電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

「クローズアップ現代」で佐藤優が、ウクライナ問題を語る

2024-01-28 14:49:56 | 政治・経済・社会
  21日の「クローズアップ現代」は、「佐藤優が語る 2024年の世界と日本」だった。どうやら、佐藤優を選んだのは、桑子真帆MCのようだ。小学校時代、『クローズアップ現代』に出演している国谷裕子に憧れていたというから、その頃からの夢を実現していることになる。池上彰は佐藤優とは友人で、その立場で、今回の佐藤優のテレビ出演に驚いていた。二人は考え方も近い所があるが、一方はテレビ人間であり、佐藤のほうは地上波に初めて出演したらしい。

 私は、池上彰や佐藤優がマスコミの中でそれなりに活躍しているということは、日本も見すてたものではないと思っている。今回は、「ウクライナは正義の国であり、ロシアは悪魔の国である」(ちょっと言いすぎか?)というような論調だったNHKテレビの世界に、初めてウクライナやロシアをすこし客観的に眺めてみようという視点が加わってきたような気がした。私たちは、どちらかと言うとウクライナがロシアなどに勝てるわけはないから、可哀想ということで募金などにも応じたのだと思う。日本にも避難してきた人たちがいて、多くの人たちが、支援活動をしている。

 しかし、ウクライナとロシアの戦いについてのイギリスの報道は、特にひどかった気がする。ひょっとしたら、日本の太平洋戦争のときの報道もこうだったのではないか思った。経済封鎖が始まり、軍事支援の結果すぐに、ロシアは、戦いに負け、経済的にも大打撃を受け、すぐに崩壊しそうな報道だった。ロシアのウクライナ侵攻から2年が過ぎようとしている現在、パレスチナとイスラエルの紛争の影に隠れて、ウクライナは軍事的にも、経済的にも危機的な状況に陥っている。本来なら停戦の道を探るべきであるが、引くに引けなくなって、「勝利するまで戦う」というゼレンスキー大統領の訴えは、何となくむなしく響いている。それは、欧州の支援疲れだけでなく、グローバルサウスと言われている国々に対応や、アメリカの世論の動き、特に大統領選挙でのトランプの動向によってどうなるか分からない状況にも左右されている。

 佐藤優は、初めから、ロシアとウクライナの内在的な紛争に至る論理を細かく分析し、民主主義対専制主義という価値観の戦いという視点を批判してきた。アメリカは、ベトナム、イラク、アフガニスタン、そして、今回のウクライナ支援と、常に民主主義の戦いという立場を取ってきたが、ウクライナはまだ結果が出ていないが、みなひどいものだったと思う。そして、ウクライナも、それと同じ道を歩んでいるような気がする。悲惨なのは、ウクライナである。彼らは、アメリカやイギリスの代わりに、武器をもらってロシアと戦っているが、とても明るい展望は開けていない。むしろ、経済的にも社会的にも疲弊してきている。

 もともと、ウクライナは、ロシアとEUのどちらを選ぶか迷っていた。ロシアよりの大統領もいたし、EUよりの大統領もいた。そして、ゼレンスキーが役者時代に演じた大統領が直面していたのは、腐敗しきったウクライナ内政の世界だったはずだ。ゼレンスキーが大統領になって、その体質が変わったわけではなく、変革されずに残っていたはずだ。戦争が始まると、挙国一致で一種の独裁国家になる。それは、コロナ禍の中で、私たちが経験してきたことだ。戦争は、民主主義的な行動ではない。それは、勝つか負けるかである。戦争の論理とは、敵は滅ぼせということになってしまう。

 佐藤優は、現在私たちの選択肢は、即時停戦であり、その上で、話合いで問題解決に臨むべきだと言っていた。そして、そのことを積極的に進めることができるのは、多少不安があるとはいえ日本であるという。日本は、ウクライナ支援をしているが、戦争でロシア人を殺傷するような武器を提供しない国であり、G7の中でも、微妙な立ち位置を取っているという。

