電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

定額給付金

2009-01-12 09:50:06 | 政治・経済・社会

 朝日新聞のニュースによれば、政府が補正予算案に盛り込んだ総額2兆円の定額給付金について、「やめた方がよい」が63%に達し、「政府の方針どおり配った方がよい」の28%を大きく上回ったという。その上、麻生内閣の支持率も19%ととなり、福田内閣で最低だった昨年5月調査の19%と同水準まで落ち込んだという。なんだか、麻生内閣と自民党は、末期的な症状を呈しているようで、やることなすことがちぐはぐで、先行きが見えていないようだ。財政再建路線から景気対策優先に方針転換したといわれているが、景気対策の有効性が見えてこないのだ。

 そもそも、現在新聞で盛んに取り上げられている、非正規雇用者の首切り問題は、日本の格差社会の典型的な問題だと思われるのに、そうした社会の中で、国民すべてに定額給付金を支給して何が起こるのだろうか。おそらく、誰もが、その2兆円のもっといい使い方を考えたほうがいいと思うに違いない。確かに、現在景気は後退している。そして、先行きはとても不透明に見える。トヨタ自動車などの今年度の赤字が、愛知県などの地域社会に与える影響は、来年度になって初めて実感できるに違いない。今までの超優良企業の赤字転落の影響は、国や地方自治体にかなり大きな負担を強いるに違いない。

 しかし、私には、トヨタ自動車など日本の輸出産業を支えてきた超優良企業は、こうした赤字では決して倒産などしないと思われる。派遣を斬ったり、下請けを斬ったりしながら、彼らはさらに強固な企業に変身していくのではないかと思われる。アメリカと違って日本の場合、ある意味では、国際社会の中での強固な競争力を利用して、拡大路線を続けてきた企業が今、引き締めをしているのだと思ったほうがよい。何となく世界的な金融危機の中で、誰でもが大変になったように見えるが、経済的には、この中で損をしているもの得をしているものが必ず存在しているのだ。それが、資本主義社会の景気の本質だとおもわれる。

 正月のNHKの討論会で、「市場原理主義」という言葉を盛んに使っていた人がいたが、これからは、市場に任せるということの代わりに、市場のコントロールということが強調されるようになるかもしれない。特に、アメリカなどでは、市場のゆがみが今回の危機を招いたといわれていて、特に金融市場は変革を迫られるに違いない。それにしても、日本のバブルの崩壊のときと同じように、アメリカがゼロ金利になるとは驚きである。しかし、各国の市場は相対的なものであって、いまや世界市場がどうなっていくかが問題だと思われる。今回の金融危機こそ、市場がまずアメリカのバブル経済に警鐘を与えたのだと考えたほうがいいので、その意味では、常に市場はゆがみを正してくれているのかもしれない。
 
 私の個人的な見解では、定額給付金はやめにして、政府としてのしっかりとした景気対策をすべきだと思う。特に、格差社会の中での、問題をしっかり認識し、いったん弱者になるや止めどもなく転落して行かざるを得ない人たちに役立つような施策を作っていく必要があると思われる。おそらく、それは、究極的には、教育投資ということになるのかもしれないが、雇用促進に役立つ施策が今喫緊の課題となっていることだけは確かな気がする。それ以外の企業の問題には、政治はタッチすべき問題ではないし、考えても仕方がない。アメリカでは、ビッグスリーを救うことが課題になったが、日本の場合は、すでにバブルの崩壊時にやったことだ。

 今大切なことは、日本の状況をしっかりと見つめることだ。そのためには、本当は、早めに総選挙をした方がいいような気がする。私は、民主党に賛成して言っているわけではないが、一度、選挙をしてみる必要があるような気がする。選挙をすると言うことは、ある意味では、政治家たちの棚卸しをすることでもある。棚卸しをして、それぞれ持っている資産をしっかり見極め、次の政策に取り組んでいけばいいわけだ。現在のところ、自民党も民主党も勝手なことを言っていて、地に足がついた政策が出されていないような気がする。いずれ実施される選挙を見据えながら、得点稼ぎをやっているだけのような印象がぬぐえない。

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