電脳くおりあ

Anyone can say anything about anything...by Tim Berners-Lee

●朝鮮半島の危機

2024-12-16 11:42:08 | 政治・経済・社会
 朝鮮日報オンラインの12月16日の記事に次のように書かれていた。

<尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が14日に国会本会議に上程されてから可決まで1時間もかからなかった。禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長は弾劾訴追案可決と同時に訴追議決書の正本と写本を憲法裁判所と韓国大統領府に送付した。これにより尹大統領の権限は直ちに停止となり、憲法裁判所は事件を受理し弾劾審判の審理手続きに入った。>


 世界中が、紛争を抱えている中で、特に、北朝鮮がロシアに軍隊を送り、ウクライナとの戦いに参加させている中で、韓国は政治的な危機の状態になっている。今は、明日何が起きるかよく分からなくなっている。今のところは、北朝鮮は、すぐにどうこうと言う動きはなさそうだが、これから、何が起きるか分からない状況だ。

 そんな中で、丁度橋爪大三郎著『火を吹く朝鮮半島』(SB新書/2024.9.15)という本を読み終えた。橋爪大三郎は、北朝鮮の核の保有が東アジアの政治バランスを変え、日米安保条約の意味まで問いなおされている状況を丁寧に解説している。こうした検討は、本当はもっと必要だろうと思われる。

 特に、核をもつということの意味をもっと問いなおしてもいいと思われる。北朝鮮は、ある意味では、世界に対して、小さな国が何ができるかを証明しようとしているのだ。直接的には、対アメリカに対して、同等に渡り合えるという状況を作り出している。内部からの崩壊さえ食い止められれば、案外、長く続く政権かもしれない。そして、いつも、周囲の国に対して、驚異となっている。

 日本も核兵器を持つべきだと指摘したのは、エマニュエル・トッドであるが、橋爪大三郎も「核のレンタル」という形式を提案しているのは、面白い発想だと思われる。しかし、現在の平和ボケした日本では、微妙に難しい問題でもある。特に、何の思案もなく、ただ、アメリカの政界戦略に唯々諾々としたがっているだけの日本の政府では、本当に上手く対応できるか疑問である。

<北朝鮮は、日本と国交がない。行き来も少ない。でも一世紀前、朝鮮半島の人々の国籍は日本人だった。日本の敗戦でバラバラになり、以来、独自の道を歩んでいる。
 朝鮮半島が南北に分断されているのも、元はと言えば、日本が原因なのだ。
 北朝鮮は国際的に孤立し、独裁的な政権のもと、人々は苦境にあえいでいる。そして核兵器を開発した。戦争の危険が迫っている。本書の分析するとおりだ。
 日本はかって、アメリカを相手に無謀な戦争をした。いまの北朝鮮は当時の日本と似たところがある。北朝鮮の人々はなぜ、こう行動するしかないのか。北朝鮮の追いつめられた状況を、日本人は内側から理解できる可能性がある。
 この国のことをいちから考えよう。そして、最悪の事態を防ぐため、自分たちは何ができるか考えよう。大急ぎで取り組むべき課題だ。>(同書「あとがき」より)

 この本のなかで、橋爪大三郎は、「アメリカ軍も韓国軍も、そして自衛隊も、北朝鮮の突発的な軍事行動を想定して、態勢を整え始めた。準備ができていないのは日本の世論である。」(p158)と述べているが、橋爪大三郎に考え方自体については、必ずしも賛成ではないとしても、当たっている指摘だと思った。しばらく、韓国の混乱がどう収まるか注視しながらも、橋爪のがいう日米安保同盟が機能しないという事態、つまり「ポスト日米安保同盟の時代」については、改めて考え見る必要がありそうだ。
コメント
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