確かに、岸田首相は、国連総会で次のように述べている。

<議長、世界は、気候変動、感染症、法の支配への挑戦など、複雑で複合的な課題に直面しています。各国の協力が、かつてなく重要となっている今、イデオロギーや価値観で国際社会が分断されていては、これらの課題に対応できません。
 我々は、人間の命、尊厳が最も重要であるとの原点に立ち返るべきです。我々が目指すべきは、脆弱な人々も安全・安心に住める世界、すなわち、人間の尊厳が守られる世界なのです。
 国際社会が複合的危機に直面し、その中で分断を深める今、人類全体で語れる共通の言葉が必要です。人間の尊厳に改めて光を当てることによって、国際社会が体制や価値観の違いを乗り越えて、人間中心の国際協力を着実に進めていけるのではないでしょうか。>(第78回国連総会における岸田内閣総理大臣一般討論演説より)

 ここで岸田首相は「国際社会が体制や価値観の違いを乗り越えて、人間中心の国際協力を着実に進めていける」と述べている。民主主義国とか権威主義国とかいうような言葉は使わなくなった。勿論、岸田首相がどこまで自覚的かは不明だが、日本国憲法を踏まえて、広島・長崎の原爆体験に触れながら、ロシアとウクライナの対立のなかで、停戦を訴えていると捉えてよいと思われる。注目すべき言動だ。自民党の派閥の金の問題で大揺れに揺れている国会の状況のなかで、どこまで岸田首相がイニシアティヴを取って、この問題を牽引していけるかは不明だが。

棋譜には著作権はなさそだ!

2024-01-20 17:39:45 | スポーツ・ゲーム
 2024年1月17日付けの日経新聞によって、棋譜には著作権がないという大坂地裁の判決を知った。

<将棋のタイトル戦の棋譜を盤面図に再現した動画配信が著作権侵害だとして削除されたのは不当だとして、男性ユーチューバーが、棋戦を中継する運営事業者「囲碁・将棋チャンネル」に対し約340万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が16日、大阪地裁であった。
 武宮英子裁判長は「動画の棋譜は原則として自由利用の範疇(はんちゅう)に属する情報」として、約120万円の支払いを命じた。>(日経デジタルより)


 この裁判をめぐって、将棋界、囲碁界とも、激震が走ったようだ。これまでも棋譜の著作権について賛否両論があり、法曹界では、著作権はないという見解のほうが多かった。それでも、日本将棋連盟も、囲碁の日本棋院も、棋譜に著作権があるという利用規約を掲載していた。しかし、この裁判では、著作権はないと断定している。ある意味では、スッキリしたというべきかもしれない。実際、ユーチューブ動画などでは、一部許諾を受けて配信したものもあったようだが、ほとんど棋譜は自由に配信されていたと思われる。勿論、韓国や中国では、自由に配信されてる。

 この裁判については、弁護士であり、「将棋AI水匠」を開発した杉村達也によって、 この裁判についての解説動画がYouTube動画としてアップされている。現在のところもっとも分かりやすく、正確な解説と思われる。

<【棋譜の権利裁判】大阪地裁の判決を弁護士が基礎から考察!【将棋AI水匠/たややん】
https://www.youtube.com/watch?v=wOlMSaCZYAM>

杉村達也の略歴は以下のとおり。
<本八幡朝陽法律事務所弁護士
1986年千葉県生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科、千葉大学大学院専門法務研究科を卒業後、2014年に弁護士登録。千葉市内の法律事務所にて一般民事・労働問題・中小企業法務などの案件を経験後、19年4月から本八幡朝陽法律事務所に参加。千葉県弁護士会法律相談センター所属。自身が開発するAI(人工知能)搭載の将棋ソフト「水匠(すいしょう)」は、22年12月に開催されたオンライン将棋の世界大会「第3回世界将棋AI電竜戦本戦」で優勝。同ソフトは藤井聡太五冠や渡辺明名人をはじめ、多くのプロ棋士らが将棋の研究に使用。>(日経ビジネスより)


 囲碁の日本棋院の棋譜使用についてのガイドライン(https://www.nihonkiin.or.jp/sitepolicy/link.html)も日本将棋連盟の棋譜利用のガイドライン(https://www.shogi.or.jp/kifuguideline/terms.html)も、棋譜は著作物であり、著作権があり、勝手に利用できないと一方的に宣言している。私としては、囲碁・将棋チャンネルが、なぜ、「棋譜には著作権がある」と主張しなかったのか疑問だったが、囲碁・将棋チャンネルは、棋譜には、著作権はないと理解していたようだ。大坂地裁の判決文では、「棋譜は、事実の羅列であって、そこには、著作物としての要件である、思想及び感情の表現はみとめられない」と理解しているようだ。そして、公開されてからは、棋譜の利用は自由だとしている。だから、こういう判決になった。

