Yundi Li - Chopin "Fantasie" Impromptu, Op. 66
ピアノを習い始めた小学生の頃のことです。
近所の大きなお姉さんのいるお家から、 ある時、とてもドラマチックなフレーズが聞こえてきて、
「わあっ、きれいな曲だなあ!」 とびっくりしました
少し経って、何回か聞いているうち、それはどうも曲の途中らしいと気がついて、
続きを楽しみに、わくわく耳をすましていましたが、
残念な事に、聞こえてくるのはいつもその部分のみで、
とうとう続きを聞けないうち、お姉さんはお嫁に行ってしまいました。
そして、そのフレーズは、私の憧れとなり、
「うーんと、こんな風だったぞ!?」と耳を頼りにマネしようとしていましたが(できなかった)
また、しばらく経って、 とうとうそれは、ショパンの「幻想即興曲」と呼ばれる曲だと知り、
デパートでピアノピースを買ってもらった私は、時々こっそり!弾こうとしました
いつも聞いていたのは、
大きく分けてA-B-A´でできたこの曲の、Aの終わり、第35小節目から40小節目にかけて。
下りながら密度を増していく緊迫感のあるパッセージ、
止まっていた音楽は、この半終止の和音から、ようやく、変二長調の美しい中間部分へ進みました。
さらに時間が経ち、やっと、この曲を習う日が来ましたが、
「中間部分とその前は、ずいぶん時間を感じているのね、そんなに開けないようにね。」
と先生がおっしゃって、 私は思わず、にまっとしてしまいました
即興曲 嬰ハ短調 作品66「幻想即興曲」 は、ショパンの没後1855年に遺作として発表されましたが、
1834年、彼が24歳の時に描かれた作品です。
Gisのユ二ゾンが広がる前奏に、左手の6音のアルペジオと8音からなる右手のメロディーが自然に合う嬰ハ短調のAの部分、
優雅に歌われる変二長調のBの部分に、再びAがもどり、最後に、左手の低音にBの主題がわずかにあらわれて、
曲は終わります。