何年か前までは、午前中に買い物をすませて家に帰ると、
いつの間にか車に乗ってやってきた父が、木バサミや大きなスコップを持ってきて、
午後いっぱい、よく庭の手入れをしてくれていました
「花や野菜を育てるのは、自分の子供と同じように思わなあかん。」
が口ぐせだった父は、こまめに土をたがやし、水をやり、肥料をまいて、余分な枝を剪定してくれました。
今くらいの季節には、樫の木や、冬じゅう花が咲いた山茶花などを切ってくれ、
木ばさみの、パチン、パチン、という音が庭にひびいて、心地よいのでした
父は年々細くなり、一日のほとんどを寝て過ごす様になり、
今年は庭木の剪定も、植木屋さんに頼みました。
プロの植木屋さんは、父が半日かかるところを、ものの一時間足らずで切り終えるのだけど、
庭に出てみると、木のそばに生えていた水仙やアネモネが踏み荒らされ、
子供たちが昔飼っていた小鳥のお墓の石が散らばっていました。
ひどいなあと、それらを片付けながら、父の木バサミの音を思い出しています。
日曜画家だった父が、もう筆を持てませんが、
それでも、私のトールの絵をいつも楽しみに見てくれて、
「あっ、そこは何色がいいわ。」とか「ここに~を描いたらいいねん。」
と、うれしそうです
(出口むつみさんのデザイン「My Garden」を描きました。)
2017年 追記
フレームは別のデザインのもので、図案の指定の配色ではなく手持ちの色を使用しました。
個人が描いた作品には著作権があります。コピー、引用をお断りいたします。