 勿論、地裁判決なので、今後の控訴などでどうなるか分からないが、私も、杉村達也がいうように、「棋譜には著作権はない」という見解はひっくり返る可能性はないと思う。今後は、いかに上手く棋譜を利用して、有意義な解説や動画ができるか考えるべきだと思う。詳細な棋譜がないと、解説は中途半端になるし、十分な理解ができない。そこに、AIの評価値などが入れば、もっと分かりやすくなる可能性がある。それほどに、棋譜というのは役立つ情報だ。

 囲碁や、将棋の普及は、ある意味では分かりやすい棋譜の普及にかかっていると思われる。世界的には、囲碁ではどんな棋譜も自由に利用されている。インターネットが普及した時代では、もっと自由に棋譜が活用された方が、普及に役立と思われる。確かに、どの棋戦も経営は厳しいと聞いているが、それは、囲碁や将棋を愛好する人たちの存在に依存していると思われる。囲碁や将棋の愛好家の数が増えない限り、棋譜利用を有料したところで、ほとんど意味はないと思われる。

『コロナワクチンその不都合な真実』を読む。

2024-01-14 14:04:41 | 自然・風物・科学
 まだ、コロナの感染は終息していない。2023年8月に7回目のワクチンを接種してから、私の体調がおかしくなり、腰痛が悪化した。もちろん、それがワクチンのせいだとは言えない。むしろ、今年の異常な暑さの中で、汗をかいたままスタバで体を冷やしたことが何度もあったため、体温調節の機能が乱れたのが原因だと思われる。冬になり、今度は冷え性が進んだ。そんな中で、アレクサンドラ・アンリオン=コードの『コロナワクチンその不都合な真実』(詩想社新書/2023.12.25)を読んで、私は恐ろしくなった。

 mRNAワクチンによってどのように、新型コロナを防ぐことができるのかについて、GoogleBardは次のように解説してくれた。

mRNAコロナワクチンは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の表面にあるスパイクタンパク質の設計図となるmRNA(メッセンジャーRNA)を脂質の膜に包んだワクチンです。接種すると、mRNAが筋肉細胞内に取り込まれ、細胞内のリボソームによってスパイクタンパク質が合成されます。このスパイクタンパク質は細胞の外側に出力され、免疫細胞によって認識されます。免疫細胞は、スパイクタンパク質を抗原として認識し、それに対抗する抗体を産生します。また、細胞性免疫によって、ウイルスを攻撃する細胞を活性化します。このようにして、mRNAコロナワクチンは、新型コロナウイルスに対する免疫を獲得し、感染や重症化を防ぐと考えられています。

具体的には、以下の2つの方法で、新型コロナウイルスを防ぐと考えられています。
・中和抗体による防御
中和抗体は、ウイルスと結合して、ウイルスの感染や増殖を阻害する抗体です。mRNAコロナワクチンによって産生された中和抗体は、新型コロナウイルスが細胞に感染するのを防ぎ、感染を予防します。
・細胞性免疫による防御
細胞性免疫は、ウイルスに感染した細胞を攻撃する免疫です。mRNAコロナワクチンによって活性化された細胞性免疫は、新型コロナウイルスに感染した細胞を排除し、重症化を予防します。

mRNAコロナワクチンは、従来のワクチンと比べて、開発期間が短く、安全性も高いことが特徴です。また、冷蔵保存が可能なため、配送や保管が容易です。ただし、mRNAコロナワクチンは、完全な予防効果を示すわけではありません。接種後も、マスクの着用や手洗いなどの感染対策は継続する必要があります。

