ったことだわね」
言葉とは裏腹に、少しも困った様子ではないヌケ子さんが僕の肩を勢いよく叩いて、立つように命じた。ヌケ子さんと先生の間に移動させられた僕に、すかさずヌケ子さんが両手を腰に回して組むように命じる。僕の正面には作業机を挟んでN川さんのお母さんがいて、事務のおじさんと話をしながら、何事が起こるのかと注意を怠らない視線を向けている。またもや晒し者にされる恥ずかしさに体を小さく震わせていると、ヌケ子さんに「早く」とお尻を叩かれた。おちんちんを隠していた両手が重かった。のろのろと腰に回して、左手で右手首を掴んだ。
「さっき先生が言ってた皮被りって、このこと?」
丸出しにさせられたおちんちんに手を伸ばして、ヌケ子さんが先生に訊ねた。
「そう。包茎ってやつ。皮が長いでしょ」
椅子を横に向けて座る先生が、だらしなく背もたれに背中を押しつけたまま、手をおちんちんへ伸ばしてきた。
二人の女性におちんちんをいじられ、思わず声が出てしまった。N川さんのお母さんには丸見えの状態だが、幸い、ヌケ子さんの頭が遮ってくれて、N川さんには、彼女が体を左に寄せない限り、見られることはなかった。しかし、事務のおじさんの視線を遮るものは無かった。先生が椅子ごと横を向いているのがその原因だった。
おちんちんの皮の先をつまんだ先生が、ゆっくりと引っ張り始めた。
「痛い。やめて。痛いです」
机の向かい側の3人には聞こえないように哀願する僕を全く無視して、先生がヌケ子さんに話し掛ける。
「ほら、こんなに伸びるでしょ」
「これが全部余った皮なのね。切った方がいいのかしら」
珍しい物を見る興奮に目を輝かせたヌケ子さんは、皮を被った無毛のおちんちんをこんなにじっくり見たりいじったりするのは初めての体験だと言って、嬉しそうな声を上げる。
おちんちんの皮を引っ張られても、じっとしていなければならない僕は、腰に回して組んでいた手を何度も組み直して、痛みに耐えた。おちんちんの袋を引っ張っていたヌケ子さんの手が放れ、今度は僕の乳首へと向かった。
「男の子の乳首って、やっぱり感じるものかしら」
「それは開発すればいいだけの話よ」
皮を引っ張る手を少しも緩めずに、こともなく先生が答えると、ヌケ子さんは「開発しちゃおうか」と、いたずらっ子のような笑みを浮かべて指に唾液を付けた。そして、乳首の回りからゆっくりと唾液を塗り込めてゆく。くすぐったいような、変な感触がして体を揺する僕を「動かないの」とたしなめて、ヌケ子さんは乳首の先端に向けて、唾液に濡れた指先を軽く圧し付けてくる。
「このまま皮を引っ張って、ズルズルと引っこ抜けるといいね」
引っ張る皮の長さに感心して、先生が無邪気な笑顔を見せる。僕は、おちんちんの皮を引っ張られる千切れるような痛みと、乳首を撫で回される、くすぐったいような、ツンと電気が走るような感触に苛まれて、足をがくがく震わせながら、苦悶の声を漏らしていた。腰に回すように命じられた手首が汗で滑って掴みにくい。
机の向かいのN川さんのお母さんと事務のおじさんは、ヌケ子さんと先生が繰り広げている光景に対して、見て見ぬふりをしていた。N川さんだけがヌケ子さんに遮られて、僕が今どんな目に遭っているのか知ることができない。N川さんは、お母さんとおじさんを相手に、学校の先生の噂話に興じていた。僕は、彼女に気づかれないのが唯一の救いだと観じて、恥ずかしさと痛みに耐えるのだった。
二人の女性による悪戯は、程なくエスカレートした。先生は、おちんちんの皮を更に強く引っ張っり、前後左右に振り始めた。「はい右、はい左、はい上、はい下」と先生自らの掛け声で、おちんちんの引っ張った皮をきびきびと動かしている。それだけではない。ヌケ子さんは僕の二つの乳首をつまんで、ぐっと力を加え始めた。
これには僕も一際大きな声を上げてしまったが、それがためにN川さんに気づかれたのではない。ぴんと伸ばされたおちんちんの皮が前後左右に動いているのを見て、N川さんのお母さんが声を上げて笑い、自分の話に明らかに興味をなくしたことを不審に思ったN川さんが首を少し横に曲げて、机の向こうで行なわれていることを目にしたのだった。
さっとN川さんの顔が赤く染まった。しかし、顔はそむけず、半分ひらいた口に手を当てただけだった。目の前で同級生の男の子が全裸のまま、女の人に弄ばれている、おちんちんの皮をうんと引っ張られているという事実を飲み込むのに、大した時間はかからないようだった。
「はい右、はい左、はい上、はい下」
僕の背後に立って乳首を引っ張るヌケ子さんも先生の掛け声に唱和して、同じように引っ張り回す。涙を流しながら許しを乞う僕の声は、元気な掛け声にむなしく呑まれた。お母さんの横でN川さんもまた、じっと見つめている。
「すごい。おちんちんの皮って、こんなに伸びるんだ」
感心したように呟く声が聞こえた。
「乳首だってこれだけ引っ張れば、今に女の子のように胸が出てくるかもよ」
背後からヌケ子さんがそんなことを言って、周囲の笑いを誘った。
電話が鳴って、先生のお迎えの車がまもなく到着するとの知らせが入らなければ、二人の女性は、まだまだ僕をいじめ続けたかもしれない。雨はだいぶ弱まったようだった。
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ご期待に沿える展開ができず、誠に申し訳ございません。
私の非才をどうぞお許しくださいませ。
展開の遅さは、私自身歯ぎしりするほどでございます。
また、私のために弁護のコメントをお寄せくださった方にも、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。
本日、ようやく更新いたしました。
定期的に更新できればベストですが、事情で少し難しくなります。
ご寛恕を請う次第でございます。
少しずつ書いてゆこうと思っております。
そのように思うなら、見に来なければ良いだけなのでは
ないかと思う次第です。私は楽しみに見に来ています。
もう更新してるーー!
ありがとう
たいへん読みやすく成りまして
これからも一層の声援を送らせて
頂きます。
(更新が、この所早いですね。我々読者
は嬉しい限りですが、余り無理をなさら
ないでくださいね)
Naosu's spanking is so heavy for him
But The Reader, I, so many thinking about the Situation is very good and lover..^^!
Naosu..boy's Nude is so lustful^^! And funny!
I like the situation...classmate Or the Girl of the juniority's Punishment and spanking &^^..
AnyWay,!
Thank you for new Story!!
毎回楽しみながら読ませて頂いていますが。
雑巾と化したパンツが惨めでなりません。
これからも更新頑張ってください。