 アレクサンドラ・アンリオン=コードによれば、このワクチンの問題点は、異常な速さで開発され、十分に検証されないまま実用化されてしまったこと、およびmRNAが人間の遺伝子にどのような作用をするかが十分に確認されていないことだ。確かに、結果的には数十億の人が接種し、それなりに効果があったように見えるが、それによって死亡したり、副作用に苦しんでいる人もいることは否定できない。しかし、統計上は有効な結果に終わっているように見える。もちろん、今後の遺伝子に関わる影響はまだわかっておらず、これから何が起こるかは不明である。

 私は高齢者であり、持病もあるため、7回ワクチンを接種した。そして、これまでコロナには感染していないようだ。私の妻と息子はワクチンを接種していないが、感染した様子はないマスクをして、密を避けていれば、インフルエンザと同様にある程度は防げるようだ。したがって、ワクチンは高齢者や持病のある人にはある程度の有効性があるようだが、若い人や持病のない人には必要ないかもしれない。むしろ、害を与えることがあるかもしれない。

 私はコロナについて都市伝説のように流布された陰謀論を信じていないが、アレクサンドラ・アンリオン=コードが指摘するようなリスク、つまりmRNAワクチンによる遺伝子の修正リスクは、完全に解明されていないと思っている。壮大な人体実験が行われ、その結果はいずれ分かることになる。

 結果的に、数十億の人がワクチンを接種したことになる。これは壮大な実験でもあるが、確かに、ワクチンの開発が早すぎた。日本の製薬企業は、米国などのワクチンの開発に全く追いつけなかった。ただ、アメリカなどのワクチンを厚生省が早急に認可し、国の施策としてワクチン接種を急いだ。私たちは最初の多くの患者の死亡(主に老人)に恐れを抱き、国の指導に従った。結果として死亡者は減少した。もちろん、ワクチンの副反応によって死亡した人や後遺症に苦しんでいる人たちも報告されている。

 現時点で、私にはコロナワクチンが有効であるように思われる。まだコロナは終息しているわけではない。ただし、ワクチンを接種する人たちは減少している。落ち着いているように見えるのは、ワクチンのせいなのか、それとも別の要因があるのかは定かでない。いずれ専門家がその検証を始めるだろう。その時には、ワクチン開発の実績があるはずの日本の製薬企業がなぜワクチンを開発できなかったのかの秘密も明らかになるかもしれない。

ChatGPTの衝撃(2023年のこと)

2024-01-07 13:29:18 | デジタル・インターネット
 昨年、ChatGPTはさまざまな意味で世界に衝撃を与えた。その中で、以下の3つがおそらく最も大きな衝撃であった。

 1つ目は、ChatGPTが普通の文で質問に答え、何でもやってくれそうに見えるため、シンギュラリティが近づいているのではないか、多くの仕事が奪われるのが現実になるのではないかという危機感を抱かせたことである。

 2つ目は、これまで変な回答をするのではないかという恐れから公開を躊躇していたGAFAMが、ChatGPTに衝撃を受けたことだ。特に、Microsoftは早くからOpenAIに投資し、Azureを使って大量データの学習を行っていたため、すぐにBingにAIを搭載したが、Googleは激震を受けたと言われる。その後、GoogleやMetaも新しいAIを公開したが、Bardは最初の登場時に時折変な答えをすることがあり、批判された。

 3つ目は、ChatGPTや新たな大規模言語モデル(LLM)のエンジンを使ってAIサービスを開始しようとする動きがあったことだ。テレビ東京のドキュメント番組では、シリコバレーのエンジニアたちが興奮している様子が取り上げられた。松尾豊氏の言葉を借りれば、第4次AIブームが来たのではないかという状況である。

 イーロンマスクや他のアメリカの開発者たちはChatGPTの開発に対して警告を発し、AIの使い方についてもう少し検討すべきだとし、開発を6か月間停止すべきだと主張した。日本のホリエモンは、6か月という期間を区切ったことから、後発のAI企業などの思惑が絡んでいると指摘した。META、Google、X、Microsoftなども大量の解雇を行ったり、発表したりしており、GAFAMはIT業界の後退局面をどう乗り越えるか模索していた。

ChatGPTは、実際に何ができるのか。どんなAIなのか。GPT-4に質問してみた。

■ChatGPTは、どんなAIで、何ができるか

ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルで、GPT-4アーキテクチャをベースにしている。このAIは、自然言語処理(NLP)タスクにおいて高い性能を発揮し、さまざまな用途で利用できる。主な機能は以下の通りだ。

自然言語の理解:文章や質問を理解し、適切な回答や情報を提供する。
文章生成:与えられたテーマや文脈に基づいて文章を生成する。物語やブログ記事、ニュースなどの作成が可能。
質問応答:質問に対する回答や解決策を提案する。一般的な知識から専門的な内容まで対応可能だが、知識のカットオフは2021年9月までである。
概要作成:長い文章や記事を要約して、短く簡潔な概要を作成する。
翻訳:複数の言語間での翻訳が可能。
コンテンツの改善:文章の文法や表現を修正し、より明確で洗練された文章に編集する。
ただし、ChatGPTは学習データに基づいて生成された回答を提供するため、最新の情報や未知のトピックに対応できない場合がある。また、時折誤った情報を提供することもあるため、利用者はその点に注意して活用する必要がある。

■GPT-4アーキテクチャとはどんなしくみか

GPT-4(Generative Pre-trained Transformer 4)アーキテクチャは、OpenAIが開発した大規模な深層学習モデルで、自然言語処理(NLP)タスクにおいて高い性能を発揮する。GPT-4は、GPT-3の後継モデルとして、性能向上とスケーラビリティの追求が行われている。以下の要素に基づいている。

トランスフォーマーアーキテクチャ:自己注意(self-attention)メカニズムを利用し、入力されたシーケンスの文脈を効果的に捉えることができる。
生成的事前学習:大量のテキストデータを用いて非監視学習で事前学習され、自然言語の文法や構造、一般的な知識を獲得する。特定のタスクに適応するために、監視学習を用いて追加の学習(ファインチューニング)が行われる。
マスクなし言語モデル:入力されたテキストの次に来る単語やフレーズを予測することで、文章生成や質問応答などのタスクを行う。
スケーラビリティ:大規模なデータセットや計算リソースを活用することで、性能が向上する。
逐次的な処理、転移学習、ファインチューニングにより、GPT-4は自然言語理解や生成、質問応答、翻訳、要約など、多様なNLPタスクを効率的にこなすことができる。ただし、GPT-4も完全ではなく、時折誤った情報を提供したり、意図しない文章を生成することがある。また、学習データに含まれていない最新の情報や未知のトピックに関しては対応が難しい場合があるため、利用者はGPT-4の回答や生成物を慎重に評価し、適切な応用や修正が必要である。

ただし、GPT-4も完全ではなく、時折誤った情報を提供することがあるし、意図しない文章を生成することもある。また、学習データに含まれていない最新の情報や未知のトピックに関しては対応が難しい場合もある。そのため、利用者はGPT-4の回答や生成物を慎重に評価し、適切な応用や修正が必要な場合があることを理解しておくことが重要である。
(ここにある「自己注意(self-attention)メカニズム」というのは、トランスフォーマーの面白い点で、OchiaiAIのイリア・サツキバーは、このメカニズムを知り、GPTの開発に取り掛かることができたと、どこかで読んだ記憶がある).

 これを見ると、ChatGPTはいろいろな自然言語処理ができるが、最新の情報を持っていなくて、時おり過ちを犯すと言っている。したがって、現在、ChatGPTを使ったさまざまなサービスが開発されようとしているが、最新の情報を学習させたり、専門的な分野に特化させたり、できるだけ誤りを少なくする工夫をしているようだ。ChatGPT側からも、それらのプラグインのようなものを使って、たとえば旅行などを企画した場合に、専門のサイトと連携して、ぴったりの旅館の予約ができたりする。GPTを使って記事を書くこともできないことはないが、そのまま使うには問題があるようだ。
また、現在開発競争が行われているGoogleのBardやMicrosoftのCopilotなど、さらにAdobeの画像生成システムAdobeFirlyなどもいろいろなことに活用できるだろう。要するに、ChatGPTの登場は自然言語処理の世界に大きな一歩を踏み出させたということを理解することが重要である。これは、MicrosoftやGoogleが途中まで挑戦し、手をつけるのを先延ばししていたことを、「間違った回答もします」と公言することで乗り越えたものだ。ChatGPTでも、悪いことを全くできないというわけではなく、とんでもないことを言わせることも可能である。

 大切なことは、ChatGPTは何かを知っている機械ではないということである。それは、質問という条件の中で最も妥当な言葉を選択し、並べているだけである。つまり、ChatGPTは、微視的には、常に次にどの言葉をつなげるべきかを確率的に計算し、その結果、最も確率の高い言葉を並べているわけである。これは、おそらくベイズ的推定によって行われている。この意味では、脳が言語を生成している場合と微視的には同じかもしれない。ただし、数兆個のコーパスを持っていると言われているので、それは言語的な知識となっている可能性がある。アメリカの現在の大統領は誰かという質問にトランプと答えるのは、そういう知識があるからである。ここには、一種の推論のようなものさえ見える。まるで人間が考えているかのように見える。

 だから、ChatGPTの最も適切な活用法は、いかに言葉の選択をやりやすいような条件を与えることにある。落合陽一が動画で実演し、自分の履歴を渡し、それに基づいて自分になりきって文章を生成させる方法は、最も妥当なやり方であると思われる。つまり、ChatGPTは何かになりきって文章を生成することができ、それが最も適切な文章生成の方法であると言える。今年から、GPT'sというストアがオープンし、特別にカスタマイズされたChatGPTが登場する。ChatGPTとの付き合い方の最終形態は、おそらくそこにあると思われる。また、今年1年、OchiaiAIに翻弄されることになるかもしれない。

政治の腐敗について

2024-01-01 10:11:10 | 政治・経済・社会
 ギリシャの昔から、そして民主政治の初めから、選挙はすぐに腐敗し始めた。自民党の派閥のパーティー券のキックバックは、選挙資金に使うためだと思われる。「政治には金がかかる」というのが彼らの言い分だ。本当は、金のかからない制度を考えるべきである。

 民主政治の初めは、一般的にはアテネの「クレイステネスの改革」によって実現された「ポリス・アテネ」の政体から始まるとされている。塩野七生の著書『ギリシャ人の物語』によれば、この政体の実体は、アリストテレスの『アテネの政体』で初めて正確に分かるようになったという。ただし、この便利な解説書は、1891年に発見されて刊行されたものである。つまり、フランス革命の頃は、誰も読んでいなかったことになる。

 塩野七生はアリストテレスの本に基づき、アテネの政体について紹介している(詳しくは同書を参照)。それによれば、古代のアテネの「デモクラシー」は、「国政の行方を市民(デモス)の手にゆだねた」のではなく、「国政の行方はエリートたちが考えて提案し、市民(デモス)にはその賛否をゆだねた」ということだそうだ。

 ペイシストラトスはエリートをただ名門階級の出身(世襲)でなく、真に実力のあるもの(名門に多い)から選んだ。だから、興隆期のアテネの指導者たちは、ほとんど全員が名門出身者で占められている。つまり彼は、アテネを「メリトクラティア(メリットクラシー)」という実力主義の方向へ導いたのだ。塩野七生は、「デモクラシー」と「メリットクラシー」とは、意外と相性が良いと言っている。この改革の25年後にアテネの命運を一身に背負うことになるテミストクレスは、アテネのリーダーの中でただ1人「非名門出」であった。

 金のかからない選挙ということと、合理的な選挙とはおそらく同じことだと思われる。例えば、これはギリシャの昔からあるが、参議員を抽選にすることだ。実際、クレイステネスが作った「500人委員会」と呼ばれる「ブレ」は、成年男子から抽選で選ばれるものだった。これについて、塩野七生は、「抽選を導入したクレイステネスの深意は、アテネの市民たる者、一生に一度くらい公職を経験すべきである、ということだったのではないかと想像している」と述べている。

 そして、衆議院は、全国をまとめて(特大区)で、1人1票の投票を行うことが良いだろう。そうすれば、私は北海道の友人に投票することができる。こちらの方法はシステムとしては難しいかもしれないが、インターネットの時代には、地縁・血縁は時代遅れだと思う。地域の仲間が少なくても、日本全国に支援者がいれば議員になれるようにすることは、比例代表より良いと思われる。これらは、あくまでも議員代表制を取る場合の工夫である。

 以上は、今年の初夢選挙である。